ビジネスコミュニケーションに必要な3つのスキルを解説

読了まで約 8

ビジネスはコミュニケーションによって成り立つものであり、業務の成否はコミュニケーションのとり方に左右されるといっても過言ではありません。同僚や取引先との適切なコミュニケーションにより、信頼関係が構築されると、業務上の成果もあがりやすくなるからです。

コミュニケーションをとる力は先天的なものとも思われがちですが、ビジネスコミュニケーションは学習によって後天的に伸ばせる能力です。必要なスキルを知り、トレーニングを重ねれば、多くの人がビジネスコミュニケーションの力を高めることができます。

この記事では、ビジネスコミュニケーションに必要な3つのスキルとともに、各々のスキルを高める方法についてわかりやすく解説します。

目次

ビジネスコミュニケーションとは?

ビジネスコミュニケーションとは、仕事上でおこなわれるコミュニケーション全般を指します。たとえば、上司への報告や同僚との会話、顧客との商談・交渉など、社内外を問わず仕事に関連するコミュニケーションすべてを含みます。その手段は対面による会話に限らず、電話やメール、チャットツールを介しておこなうコミュニケーションもあります。

ビジネスコミュニケーションの本質は、物事に対して共通の認識を持ち、相手との信頼関係を築くことです。つまり、自分の意図を的確に伝えるだけではなく相手の意図も的確に理解すること、適切なコミュニケーションによって互いの認識の相違をなくすことが信頼関係の構築につながります。

関連記事:コミュニケーションとは?意味、能力を鍛える方法を解説

ビジネスコミュニケーションの目的

ビジネスコミュニケーションには以下の3つの目的があります。これらを達成することで最終的には業務上の成果につなげます。

目的①:情報共有

コミュニケーションがとれている職場では、各メンバーが収集した情報を互いに共有し、円滑な業務遂行のために有効活用することができます。仕事における情報共有の典型例として、各人に割り当てられたタスクの進捗確認が挙げられます。個々の進捗状況をリアルタイムで把握できるなど、メンバー間で情報共有がなされていれば、トラブルの発生を未然に抑止でき、必要なサポートもおこないやすくなります。

目的②:コミュニケーションの活性化

社内のコミュニケーションが活性化すると、人間関係が良好になり、風通しのよい職場をつくることができます。上司との関係がフラットで、同僚同士も気軽に話せるような職場環境は、社員のエンゲージメントを高める効果もあります。組織と社員との結びつきが強まれば、優秀な人材が流出しにくくなり、定着率の向上につながるでしょう。

目的③:認識の不一致を防止

ビジネスで成果をあげるには他者との協力が不可欠であり、適切にコミュニケーションをとって互いの認識の齟齬(そご)をなくす必要があります。目標達成に向けて前進するためには、メンバー全員のベクトルを合わせ、互いに共通認識を持つことが重要です。その際は単なる表面的な事実の確認だけでなく、価値観やコンセプトまで共有することで、より高いレベルでの共通認識を形成できます。

関連記事:コーチングとは?意味と効果、ティーチングとの違いを解説

ビジネスコミュニケーションのスキルを高めるメリット

ビジネスコミュニケーションのスキルが高まると、個人と組織の生産性が飛躍的に向上します。高いレベルのビジネスコミュニケーションがとれることで、周囲の人たちと的確に意思疎通できるようになり、自分の事情に配慮してもらいつつ全員で足並みを揃えて業務をおこなうことができます。

また、ビジネスにおける充実したコミュニケーションは、自分の世界を広げることにもつながります。互いにオープンな姿勢でやりとりできれば、仮に自分とは異なる意見であっても、違う角度から物事を考えることで新たな学びを得ることができます。このような他者との積極的な関わりが新しい可能性をもたらすのです。

ビジネスコミュニケーションで必要とされる3つのスキル

ビジネスコミュニケーションを身につけるには「傾聴スキル」「質問スキル」「伝達スキル」の3つをバランスよく高めていく必要があります。

傾聴スキル

傾聴スキルとは、相手が伝えようとする内容を過不足なく聞きとる力です。相手の言動以外に、そのときの表情や仕草にも意識を向けることで、相手が何を伝えたいのか正しく理解できるようになります。単に内容を表面的に把握するだけでなく、相手の意図まで汲みとれるようになれば、高いレベルで聴く力を実践できるでしょう。ビジネスコミュニケーションというと、伝達スキルだけが注目されることもありますが、土台として人の話を聴くことが相手との信頼関係構築に重要です。

質問スキル

質問スキルとは、相手が話した内容の疑問点や不明点を確認する力です。的確な質問を通じて、自分の知りたい情報を能動的に取得する能力ともいえます。質問を投げかけることで会話のやりとりも活性化するため、互いのコミュニケーションを深める効果も持ちます。ロジカルに質問を投げかけるだけでは相手も答えにくいため、質問する際には相手の気持ちに寄り添うことも重要です。

