【あなたは大丈夫?】コミュニケーションコストが高い人の特徴と解決策を解説

読了まで約 7

仕事をするなかで「相手に話がなかなか通じない」「社内の意思決定に時間がかかる」といった思いを抱えているビジネスパーソンは少なくないでしょう。円滑なコミュニケーションがとれないことは社員のストレスになるだけでなく、仕事上のトラブルにまで発展するおそれがあります。つまり、コミュニケーションコストが高い状態は企業にとって大きな損失となる可能性が高く、これを防ぐには組織内の情報伝達にかかる労力を最低限に抑えていくことが重要です。

この記事では、コミュニケーションコストが高い人にはどのような特徴があるのか、コストを削減するための具体的な解決策とともに詳しく解説します。

目次

コミュニケーションコストとは?

コミュニケーションコストとは、情報伝達をおこなう際に要する時間や労力のことを指します。業務を遂行するうえでは人とのやりとりが必須であり、そのコミュニケーションにかかっている手間を「コスト」と捉えています。

たとえば、マネージャーがチームのメンバーに対して業務を指示する際には一定の時間と労力を要しており、これが「コミュニケーションコスト」です。このとき、必要以上の手間をかけずにスムーズな情報伝達ができていれば「コミュニケーションコストは低い」とされ、組織内で円滑なコミュニケーションがとれている状態といえます。

反対に、情報伝達において必要以上の時間と労力を要している場合は「コミュニケーションコストは高い」とされ、そのコストを減らすための対策が求められます。つまり、仕事をするうえで必要なコミュニケーションをとりつつも、その過程で生じている無駄を省くことが重要です。

関連記事:コミュニケーションとは?意味、能力を鍛える方法を解説 

コミュニケーションコストを高くする人の特徴

組織のコミュニケーションコストを高くする人には以下のような特徴があります。

特徴①:情報の理解に時間がかかる

一般的な人よりも情報の理解に時間がかかってしまうと、コミュニケーションコストは高くなります。なぜなら、理解力とコミュニケーションコストには相関関係があるからです。

ただし、人によっては情報をテキストで読み取って理解することは得意であるものの、相手に口頭で伝達することは苦手というケースもあります。このため、コミュニケーションに関する自分の傾向を知り、これに合わせた対処をおこなうことも重要となるでしょう。

関連記事:ロジカルシンキングとは?論理的思考の鍛え方・トレーニング方法を紹介

特徴②:自分の話ばかりする

相手との会話の際に自分の話ばかりをする人も、コミュニケーションコストが高い人に共通する特徴の一つです。このようなタイプは、自分の話したいことを中心に話すため、無駄な内容が多くなってしまう傾向にあります。相手は自分が知りたい情報をすぐには入手できず、会話が長引いてしまうことから、結果的にコミュニケーションコストが高い人だという印象につながりやすくなります。

特徴③:会社内でのポジションの目的がわかっていない

会社内で自分がどのようなポジションを任されているのか、その目的を理解していない人は、コミュニケーションコストが高い傾向にあります。

たとえば、リスティング広告の運用担当者であれば、そのポジションの目的は「コンバージョンの増加」となるでしょう。この場合、マーケティング部門の上司に報告する際も、コンバージョン数を最優先で報告するべきといえます。ところが、ポジションの目的がわかっていないと、他の事項も織り交ぜて報告してしまいがちです。結果として、優先的に伝えるべき報告が後手に回ってしまい、コミュニケーションコストが高い相手だと認識されてしまいます。

ブルックスの法則とは?

コミュニケーションコストと関連性のある法則として、ソフトウェア技術者のフレデリック・ブルックス氏が提唱した「ブルックスの法則」があります。

ブルックスの法則とは、チームのメンバーが増えるほどにコミュニケーションコストが増加し、プロジェクトの進捗が遅滞するという考え方のことです。具体的には、人数が2倍になるとコミュニケーションコストは4倍になり、人数が3倍になるとコミュニケーションコストは9倍になります。つまり、人数の2乗に比例してコミュニケーションコストは増加するといいます。

ブルックスの法則によると、遅れているプロジェクトに人員を追加しても、キャッチアップするどころか、プロジェクトはさらに遅れることになります。それだけコミュニケーションコストが与える影響は大きく、安易に人数を増やしても遅延の解消につながるとは限らないということです。

コミュニケーションコストが高いことで引き起こされる問題

コミュニケーションコストが高い職場では、組織の発展や個人の成長を阻害する以下のような問題が引き起こされます。

業務効率が低下する

組織内のコミュニケーションコストが高いと、意思疎通や情報伝達に多くの時間を費やします。この場合、必要な情報が相手に正確に伝わらないことも多く、情報伝達が遅いうえにその情報が不正確となれば、業務の混乱を招くおそれがあります。他者とのコミュニケーションに時間や手間がかかってしまうと、企業活動の根幹を担うようなコア業務に集中できなくなり、結果として組織全体の業務効率が著しく低下することになります。

