エンゲージメントサーベイとは?実施目的や活用メリット、注意点を解説
近年、多くの企業で取り入れられ、注目度が高まっている「エンゲージメントサーベイ」。
社員と組織の現状把握や、課題解決に向けて欠かせないツールといえますが、その活用については「自社に必要か、最近検討し始めた」という企業担当者も多いようです。
本記事では、エンゲージメントサーベイとは具体的にどのようなものなのか、実施する目的やメリットから、注意点やパルスサーベイとの違いまで、詳しく解説します。
エンゲージメントサーベイとは?
エンゲージメントサーベイの「エンゲージメント」とは、ビジネス領域において「愛着心」や「思い入れ」「心的なつながり」など、社員と会社の関係性を表す言葉です。
社員のエンゲージメント(従業員エンゲージメント)が高ければ高いほど「組織に貢献するために業務に打ち込んでいる意欲的な状態」で「組織のビジョンや企業理念、目標を理解し共感している状態」だといえます。
用語解説「エンゲージメント」❘ 組織・人材開発のHRインスティテュート
エンゲージメントサーベイとは、社員と企業の間にあるエンゲージメントの状態を数値化・見える化し、現状を把握するための意識調査です。
一般的には、半年から1年に1回程度の頻度で実行し、約20~100問の設問結果を分析して、一人ひとりに対してフィードバックや課題解決まで行います。単発ではなく、定期的に継続して実施することがポイントです。
エンゲージメントサーベイを取り入れることで「社員が活力、熱意を持って意欲的に仕事をしているか」「企業の課題をどのくらい自分ごととして捉えているか」「企業理念を共有できているか」などを測定することができます。
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エンゲージメントサーベイの実施目的
企業がエンゲージサーベイを実施することにより、社員や組織の状態を客観的に把握することが可能になります。
社内にある課題を明らかにすること、また、課題を解決へ導くことで社員のエンゲージメントを高め、企業の生産性向上や業績アップにつなげることが、エンゲージメントサーベイを実施する主な目的です。
【エンゲージメントサーベイの目的】
- 組織課題を把握し、可視化する
- 社員と企業の間に生まれたギャップを把握する
- 戦略的な人事施策に生かす
- 生産性を向上させ、業績アップを目指す
企業において、人材育成がうまくいかず、なぜか離職率が高い場合や、社員の主体性が引き出せない場合、また、優先的に解決すべき課題が見えてこない場合などにも、有効な人材マネジメント施策として活用できるツールです。
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エンゲージメントサーベイとパルスサーベイの違いは?
パルスサーベイとは
近年、エンゲージメントサーベイとともに注目されているパルスサーベイ。エンゲージメントサーベイと混同されがちな言葉ですが、パルスサーベイとは、簡易な質問を短期間なサイクルで繰り返し実施する意識調査のことです。週1回から月1回ほどの頻度で、5~10問程度の簡単なアンケートを行うことで、社員や組織の変化をすぐに発見し、リアルタイムで対処することができます。
パルスサーベイの実施目的
パルスサーベイ実施の目的は、エンゲージメントサーベイと同様に、企業が社員のエンゲージメントをタイムリーに把握し、社員のパフォーマンスやモチベーションの低下を未然に防ぐことです。また、社員の定着率向上・人材流出を未然に防止することにも役立てられています。企業にポジティブな効果を与えられる調査ツールだといえるでしょう。
エンゲージメントサーベイとパルスサーベイの違い
エンゲージメントサーベイ(センサスサーベイ)とパルスサーベイの目的は社員のエンゲージメントを測定することで、組織の課題を可視化し解決につなげていくことにありますが、それぞれの違いは実施頻度や設問数に見られます。
センサスサーベイは半年~1年に1回の頻度に対し、パルスサーベイは1週間~1か月に1回の頻度で行われます。頻度に合わせて問題数にも違いがあり、センサスは20~100問に対しパルスサーベイは5~10問と少なく、回答に対する社員の負担も変わってきます。
センサスサーベイは多くの設問によって深く詳細に組織の状態が見られるため、包括的な分析や経年での変化を把握することができます。一方で、パルスサーベイは短い頻度で行われることでスピード感を持って課題の把握、迅速なアクションが可能となります。
それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、併用する企業も多く、目的に応じて使い分けする必要があります。
エンゲージメントサーベイ (センサスサーベイ) | パルスサーベイ | |
