レジリエンスとは?意味とビジネスパーソンに欠かせない理由を解説

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ビジネスで成功するために必要な要素として「レジリエンス」があります。これは「回復力」「再起力」などと訳される言葉であり、レジリエンスの高いビジネスパーソンは目標達成の過程で困難な状況を乗り越え、大きな成長につなげることができます。

そして、レジリエンスは個人だけでなく、組織全体の成功にも影響を与える能力です。ビジネスの現場ではレジリエンスに対して注目が集まっており、ビジネスパーソンが理解を深める必要性は高いといえます。

この記事では、レジリエンスの意味やビジネスパーソンに欠かせない理由、効果的に高めるための要素についてわかりやすく解説します。

目次

レジリエンスの意味とは?

レジリエンスとは、逆境や困難に直面したときにうまく適応する能力のことです。英語では「resilience」と書き「回復力」や「しなやかさ」を意味します。元々は物理学の分野で「弾力性」を示すワードでしたが、これが転じて「精神的な回復力」という心理学的な意味で広く用いられるようになりました。

社会人として働くうえで、逆境にくじけそうになる経験は誰しもあるでしょう。大切なのは、困難が訪れたときに、いかに自分の心をコントロールできるかということです。現代は将来を予測しにくいVUCA時代といわれ、想定外の事態が起きても柔軟に対応することが求められます。レジリエンスは、不確実なビジネス環境で生き残るために必要不可欠の能力といえるでしょう。

レジリエンスの高い人の特徴

レジリエンスの高い人は、逆境に直面しても動じることなく冷静に対処することができます。失敗を引きずらず、困難から学び、これを成長の機会として活用します。このような前向きな行動が可能となるのは、多角的な視点と柔軟な考え方を持っているからです。

また、自分の強みや弱みを客観的に理解しており、周囲と自分を安易に比較しないという点も指摘できます。ひとりよがりにならず、周囲との協力関係を築けるため、一人では解決できない困難な課題にも挑戦できるようになります。つまり、レジリエンスの高い人材は、個人だけでなく周りの人にも影響を与え、組織全体の成長に貢献しているのです。

レジリエンスの向上がビジネスパーソンにとって重要である理由

ビジネスパーソンにとってレジリエンスが重要である理由は、以下のような力が身につくからです。

目標達成に向けてやりきる力を養える

キャリアが長くなるにつれ、達成困難な目標を課されることが多くなります。難しい目標を前にしてモチベーションが下がってしまい、通常のパフォーマンスを発揮できなくなるケースも少なくありません。しかし、レジリエンスを高めることで、ハイレベルな目標の達成に向けて粘り強く取り組めるようになります。自分自身のキャリアアップのためにも、レジリエンスは有効な能力といえるでしょう。

変化に対して柔軟に対応できる

近年はビジネス環境が目まぐるしく変化する時代です。転勤や出向、企業合併など、社会生活において大きな変化が突然起こることも珍しくありません。この点、レジリエンスの高い人は、自身の置かれた環境が大きく変わっても、それを受け入れてスムーズに対応できる能力が備わっています。変化に適応する力は企業にとっても重要性が高く、ビジネスパーソンが身につける意義は大きいといえます。

ストレス耐性が向上する

業務を遂行するなかでストレスが蓄積し、健康を害してしまう社員も少なくありません。特に膨大な業務量や時間外労働、社内外の人間関係は社員にとって大きなストレスとなり得るでしょう。しかし、レジリエンスの高い人は気持ちの切り替えがうまく、心身のバランスを維持しています。つまり、レジリエンスを高めることでストレスに強くなり、健康的に働き続けることができます。

レジリエンスを向上させることによる企業のメリット

レジリエンスの向上は組織に対して好影響をもたらします。社員のレジリエンスが高まることで、企業は以下のようなメリットを享受することができます。

ビジネス環境の変化への適応

先行きが不透明な時代において、企業が求めているのはビジネス環境の変化に柔軟に対応し、新しい状況に迅速に適応できる人材です。社員が高いレジリエンスを備えていれば、市場や業界の変化に対しても柔軟かつ迅速に対応する組織を構築できます。つまり、社員一人ひとりのレジリエンスを高めることが、結果的に組織全体のレジリエンス向上につながっていきます。

