FinTech(フィンテック)とは?意味と国内外の企業事例を紹介

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近年、あらゆるビジネスシーンで耳にする機会が増えた「FinTech(フィンテック)」。

テクノロジーを活用した新たなサービスとして浸透しつつあるものの、基本情報や付加価値については、認知度的にまだまだ低い傾向にあるようです。

本記事では、FinTechとは具体的にどのような意味を持つ言葉なのか、その概要から実現できるサービスの内容、国内外の企業事例まで、わかりやすく紹介します。

目次

FinTech(フィンテック)とは?

ここ数年、さまざまなメディアで目にするようになったFinTech情報。FinTechとは、「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語です。金融サービスとテクノロジーを結び付けて、革新的な商品・サービスを生み出す動きを指しています。

用語解説「フィンテック(Fintech)」❘ 組織・人材開発のHRインスティテュート

FinTechという言葉は、2000年代前半にアメリカの金融業界やIT業界を中心とした企業で広まりました。勢いが増して盛んになったきっかけには、2008年のリーマン・ショックの金融危機において、業界内の再編が行われたことが挙げられます。

AIやIoT、ビッグデータなどのテクノロジーを活用するスタートアップやベンチャー企業が続々と登場し、従来の銀行システムに頼らない、新たなFinTechの概念・取り組みが浸透し始めました。その最新技術によりイノベーションを起こし、金融業界の枠組みを取り払った「付加価値の高い商品・サービス」を誕生させたことが、勃興の始まりです。

日本国内でもFinTechの市場規模は年々拡大しており、デジタル技術の進化とともに、法律を含めた規制・環境整備が、加速度的に進んでいます。官民一体となった取り組みにより新しい事業者が次々に参入し、ビジネスの種類も多様化していることがポイントです。異業種間の業務提携や協業などで、FinTech市場は今後も大きく成長すると見込まれています。

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FinTechで実現する便利なサービス

注目されるFinTechの主なサービスには、次の6つが挙げられます。

〇決済・送金サービス
金融機関での手続きが必要ないキャッシュレスサービスはFinTechのサービスであり、クレジットカードは代表的な決済の一つです。近年は、インターネットを使用してスマートフォンなどからお金を送金したり決済したりすることが増えています。QRコード・バーコードを利用したPayサービスも大手のIT企業が参入し、利用者が急増しました。

〇資産管理・運用
家計簿アプリのような役割を持ち、個人財務を管理・運用する「PMF:Personal Financial Management」も、消費者にとって身近なFinTechサービスです。毎月の収入・支出を見える化し、計画的に資産運用・投資ができるよう、AIを活用したロボアドバイザーからアドバイスをもらうことができます。

従来の家計簿ソフトとは異なり、複数の銀行口座や証券、保険などに分散しているデータを一括して管理できるのがポイントです。

〇保険
保険分野では「Insurance(保険)」と「Technology(テクノロジー)」をかけ合わせた「InsurTech(インシュアテック)」と呼ばれるfintechが誕生しています。AIを活用した業務の効率化や、健康増進型の新たな保険のサービスが期待されています。

他にもIoTを活用して収集されたデータにより、保険契約者の行動特性やリスクを測定し、自動車保険料や医療保険料に反映する保険のサービスがあります。

〇仮想通貨(暗号通貨)
仮想通貨とは、国や中央銀行が発行する紙幣・硬貨ではなく、電子データでやりとりされる新しい貨幣のことです。取引を記録し、改ざんを防いで通貨の価値を守るブロックチェーンの技術を応用した、便利なサービスとして知られています。

例えば、ビットコインなどの仮想通貨は、投資・運用可能な金融商品として注目されています。もともとは途上国から先進国へ出稼ぎに来た労働者が、安価な手数料で海外送金を行う際に多く利用されていたサービスでしたが、現在はビットコインの大きな値動きに注目し、投機の対象として購入するケースが増えています。

用語解説「NFT(Non-Fungible Token)、非代替性トークン」❘ 組織・人材開発のHRインスティテュート

〇融資・ローン
銀行やローン会社の融資・ローン業務にもFinTechサービスが導入されています。例えば、AIやビッグデータの技術を活用して住宅ローンを比較したり、個人の融資限度額や貸付利率の測定をしたりなど、さまざまなサービスが受けられるようになりました。