質問の方法には、答えを限定する「クローズドクエスチョン」と、自由に答えてもらう「オープンクエスチョン」があります。前者は相手が「はい」か「いいえ」で回答できる質問のことで、後者は感想や意見など相手が自由に回答できる質問をいいます。思い浮かんだままに質問するのではなく、より効果的な質問を意識的に選べると良いでしょう。

伝達スキル

伝達スキルとは、伝えたい内容を明確にし、相手に理路整然と自分の意見を伝える力です。必要な情報を整理してロジカルに伝えることは、ビジネスコミュニケーションの基本となります。話をする能力は先天的なものとも思われがちですが、ビジネス上の伝達に限っていえば、テクニックを習得することで誰でも一定のレベルまで高めることができます。ただし、ロジカルに伝えるだけでは相手に響かない可能性もあります。そのために相手の立場を考え、相手が大切にしていることを尊重するなど相手に寄り添った伝達スキルも重要です。

関連記事:モチベーションの意味とは?動機付けの方法をわかりやすく解説
関連記事:コンサルタントとは?業界特性や仕事内容をわかりやすく解説

ビジネスコミュニケーションのスキルを高める方法

ビジネスコミュニケーションのスキルを高めるにはどのような方法があるのか、傾聴スキル・質問スキル・伝達スキルを上達させるためのポイントを以下にまとめました。

傾聴スキルを高める方法

傾聴スキルを高めるには、相手に共感しつつ、真摯な姿勢で話に耳を傾けることが大切です。ここでは相手に対する「共感」がポイントとなるため、相手の立場に立って「共感していること」「理解していること」を示しながら聴くことを心がけましょう。その際は、話を聴きながら適切なタイミングで相槌やアイコンタクトをとるなど、言葉以外の非言語的な表現も重要となります。

他にも、話すテンポや声のトーンを相手に合わせることも、傾聴スキルの向上につながります。これらを意識しながら相手の話を聴くことで「自分の話が伝わっているか」「正しく理解してもらえているか」という相手の不安要素を払拭し、より深い話を引き出せるようになります。

質問スキルを高める方法

質問スキルを高めるには、質問の際に5W1Hを意識することがポイントです。つまり、相手の話のなかで、Who(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)のうち、どの点が不明確かを確認したうえで質問します。こうすることで質問の意図が明確になり、相手から的確な回答を得やすくなります。

また、聞きたいことを二者択一にしないことも重要です。二者択一の質問をすると、2つ以外の選択肢を消去することになってしまいます。ビジネスでは常に新しい可能性を模索するべきであり、回答が限定される質問はなるべく避けたほうがよいでしょう。

伝達スキルを高める方法

伝達スキルを高めるには、話す前の段階で、自分が話すべき内容を明確化することが重要です。こうすることで話の結論を既定のものにでき、必要な情報を過不足なく正確に伝えることができます。また、結論とともにこれを支える根拠も明らかにし、実際に話す際には結論の次に根拠を述べることで、矛盾のない筋道の通った内容を伝達できます。

話の内容を理解してもらうためには、専門用語や業界用語を避けて話すことも重要なポイントです。日常的な表現を多用し、なるべくシンプルに伝達するよう心がけましょう。また、曖昧な表現も相手の誤解を招くリスクがあります。たとえば「なるべく早く」や「近いうちに」など人によって認識の異なる表現は使わず「1時間以内に」や「来週の火曜日までに」のような明確な表現を用いるとよいでしょう。

関連記事:キャリア自律とは?必要性や企業による支援方法を紹介

まとめ

ビジネスコミュニケーションは、新入社員から管理職、経営層まで幅広く必要とされ、すべての社会人が身につけるべきスキルといえます。しかし、コミュニケーションというテーマは曖昧かつ広範な内容を伴うことから、専門外の担当者が研修を実施しても、業務上の成果にはつながらない可能性があります。

この点、HRインスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションのノウハウ・ドゥハウ」というセミナーを提供しています。このセミナーはビジネスコミュニケーションの向上に特化した内容であり、ペアワークやグループワークなど演習を中心としたプログラムを組んでいます。現役コンサルタントが講師を担当し、すぐに実務で活かせる「実践型スキル」を育てます。

研修で成果をあげるためには、外部の専門サービスを活用するのがおすすめです。本セミナーの詳細は下記のリンク先よりご確認ください。

関連プログラム
監修者
米虫 瞳
早稲田大学教育学部卒業後、総合人材サービス会社に入社。官公庁や自治体を対象とするBPO事業部にて、人材採用の観点から多岐にわたるプロジェクトを支援。 HRインスティテュートでは主にロジカルシンキングやビジネスコミュニケーション、プレゼンテーションに関するプログラムを担当。 日本アクションラーニング協会公認アクションラーニングコーチ(ALC)/キャリアコンサルタント(国家資格)/青山学院大学学校教育法履修証明プログラム修了ワークショップデザイナー
記事一覧

おすすめ記事

ページトップへ
©2021 HR Institute Inc.