目標達成力の強化

目標達成を目指して取り組む過程では、すべてが順風満帆に進むとは限らず、時には挫折や失敗を経験することもあるでしょう。その際にレジリエンスが高ければ、困難に直面しても自ら乗り越える力を発揮できます。社員のレジリエンスを向上させることで、組織全体の目標達成力を強化できるメリットがあるのです。

企業の社会的評価の向上

変化に対する適応能力は企業の評価指標の一つです。自社を取り巻くステークホルダーに向けて企業価値を示す際に、組織のレジリエンスの高さは有効なアピール材料となるでしょう。また、レジリエンスが高まるとマーケットからの評価も上がり、企業の社会的評価の向上につながります。

レジリエンスを向上させるための6つのコンピテンシー

レジリエンスを高めるためには以下に列挙した6つの要素が求められます。これらは「レジリエンスコンピテンシー」と呼ばれ、ペンシルバニア大学で博士号を取得したカレン・ライビッチ氏によって提唱されました。ここではそれぞれの要素について解説します。

自己認識

自己認識とは、自分自身の長所や短所、価値観を理解し、それに基づいて行動する能力のことです。具体的には、自分の思考スタイルや感情表現、行動パターンへの認識を深めていきます。自己認識の力を高めることで、逆境にぶつかっても一時的な感情に流されることなく、現状を冷静に認識できるようになります。

自制心(セルフコントロール)

自制心(セルフコントロール)とは、目標を達成するために、自分の感情や衝動を適切にコントロールする能力のことです。感情任せに行動しても思うような成果は得られないため、現状を見つめ、自らを律する力が不可欠となります。自律心や自己調整と同義であり、消極的な思考や行動を制御する能力ともいえます。

人とのつながり

人は他者との関わりのなかで生きる社会的動物です。とりわけ企業活動においては組織として成果をあげることが求められており、業務を円滑に進めるうえで他者との関わりは必須の要素といえます。他者との関係性を構築し、周囲から協力を得られると、それはストレスに打ち勝つ力となるでしょう。日常的にコミュニケーションをとり、組織内で信頼関係を築いておくことが重要です。

現実的楽観性

現実的楽観性とは、自分の将来はよりよくなるというポジティブな信念を持ち、目標に向かって行動を起こせる能力のことです。未来を楽観視するだけでなく、自分にできること・できないことを見極め、自分の力で状況を好転させられることにフォーカスします。トラブルに直面しても、これは自分が成長するための試練と捉え、積極的に行動することができます。

精神的柔軟性

精神的柔軟性とは、変化に対して柔軟に対応し、新しい環境に適応する能力のことです。問題が発生すると人は視野が狭くなりがちで、焦りからさらに失敗を重ねるというリスクもあります。この点、精神的柔軟性を持っていると、問題を多面的に捉えて本質的な観点から冷静に対処できるようになります。

自己効力感

自己効力感とは、やればできるという自信を持つことです。また、現状をコントロールしているのは自分であり、自分の強みを発揮すれば問題を解決できるという強い信念を持つことをいいます。成功体験が自己効力感の源泉となるため、日常的に自分の強みを知る機会を作り、活用しつつ、やってみたいと思ったことにはひるまずにチャレンジしていくことが大切です。強みを改めて知りたい場合は以下のワークショップなどに参加することも一案です。

まとめ

レジリエンスの高さは、ビジネスを成功に導く重要な要素の一つです。レジリエンスの高いビジネスパーソンは、困難や逆境を乗り越え、持続可能な成長を実現します。これは個人だけでなく、企業全体の成功にも影響を与えるものです。そして、レジリエンスを高めるためには6つのコンピテンシーを実践する必要があります。

レジリエンスについてさらに理解を深めたい場合はセミナーの受講も有益です。HRインスティテュートでは「レジリエンス向上ワークショップ」を提供し、レジリエンスを高めるための具体的な方法や実践的なアプローチについてお伝えしています。

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