建築資金のつなぎローンに特化したオンラインサービスや、ローンの借り換え手続きを代行するサービスなど、提供内容も多岐にわたっています。

また、不特定多数の人からインターネット上で出資を募る「クラウドファンディング」もよく知られているFinTechサービスの一つです。

〇セキュリティー

金融サービスにおいて重要なセキュリティー。ハッキング、サイバー攻撃、不正ログインなどの問題が発生する恐れを踏まえ、AIで本人確認業務(生体認証)を行うサービスが誕生しています。

Web上での会員登録やログインにかかるユーザーの負担を軽減しつつ不正なログインを防ぐサービスや、既存の課題を克服した次世代のワンタイムパスワードサービスなど、従来に比べて効果や安全性が高いサービスが特長です。

FinTechの企業事例

FinTechは各企業で取り扱うサービスに違いや特長があります。国内外におけるFinTech企業4社の事例を見ていきましょう。

【国内の企業事例】
〇freee株式会社
「クラウド会計ソフト freee」や「人事労務ソフト」などを提供するfreee株式会社は、ビジネスの柱として「高い利便性を提供できるFinTech事業」に取り組んでいます。AIを活用して経理や人事労務全般を自動化・最適化し、業務効率の変革を実現。企業のバックオフィス業務にかかる時間やコストを大幅に削減しています。

その他、業務管理のSaaSとFinTechを組み合わせた「freeeカード Unlimited」では、統合型コーポレートカードとして、急成長するスタートアップの資金調達を支援。小規模事業者に適したサービスを提供しています。

〇PayPay(ペイペイ)株式会社
PayPay株式会社は、キャッシュレス決済の普及を目指して、2018年6月にソフトバンクとヤフーによって設立された企業です。モバイルペイメントなど、利用に応じてポイントがたまる電子決済サービスの開発や提供を行っています。

スマートフォンに表示されたバーコードを見せるか、店頭に掲示されたQRコードを読み取ることで、現金やクレジットカードを使わずに決済することが特長です。PayPayユーザー間での送金が可能なこと、PayPayフリマやヤフオク!の売上金を残高にチャージできることも大きな利点といえるでしょう。

【海外の企業事例】
〇Chime
Chimeは、世界最大級のネオバンク(銀行免許や営業店舗を持たずに、主にモバイルで金融サービスを提供する企業)の一つです。新型コロナウイルスのパンデミックを契機に、アメリカにおいて利用者が急増した会社になります。

ユーザーは給与を前もって受け取れる機能付きアプリ「Chime – Mobile Banking」を使ってデジタルバンキングを利用し、コロナ救済策の補助金もアプリから受け取ることができました。

口座手数料は無料で、ユーザーが利用した店舗から手数料を得る構造になっています。

〇Stripe(ストライプ)
2010年に創業(2011年に設立)したアメリカ発のStripeは、世界14カ国に事業所を展開する、ビジネス向けのオンライン決済サービス会社です。常時135以上の通貨と支払い方法を選択でき、銀行振替やウォレットにも対応しています。
Stripeのサービスは、初期費用がかからず、大がかりな審査も設けていないため、会社の登記番号や責任者の電話番号、身分証などの情報を登録すれば、最短1日で利用できることが特長です。世界的に急成長を遂げている会社として、現在は100万を超える企業にサービスが導入されています。

全社員のうち40%以上がエンジニアである同社は、サービスの実用面を充実させるよう常に品質の改良を続け、競合他社に対抗できるツールを開発していることが強みです。

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まとめ

FinTechとは、「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語で、金融サービスとテクノロジーを組み合わせて、革新的な商品やサービスを生み出す動きを指しています。これからの金融サービスにおいて、FinTechは主軸になるともいわれています。

近年は、FinTechにより「決済・送金サービス」「資産管理・運用」「保険」「仮想通貨(暗号通貨)」「融資・ローン」「セキュリティー」などの分野で、便利なサービスが続々と誕生しており、今後もユーザーにとって使いやすいシステムが拡充される見込みです。

目まぐるしく変化するFinTechへの理解をより深め、業界の動向に注視しましょう。

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