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【HRI特別プログラム】ワークアウト (プロセスコンサルティング型プログラム) 【HRI特別プログラム】ワークアウト (プロセスコンサルティング型プログラム)

ワークアウトとは?ビジネスにおける意味やメリット、実施ステップを紹介

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企業の人材開発や課題解決に効果的な手法として「ワークアウト」があります。研修やセミナーなどの受動的なプログラムとは異なり、ワークアウトは社員が中心となって取り組む実践的な手法です。社員が主体性を持って行動し、変革型で機動力のある組織をつくっていくためには、戦略的なワークアウトの導入が不可欠です。

この記事では、ワークアウトの意味やビジネスにおける導入のメリット、実施ステップについて解説します。

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目次

ワークアウトとは

ワークアウトとは、英語の「work out」を語源とする外来語であり、一般的には身体を鍛えたり、美しく引き締めたりするための運動を指します。

Work Outの意味

work outには「運動する」以外に「解決する」「成功する」「考案する」「計算する」という意味もあります。答えを導き出すこと、物事がうまくいくことを表現する際によく用いられます。

例えば「契約を締結する」「プロジェクトがうまくいく」「会計が~という金額(計算)になる」「人間関係がうまくいく」ことをあらわす際など、海外ではいろいろなシーンで柔軟に使用されています。

日本語でよく使われる「何とかなるさ」は、英語で以下のように表現することができます。

It will all work out.

ビジネスにおけるワークアウト

ビジネスにおけるワークアウトとは、ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ元会長が1980年代末に提唱した「組織の業務・風土を改善するメソッド」をいいます。もともとはニューイングランドの伝統的なタウンミーティングを参考に、ざっくばらんに話し合ったボトムアップの改善策を実践するように制度化したものです。社員に対し積極的な発言や主体的な参画を促し、組織の中で個々がどう動けばよいのか自ら考えられる組織風土を目指しています。

ワークアウトでは職能や肩書に左右されず、組織をよりよくするためのセッションを参加者全員でおこない、そこで導き出した解決策を責任者に提案します。責任者は提案の採用・不採用を先延ばしせずその場で決定するのが原則で、もし即答できない場合は判断を下す期限を決めなければなりません。ワークアウトはそのプロセスだけでなく最終判断までが非常にスピーディーに進むため、現場からの意見を実現までスムーズに結び付けることができます。

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ワークアウトと研修の違い

ワークアウトは、参加者が中心となってディスカッションし、課題に沿って成果を出せるように現場で動いていく実践的なプロセスです。ワークアウトの目的はビジネスの成果につなげることと、その過程で人材が成長することの2つです。

一方、研修は講師が指導し、それを受講者が受け身で学ぶスタイルが主流です。知識やノウハウなどの知識習得やスキルアップなどの教育がメインの目的です。

ワークアウトとケーススタディの違い

ケーススタディとは事例研究のことです。ビジネス領域では、企業の成功例や失敗例、起こりそうな事例を題材として何が原因でそのような結果になったのか、法則や原理を考える学習法です。ケーススタディによって、参加者は課題の発見から解決策の立案、実行までを追体験できるため、問題発見能力や問題解決能力が高まります。

しかし、ワークアウトのように現実に成果を出すための取り組みを実践することはありません。ケーススタディはあくまで研究あり座学です。

ワークアウトとコンサルティングの違い

コンサルティング(コンテンツ・コンサルティング)とは、外部のコンサルタントが顧客の抱える課題を理解したうえで、問題解決に向けて提案をおこない、企画立案から実行までプロジェクトメンバーをサポートすることを指します。コンサルティングは通常、コンサルタントがアウトプット作成を行い、成果物として納品する形で遂行します。この形態の場合、コンサルタントの持つメソッド、思考力などが依頼した企業側に残りにくいという課題があります。

ワークアウトはプロセス・コンサルティングと言い換えることができ、アウトプット創出のプロセスを伴走することを主軸にしています。外部のファシリテーター役が課題解決から実行までを支援しますが、前提に「実践」がある点が違います。ワークアウトに携わるみ、外部のコンサルタントやファシリテーターによるサポートを受けながら、社内メンバーが一連のプロセスを実践することで、主体的に取り組むようになるだけでなく、社内に実践を通じて得たメソッドやノウハウが留保されます。

ワークアウトのメリット

ワークアウトの導入によって企業が得られるメリットは次のとおりです。

現場志向のアイデアが生まれやすい

社員参画型でおこなうワークアウトは現場の声をすくい上げやすく、現場志向による画期的なアイデアの創造に期待が持てます。また、現場の社員の意見をもとに、現場にとって優先度が低く、企業にとっても価値を生まないような業務を削減することもできます。現場の声が具体的な行動に結び付くことで、現場レベルの社員のモチベーションアップにもつながります。