頻度 | 半年~1年に1回 | 1週間~1か月に1回 |
設問数 | 20~100問程度と多い | 5~10問程度と少ない |
時間 | 10~40分程度 | 2~3分程度 |
調査項目 | 会社のつながりの深さや、ビジョン・理念の共有度合い、貢献意欲など、主に社員の「働きがい」に関すること |
エンゲージメントサーベイの活用メリット
企業がエンゲージメントサーベイを活用するメリットには、次の6つが挙げられます。
- 人事トラブルを未然に防げる
- 社内の課題を発見し、改善することで離職率が低下する
- 社員への適切なフォローによって、モチベーションの維持や生産性向上が期待できる
- 課題解決によりポジティブに仕事に取り組め、チームや組織の雰囲気がよくなる
- エンゲージメントが高まると、課題を「自分ごと」として捉えられ、主体性が高まる
- エンゲージメントが高い社員によるリファラル採用など、採用活動によい影響をもたらす
収集・分析したデータを基に、企業が社員に最適なアプローチを行えることがエンゲージメントサーベイを実施する大きなメリットだといえます。特に、組織で発生する人事トラブルは、対策を間違えると小さな問題から大きな問題へと発展しやすく、最終的には訴訟にまで至ってしまうというケースも少なくありません。
企業の対応が遅れて深刻化した場合は、テレビや新聞、インターネットで報道され、今後の人材確保が困難になったり、ブランドイメージが低下したりする恐れがあります。企業が初期の段階で人事トラブルを見つけ出し、セクハラやパワハラなどのハラスメントを未然に防ぐことが重要です。
また、エンゲージメントサーベイを実施すれば、社員一人ひとりのエンゲージメントの低下をすばやく把握し、上司や人事担当者がその原因となっている課題の解決策について、すぐにアプローチすることができます。
明確になった課題に企業が対策を講じて解決することで、社員のエンゲージメントが高まり、モチベーションが向上。仕事への意欲や主体性が生まれ、離職率の低下、採用活動への好影響、生産性の向上まで、さまざまなメリットが生まれるでしょう。
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エンゲージメントサーベイの注意点
エンゲージメントサーベイを実施する上で、企業が主に注意すべき点は次の5つです。
目的を明確にすること
具体的にどのようなことを調査したいのか、実施する目的を明確にすることで、適切な人事施策が行えます。組織内にエンゲージメントサーベイの必要性が浸透し、フィードバックもスムーズになるでしょう。
事前に周知・理解を得ること
エンゲージメントサーベイの実施を事前に周知すれば、調査への拒否反応にもていねいに対応することができます。調査が社員の不利益にならないこと、エンゲージメントを分析・測定することに意義があることなどを、分かりやすく説明することがポイントです。
適切なタイミングで実施すること
繁忙期で忙しいときには、回答率が低下する可能性があります。一人ひとりの本音を引き出すためにも、エンゲージメントサーベイを実施する際には、社員全員に理解を得られる最適なタイミングで行うなど、負担がかからないように注意しましょう。
定期的に継続して実施すること
企業が継続してエンゲージメントの測定結果を分析することで、社員や組織の小さな変化に気づきやすくなり、優先して取り組むべき課題を早期に発見することができます。また、対策を講じて課題を解決した後も継続的に効果を測り、改善要素がないか、確認することが重要です。
外部サービスの選択
エンゲージメントサーベイの実施で成果を上げるためには、結果の分析と改善をセットで行うことが必要です。そのためには、設問設計に信頼性のある専門の外部サービスを活用することが有効でしょう。ていねいなコンサルティングやフィードバックでサポートしてくれるサービスを選択することが大切です。
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まとめ
エンゲージメントサーベイとは、社員と企業の間にあるエンゲージメント(愛着心・心的なつながり)の状態を数値化・見える化し、現状を把握するための意識調査です。
実施目的には「組織課題を把握し可視化する」「社員と企業の間に生まれたギャップを把握する」「戦略的な人事施策に生かす」「生産性を向上させ業績アップを目指す」などが挙げられます。活用メリットは、社員のモチベーション維持や離職率の低下、生産性向上など、多岐にわたることがポイントです。
導入時の注意点を理解した上で、戦略的な人事施策として有効なエンゲージメントサーベイを、定期的に実施しましょう。
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