新規事業でよいアイデアを出す方法とは?事例とフレームワークも詳しく紹介

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変化の激しい市場環境の中で企業が成長していくには、新たな収益をもたらす新規事業への取り組みが欠かせません。しかし、新規事業の立ち上げを考えていても実現や成功に結び付きそうなよいアイデアが浮かばず、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、新規事業でよいアイデアを出す方法について、アイデアを生み出すフレームワークや企業の事例とあわせてご紹介します。

目次

新規事業の定義とは

新規事業のアイデアを考えていると、満たすべき要件がわからなくなったり、周囲との認識にズレを感じたりすることがあります。まずは新規事業の定義を明確にし、関係者の間で認識をそろえておくことが大切です。

新規事業とは、収益を生み出す新しいシステムをつくることです。

事業の要素には「商材(商品またはサービス)」と「市場」がありますが、この両方が新しいものである必要はなく、既存の商材を新たな市場で販売することも、開発した新商材を既存の市場で販売することも新規事業といえます。

つまり、新規事業の要件としては「収益を生み出せる内容であること」「商材と市場の両方、またはどちらかが新しいものであること」の2点が挙げられます。加えて、新規事業を考えるうえでは「新規事業が自社の経営理念や経営戦略に沿っているか」という視点を社内の共通認識として持っておくことも重要です。

最初に自社が求める新規事業の定義や要件を明らかにしておけば、社員同士が新規事業のアイデアについて話し合う際に、認識のズレが生じたり間違った方向に進んだりすることを防げるでしょう。

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新規事業のよいアイデアを出す方法

新規事業のよいアイデアを考えるときは、自らの固定概念を手放しさまざまな視点で自由に考えてみることが大切です。

まずは以下の方法を試してみましょう。

●日常生活の中にある「不」を探す
日々の生活の中で「不」を探してみましょう。例えば「不安」「不満」「不便」などです。「これが不便で困っている」「もっとこうだったらいいのに」と感じたことは、新規事業のアイデアを考える際のヒントになります。家族や友人など身近な相手に聞いたり、子どもや高齢者など自分とは異なる立場の目線で考えみたりするとよいでしょう。

ただし、すでに解決手段としてのサービスが存在する場合もあるため、リサーチは欠かさずおこなってください。

●世の中の流れとニーズを把握する
広い視点で世の中の流れを把握しニーズを汲み取ることも、新規事業のアイデアを考えるうえでは重要です。世の中を知ることで、トレンドをいち早くつかみ優位性を確保したり、今後、需要の減少が予測されるジャンルを避けたりできるでしょう。

現在はWeb上でも、官公庁や自治体、業界団体、民間調査会社などが発表するさまざまな調査データを閲覧できます。また、経済誌や情報誌などのメディアを定期的にチェックすることも有効です。

●既存事業の強み・弱みから考える
自社・他社の既存事業から長所と短所を分析することで、強みをほかの分野で活かすアイデアや、異なる要素や技術を用いて弱みを補い、新たな付加価値を生み出すアイデアにつながる可能性があります。複数の異なる既存事業から、強みとなる技術や知識をかけ合わせて新たな組み合わせを考えるのもよいでしょう。

●社外のアイデアを取り入れる
社内だけで新規事業の有望なアイデアを出すことに限界を感じたり、より革新的な事業に取り組みたい場合は、社外からアイデアを取り入れる方法もあります。

企業が自社以外の組織が持つリソースを取り込んで技術革新を起こすことを「オープンインイノベーション」といい、近年は経済産業省でも取り組みを促進しています。オープンイノベーションを取り入れる際は、企業と企業をつなぐビジネスマッチングサイトやプラットフォームの中から、自社のニーズに合ったものを選びましょう。

また、他社との協業ではなく、まずは自社での取り組みから始めたい場合は、社外のワークショップに参加したりコンサルタントに相談したりすることをおすすめします。

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新規事業のアイデア発想を助けるフレームワーク

マンダラートはアイデアを生み出す発想法で、紙と鉛筆のみで手軽に取り組めます。
マンダラートの具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 縦3マス×横3マスの9マスを書いた用紙を用意する
  2. 中心のマスにテーマやアイデアを書く
  3. 中心のマスに関連する語句を周囲の8マスに書く
  4. すべてのマスが埋まったら、8マスの中から思考を深めたい一つを選択する
  5. 1の用紙を再び用意し、中心のマスに4で選んだテーマを転記する
  6. 3以降を繰り返す

マンダラートはビジネスやスポーツなどさまざまな分野で取り入れられており、一つのテーマから視野を広げたり思考を深めたりしてアイデアの量を増やすことができます。

●アイデアを具体化する「スキャンパー法」
スキャンパー法とは、ブレーンストーミングを発案したアレックス・F・オズボーンによる発想法「オズボーンのチェックリスト法」をより使いやすく改良したものです。

