ユニコーン予備軍とは?NEXTユニコーンとされる企業事例も紹介

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その希少価値の高さから世界の注目を集める「ユニコーン企業」。日本でもユニコーン企業の誕生が期待されていますが、海外に比べるとまだまだ数が少ないのが現状です。しかし、未来のユニコーン企業として期待される「ユニコーン予備軍」に注目する動きもあり、日本国内でもNEXTユニコーンとして名前が挙げられる企業が多数存在しています。

この記事では「ユニコーン予備軍」を取り上げ、その意味や日本の現状、NEXTユニコーンの企業事例をご紹介します。

目次

ユニコーン企業とは?

ユニコーン企業とは、設立10年以内かつ、企業価値が10億ドル(1ドル150円として1,500億円)以上で、高い成長性を持った未上場企業を指します。希少性の高さから伝説上の生物「ユニコーン」にたとえられ、ユニコーン企業の数はその国の国際競争力の目安となります。

【ユニコーン企業3つの条件】

  1. 起業して10年以内であること
  2. 評価額10億ドル以上であること
  3. 未上場(非上場)であること
    ※テクノロジー関連企業であることは必須条件ではない

2023年10月末時点において、ユニコーン企業の指標の一つ「評価額10億ドル以上」と推計される国内スタートアップは5社のみです。一方、世界全体でみるとユニコーン企業の数は約1,200社にものぼり、日本と世界との差は歴然としています。日本の経済規模から考えても、スタートアップの興隆に関しては世界に遅れをとっているのが現状です。

(参考:NEXTユニコーン推計企業価値ランキング|日本経済新聞

関連記事:【2023年最新版】ユニコーン企業とは?世界・日本の最新ランキングやユニコーン企業に匹敵する日本の成長企業も紹介

ユニコーン予備軍とは?

日本経済新聞社は2017年より、国内スタートアップの企業価値をランキングにまとめる「NEXTユニコーン調査」を実施しています。2023年の調査では160社から回答を得ており、そのうち132社をNEXTユニコーン企業として掲載しました。

これらはいずれも企業価値が50億円以上であり、今後ユニコーン企業となる可能性を秘めた「ユニコーン予備軍」とされます。AI(人工知能)や宇宙産業、ロボットなど、次世代産業を取り扱う企業が目立つのが特徴です。

参考:次の産業界の主役を探せ NEXTユニコーン調査|日本経済新聞

ユニコーン予備軍における日本国内の動き

日本のユニコーン企業の数はまだ少ないものの、ユニコーン予備軍を後押しし、本物のユニコーン企業に育成しようとする動きが日本国内で大きくなっています。

まず資金調達の面では、低金利を背景としてスタートアップが有利な条件で銀行融資を受けやすい環境といえます。他にも、政府は2022年をスタートアップ創出元年と位置づけ、同年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を策定しました。

この計画では、スタートアップへの年間投資額を2022年時点から10倍以上の規模である約10兆円に拡大すること、将来的にユニコーン企業を100社、スタートアップを10万社創出することを目標としています。2022年度は過去最大規模となる約1兆円の予算を組み、国を挙げて国内スタートアップの創出・育成を支援しています。

(参考:スタートアップ育成ポータルサイト|内閣官房

関連記事:日本国内のユニコーン企業を徹底解剖!見えてきた共通点と強みとは

関連記事:スタートアップの意味とは?特徴やベンチャー企業との違いを解説

ユニコーン予備軍とされる企業事例

以下に「NEXTユニコーン」として選出された代表的な企業を紹介します。いずれもユニコーン予備軍としての可能性を秘めた期待のスタートアップです。

五常・アンド・カンパニー株式会社

五常・アンド・カンパニーは2014年に設立された、マイクロファイナンス(小口融資)を中心とした金融サービスの提供を通じて途上国を支援している企業です。ミャンマーやスリランカ、カンボジアなどに展開し、金融機関との取引が難しい個人・零細企業に対して融資をおこなっています。融資事業のみならず、顧客データを活用した与信管理や途上国に進出した企業に対するマーケティング支援など、長期的には融資以外の事業も拡大する計画があります。

参考:五常・アンド・カンパニー株式会社の会社情報と資金調達|日本経済新聞

株式会社アストロスケールホールディングス

アストロスケールホールディングスは2018年に設立された「宇宙スタートアップ」で、スペースデブリと呼ばれる宇宙ごみの除去に取り組んでいる企業です。また、スペースデブリ回収の衛星など関連技術の開発・販売、宇宙ごみ専用保険の開発といったビジネスモデル開発もおこなっています。今後の宇宙開発の進展とともに、同社が手掛けるビジネスモデルの需要も増していくとみられています。