組織文化の書き換えができる

ワークアウトは複数の承認が不要で意思決定のスピードが速いため、これまでのビジネスモデルからの脱却を可能にします。また、社員が参画しやすい雰囲気をつくることで議論が活発化します。社員の意見が反映されることが理解されると、積極的に事業について提案する社員も増え、主体的な組織文化への変革も目指せるでしょう。

次世代のリーダーを育成することができる

ワークアウトに参加すると、参加者は組織のリーダーとしての目線で、自ら問いを設定し、考え、行動し、成果を出し、検証していくプロセスを経験できます。そのためリーダーシップや課題解決力、意思決定力が向上します。成果につながるだけでなく次世代のリーダーの育成にもなるところが大きなメリットです。

短期間で経営を立て直すことができる

ワークアウトは単なるアイデア出しや課題の共有にとどまらず、責任者の承認や社員への権限移譲などの決断・行動・実践までを含むプログラムです。社員の提案に対し、責任者は即断即決が求められるためチャンスをいち早く掴み、危機に対しても素早く対策をとることができます。非常に即効性があり、短期間での経営の立て直しに効果的です。

自社のビジネスモデルに変革をもたらす

ワークアウトを通じて新規事業の課題設定からコンセプト立案、仮説検証、事業化までをおこなうこともできます。ワークアウトは十分な予算・権限が現場にあり、責任者が即時決裁を持つ体制なため、プロジェクトの成功確率も高くなります。ワークアウトを通じて新しいビジネスモデルが生まれ、それまでのモデルに変革をもたらすことが期待できます。

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ワークアウトの実施ステップ

経営課題が何かによって取り組み方法に違いはありますが、基本の実施ステップは以下の流れです。

ステップ①インプットする

まず、参加メンバーに課題についての情報や知見をインプットします。ビジネスは、業界はもちろん世界の動向から大きな影響を受けます。外部企業に依頼し、マクロ環境変化(経済、テクノロジー、政治、業界のトレンド)が自社にどう影響するかをレポートしてもらいます。

また、この先のステップを進めるために必要なスキルのインプットや、他企業の経営者の話を聞いて刺激を受け、変革へのマインドセットを整えることもインプットの一部として企画されます。

日頃、社内に意識が向きがちなメンバーもこのような情報を目にすると自社の事業を多角的に捉えられるようになり、積極的に学ぶ姿勢が出てきます。

ステップ②問いを立てる

自社を取り巻く環境の変化を知り、必要なスキルを獲得したうえで、ワークアウトの題材に対して自分がリーダーならどのような戦略を今後とるべきか?何を改善すべきか?などの問いを立ててもらいます。問題発見力のトレーニングになります。

日頃から問題意識を持つ社員は、自分の現場の仕事に立脚した問いを出すことができるでしょう。設定しやすいように、大枠を経営陣から示したうえで問いを設定する方法をとることもできます。

ステップ③対話する

課題に対して、メンバー同士でディスカッションします。役職や社歴などの違いを脇におき自由にディスカッションしてもらうことが重要です。1人で課題の解決策を考えるのではなく、複数の立場が異なるメンバーが当事者として、どのような未来を描きたいのか対話することで、アイデアに様々な視点が盛り込まれてプラッシュアップされていき、質が高まります。

とはいえ、一般的な日本企業では、上位の役職者がいると意見を控える社員もいます。「アイデアを否定しない」というブレインストーミングのルールを知らない人もいるでしょう。

そのため、別途参加者全員にファシリテーションなどのコミュニケーションスキルのトレーニングをおこなうことが望ましいといえます。

ステップ④行動する

会議室で話し合って終わりではなく、議論して出てきた仮説を立てそれを検証します。まず、仮説が正しいかを公的データなどの一次情報で確認します。感覚的に捉えていたことがデータで裏付けられることもあれば、その逆もあります。思い込みやイメージではなくデータ・ファクトから考える力をつけてもらいます。最適なデータがない場合、自分たちでアンケート調査を実施してもよいでしょう。また、現場で考えたことを実行に移して感触を確かめます。

ステップ⑤次の計画を立てる

アクションを通じて得た情報をもとに、プロトタイプを仮説として構築するステップです。現場で本格的に実行し、その結果をもとにさらなる改善個所について話し合い、次のステップの行動計画を立てます。提案すべき仮説の内容と実行した成果を社内で報告します。