社員のストレスにつながる

他者との意思疎通に必要以上の労力を費やすと、社員一人ひとりに小さなストレスが溜まります。具体的には、同じことを何度も確認したり、間違いを訂正したりする作業が多い場合、コミュニケーションコストが高い状態になっているといえます。そのストレスが蓄積されると、社員のメンタルヘルスに悪影響をもたらし、業務に対するモチベーションやパフォーマンスの低下、ひいては組織全体の生産性低下につながってしまいます。

コミュニケーションコストの高さの解決策

組織内のコミュニケーションコストの高さを解決するためには、以下のような施策が考えられます。必要以上のコミュニケーションコストが組織に及ぼす影響は大きいため、社員一人ひとりがコストを抑える意識を持つことが重要です。

解決策①:情報の整理

相手が伝えようとしている情報を整理するには「5W1H」を意識するとよいでしょう。5W1Hを実践することで情報に抜け漏れがなくなり、その内容に対する理解も深まります。

5W1Hとは以下の6項目です。

  1. When(いつ)
  2. Where(どこで)
  3. Who(だれが)
  4. What(なにを)
  5. Why(なぜ)
  6. How(どのようにして)

情報の整理は、受信時の理解を深めるだけでなく、発信時に内容をわかりやすく伝えられるメリットもあります。受信側・発信側の双方が5W1Hを用いて情報を整理すれば、情報伝達にかかる無駄な時間や労力を削減できるでしょう。

関連記事:コンサルタントに必要なスキル・能力とは?その考え方と重要な質問スキル

解決策②:相手の話への傾聴

コミュニケーションコストの高さは、会話内容に対する理解不足が原因であることも多いと考えられます。このため、相手の話に熱心に耳を傾けることも有効な解決策となります。具体的には、しっかりと相手の話を聴いてから答えることを念頭に置き、疑問に感じた点は即座に質問して確認するとよいでしょう。

聴く力を高めるためには、適度な相槌を打つ、相手の言葉を繰り返す(オウム返し)、質問して話を引き出すなどの方法があります。また、言葉だけではなく相手の表情や気持ちにも寄り添いながら聴くことにも大切です。日常生活の中でこれらを意識的に実践することで傾聴力が身につき、コミュニケーションコストの削減につなげられます。

関連記事:OJTトレーナーの役割と意義とは?人材育成のポイントや必要なマインドを解説

解決策③:組織内における役割の把握

コミュニケーションコストを抑えるためには、自分自身が組織内でどのような役割を担っているのか、具体的に把握しておくことも重要です。自分の役割が理解できていない状態では、相手から求められていることを理解するまでに時間がかかってしまいます。最終的に目指すべきミッションは何か、組織から何を期待されているのか、自分が担うべき業務の範囲はどこまでかを理解し、チーム内で共有するようにしましょう。

関連記事:オンボーディングの意味とは?具体的な施策や事例、実施するポイントを解説

まとめ

組織内のコミュニケーションコストが高い場合、社員のメンタルヘルスの悪化や業務遅滞などさまざまな弊害が生じます。小さな問題だと思って放置してしまうと、後々大きな損失になりかねません。

ただし、情報整理や傾聴などのコミュニケーションスキルは社員個人が意識し、日常的にトレーニングを積むことで改善できます。会社としてビジネスコミュニケーションに特化した研修を実施することでも、大きな効果がもたらされるでしょう。このとき、研修を自社で実施するのも一つの方法ですが、専門的な内容だけに社内のリソースで対応するには限界があるかもしれません。

そこで有効なのが、専門講師による講義やフィードバックが受けられる外部サービスの活用です。HRインスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションのノウハウ・ドゥハウ」というプログラムを提供しています。これはビジネスコミュニケーションのスキルアップを目指す内容であり、各社員のコミュニケーションスキルを高めることで、会社全体のコミュニケーションコストの低減につなげていきます。

本プログラムの詳細は下記のリンク先をご参照ください。

関連プログラム:ビジネスコミュニケーションのノウハウ・ドゥハウ|組織・人材開発のHRインスティテュート

関連記事

関連プログラム
監修者
米虫 瞳
早稲田大学教育学部卒業後、総合人材サービス会社に入社。官公庁や自治体を対象とするBPO事業部にて、人材採用の観点から多岐にわたるプロジェクトを支援。 HRインスティテュートでは主にロジカルシンキングやビジネスコミュニケーション、プレゼンテーションに関するプログラムを担当。 日本アクションラーニング協会公認アクションラーニングコーチ(ALC)/キャリアコンサルタント(国家資格)/青山学院大学学校教育法履修証明プログラム修了ワークショップデザイナー
記事一覧

おすすめ記事

ページトップへ
©2021 HR Institute Inc.