スキャンパー法の「SCAMPER」は以下7つの質問リストの頭文字をとっています。
・Substitute:入れ替えたら
・Combine:統合したら
・Adapt:応用したら
・Modify:修正したら
・Put to other uses:使い道を変えたら
・Eliminate:取り除いたら
・Rearrange/Reverse:並び替えたら、逆にしたら

スキャンパー法は、今あるアイデアの具体化に役立つフレームワークです。上記のリストにあてはめて考えることで、アイデアの改善や応用ができるようになります。

●アイデアを成功へ導く「4P分析」
4P分析とはマーケティング戦略を考える際に用いられるフレームワークの一つで、以下の4つの頭文字をとったものです。
・Product(製品・サービス):どのような製品・サービスを提供するか
・Price(価格):どのような価格・チャージ方法で提供するか
・Place(販売場所・提供方法):どのような販売場所・方法で提供するか
・Promotion(販促活動):どのように販促するか

この4つの視点から考えを深めることで、新規事業のアイデアを戦略的にブラッシュアップできます。

用語解説「4P」|組織・人材開発のHRインスティテュート

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新規事業アイデアの成功事例

新規事業のアイデアを考える際は、他社の成功事例を参考にすることも有効です。

ここでは、革新的なアイデアで新規事業を成功に導いた3社の事例をご紹介します。

●株式会社ダルマン「ムジンノフクヤ」
古着のインターネット販売を手がけるダルマンでは、既存事業で労力に見合う収益を得られていないことが課題でしたが、感染症の流行で非対面のニーズが高まったことを好機ととらえ、24時間営業の無人古着店「ムジンノフクヤ」をオープンしました。

ムジンノフクヤのコンセプトは「日本一ゆっくり買い物ができるお店」です。人目を気にすることなく、試着も自由にできる店舗づくりをおこないました。

2020年8月のオープン当初から話題を集め、1か月目にして黒字を達成しました。その後も既存事業であるインターネット販売の2倍の売上高を毎月達成し、オープン1年目にしてフランチャイズを含む計4店舗に拡大しています。

●有限会社みさとみらい21「Baby’s Memory Album」
地方自治体向けの印刷物製作を主な事業としていた、みさとみらい21では、既存事業の閑散期を「利益を生む製品づくり」にあてるため、また下請けの立場を脱却するために、自社製品の開発に着手しました。

同社が発案したのは、子どもの誕生から1歳までの写真を収められるじゃばら折りの立体アルバム「Baby’s Memory Album」です。10メートルを超える巻物のような印刷物を自社で製作できること、担当者に子育ての経験があったことから生まれた製品です。

自社グループでは厚紙の長尺印刷ができないため、製品化の段階で自前主義を捨てて外部に生産を委託。顧客ニーズを優先した製品づくりをおこなった結果、ショーや雑誌で共感を呼び、ウェディング向けアルバムなど派生製品の誕生にもつながっています。

●株式会社キュア・アップ「ascure卒煙プログラム」
医療機関・法人向けアプリの開発やヘルスプログラムの提供をおこなうキュア・アップでは、近年の「禁煙ニーズの高まり」と、それに伴う「禁煙治療の継続の難しさ」に着目しました。

そこで、ビジネスパーソンが禁煙外来に通う負担を軽減し、孤独な闘いともいわれる禁煙の心理面をサポートするために、完全オンラインで禁煙に取り組めるモバイルアプリ「ascure卒煙プログラム」を開発。一般用医薬品として自宅配送できるニコチンパッチを利用し、医療資格を持つ指導員がオンライン面談で6か月のサポートを実施しました。

アプリには禁煙の取り組み状況を家族にシェアできる機能も実装し、禁煙の成功率を高めています。また、2017年4月には企業の健康保険組合向けに提供を始め、約4年間で導入法人が200件を突破しました。

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まとめ

新規事業でよいアイデアを出すには、ユーザー目線で課題を見つける、自社や他社の強み・弱みから考える、他社の成功事例を参考にするなどの方法があります。社内だけで有望なアイデアが生まれない場合は、社外のワークショップに参加し、外からアイデアを取り入れるのもよいでしょう。

ワークショップでは、よいアイデアを生み出すためのプロセスを体感し、セッションの中で実際にアイデアを形にすることもできます。新規事業の構想や商品企画のためによいアイデアを考えたい方は、外部のワークショップに参加してみることをおすすめします。

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監修者
狩野 尚史
株式会社HRインスティテュート/取締役 プリンシパルコンサルタント 東京工業大学大学院 社会理工学研究科 社会工学専攻 博士課程単位取得退学、金沢工業大学大学院 工学研究科 知的創造システム専攻 修士課程修了、工学修士号。英国留学後、大手建材メーカーにて、商品研究&開発部門、BtoBセールス部門、販売チャネルのIT化推進リーダーを務める。 HRインスティテュートに参画後は、新規ビジネスプランニング支援、ビジネスモデル構築、戦略構築を中心にコンサルティングに従事。
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