同時に、自らの巻き込み力や論理的思考について振り返りを実施してもらいます。これは、気づきをもとにリーダーとしての器を形成してもらうためです。

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ワークアウトのプログラム

HRインスティテュートは多様なワークアウトのプログラムを提供しています。いずれもコンサルタントが長期間伴走しながらメンバーを支援します。

新規事業開発ワークアウト

社内プロジェクトメンバーが新規事業を作り上げる支援をするワークアウト・プログラムです。課題設定からコンセプト立案、リサーチなどの仮説検証サイクルの実行プロセスをコンサルタントが並走します。

新規事業開発ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

新商品開発ワークアウト

コンセプト構築から事業収支計画策定までの商品開発の全プロセスをコンサルタントが支援します。新商品開発という目的だけでなく、自社ならではの独自性の高い新商品を創りだせる人材育成も目的とするプログラムです。

新商品開発ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

経営戦略策定ワークアウト

経験豊富なコンサルタントが経営戦略の立案をサポートします。第三者の視点が入ることで、視点の抜け漏れを防ぎ、自社内では気づきにくい強みを見出すことができます。未来の発展につながる中長期的な戦略立案構築をサポートします。

経営戦略策定ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

事業戦略策定ワークアウト

参加者の戦略策定スキルを鍛えるプログラムです。メンバーがコンサルタントの知見・分析力を活用しながら事業の方向性(ビジョン)を打ち立て、そのビジョンを実現するための戦略を立案し、事業のロードマップに落とし込むまでを支援します。

事業戦略策定ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

営業戦略立案ワークアウト

会社の社風も踏まえたうえで、顧客の期待を超える営業戦略を立案するワークアウトです。営業のプロセスや営業スタイル、顧客管理、商談管理などトータルな観点から科学的で再現性の高い営業の仕組みづくりをおこなうサポートをします。

営業戦略立案ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

マーケティング戦略立案ワークアウト

外部環境の変化、変化にもとづく顧客の定義、市場のポジショニング、どのような価値を顧客に提供するか、というマーケティング戦略立案の一連のプロセスを支援するプログラムです。提供先によって内容のカスタマイズが可能です。

マーケティング戦略立案ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

戦略実行ワークアウト

戦略とは何かについて体系的に学習し、戦略立案プロセスやフレームワークを理解することができるプログラムです。ファクトによる仮説構築力や仮説検証力も強化されます。研修だけで終わらず実際の現場での戦略実行までサポートします。

戦略実行ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

ビジョン&戦略ワークアウト

事業を俯瞰的に捉えたうえでビジョンを打ち出し、戦略シナリオを策定するワークアウトです。外部・内部環境の分析、課題の体系化、目標の策定、戦略策定、アクションプラン策定までのプロセスを一気通貫で作り出すサポートをします。

ビジョン&戦略ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

他流試合ワークアウト

異業種や多様なビジネスパーソンと本気で議論を交わし、アウトプットすることを目指すワークアウト(越境学習プログラム)です。転勤や出向などの異動でしか得られないようなアウェイの体験ができるため、さまざまな学びがあります。

他流試合ワークアウト(越境学習プログラム) – 組織・人材開発のHRインスティテュート

課題解決ワークアウト

各部門が直面する課題に対し、コンサルタントが受講者に並走し、問題発見から原因探索、課題形成から解決策の設定・実行までのプロセスを支援します。実践的な問題解決能力を高めながら、成果につなげていくワークアウト・プログラムです。

課題解決ワークアウト – 組織・人材開発のHRインスティテュート

ワークアウトの注意点と成功ポイント

いち早く取り組みを進めた企業でも、ワークアウトの本質を理解していなければ、社員が自由に意見を出し合い、議論が活発化したところで終わってしまうことがあります。しかし、ワークアウトはアイデア出しだけで終わるものではなく、グループで導いた課題解決策について責任者の承認を得ること、さらにその策を実行に移すことまでが含まれています。企業がワークアウトに取り組む際は、ワークアウトという名の「集まり」で満足せず、具体的な実践に結び付けることを意識しなければなりません。

ワークアウトの必要要素は、課題解決に向けた迅速な意思決定、現場への権限委譲、そして決定事項の実践です。これらを念頭に置き、外部コンサルタントやプログラムによるバックアップを受けながら実施するのが成功のポイントです。また、最初は課題の数をしぼるなど、ワークアウトを取り組みやすくする工夫も必要になるでしょう。

まとめ

ビジネス上のワークアウトとは、積極的に現場の声をすくい上げ、組織の課題解決までを迅速に取り組む手法をいいます。スピード感のある意思決定により社員に意欲と主体性が生まれ、企業における組織風土の変革を目指せる特長があります。実践的かつ戦略的なワークアウトを導入し、社員が中心となる取り組みが企業全体に浸透すれば、経営課題の解決とともに企業力の底上げにつながっていくでしょう。

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