参考:株式会社アストロスケールホールディングスの会社情報と資金調達|日本経済新聞

WHILL株式会社

WHILLは2012年に創業したパーソナルモビリティ製品を提供する企業です。同社の主力商品である電動車椅子「WHILL」は機能性が高く「歩道を走れるスクーター」というキャッチフレーズが付いています。車椅子というと高齢者や身体的なハンディを持った人のものと思われがちですが、同社が目指すのは”すべての人の移動を楽しく、スマートにすること”です。すでにグローバル展開しており、日本のみならず米国や英国、フランスなどでも販売・レンタルをおこなっています。

参考:WHILL株式会社の会社情報と資金調達|日本経済新聞

参考:次世代型電動車椅子|近距離モビリティ-WHILL公式

株式会社ビットキー

ビットキーは2018年に設立されたIoT関連企業で、スマートロックサービス「bitlock(ビットロック)」を提供しています。専用アプリ「homehub」からワンタップで解施錠できる仕様で、家族や友人をアプリに追加すれば合カギも可能です。「homehub」は荷物の置き配や家事支援サービス、共有施設の予約など、自宅や街のモノ・サービスとの連携に対応しています。その他にも、法人向けの入退室管理システム「bitlock PRO」、オフィスのログ管理やアクセスコントロールができる「workhub」などもあり、IoTを活用したサービスで生活の利便性向上に貢献しています。

参考:株式会社ビットキーの会社情報と資金調達|日本経済新聞

参考:bitlock(ビットロック)|スマートロックから始まる、新しい暮らし体験

ユニコーン予備軍のさらなる成長のために必要な3つのポイント

ユニコーン予備軍がさらなる成長を遂げ、本物のユニコーン企業を目指すためには以下の3点がポイントとなります。

関連記事:注目されるデカコーン企業の最新情報と日本の現状とは

ポイント①:綿密な市場分析

事業を成長させるためには綿密な市場分析が欠かせません。将来的な成長性を欠く市場に参入しても成功は見込めないからです。そこで、事前に市場の動向をリサーチしてターゲットを絞り込み、最適な商材でアプローチする必要があります。

市場分析では以下の点を明らかにしていきます。

  • 市場規模の確認とターゲットの絞り込み
  • ターゲットが抱える課題の明確化
  • 競合他社のリサーチ

これら3点を明確にすると、将来的な市場動向の予測とともに、これから自社が参入すべき分野を認識できるようになります。

ポイント②:十分な資金調達の実施

スタートアップが事業を拡大させるために不可欠なのが資金調達です。ところが、一般的に日本ではスタートアップは銀行融資を受けにくいとされます。銀行の融資審査では不動産などの担保価値を重視しており、ビジネスモデルの将来性といったスタートアップの有する資産が十分に評価されないからです。このため、スタートアップの場合は銀行融資や助成金の利用だけでなく、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの資金調達も有効な選択肢となります。

そして、資金調達を成功させるためには、自社のビジネスモデルを示して理解を得なければなりません。その際には投下資金の規模や回収期間について、実現可能なロードマップを提示する必要があるでしょう。

ポイント③:ハイレベルな人材の確保

資金調達に成功したとしても、スタートアップは短期間で成果をあげることが求められており、ハイレベルな人材の確保が必須となります。特に、AIやロボティクスの開発にはスキルの高いエンジニアやクリエイターが不可欠であり、技術に精通した人材を確保できるかどうかがスタートアップ成功の鍵を握るといっても過言ではありません。

あわせて、これまでにない革新的な商品・サービスで新しい価値を創出するためには、失敗を恐れず果敢に挑戦できるような組織風土の醸成も必要となるでしょう。

関連記事:ユニコーン企業とは?日本に数が少ない根本的理由と世界で戦えるユニコーン企業を生み出すポイント

まとめ

革新的なビジネスモデルと驚異的な成長スピードで注目を集める「ユニコーン企業」。世界各国は名だたるユニコーン企業を輩出していますが、日本は遅れをとっているのが実情です。このため、未来のユニコーンとして期待が高まる「ユニコーン予備軍」の存在は、日本経済にとって貴重な存在といえます。

これらがユニコーン企業へと成長すれば、既存の業界を揺るがし、新たな市場を創出する可能性もあります。すべてのステークホルダーにとって、ユニコーン予備軍の動向は見逃せない事象といえるでしょう。

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