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ストーリーテリングとは?意味、やり方、ビジネスでの活用事例を紹介

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商品やサービスの提案、企業のブランディングなどにおいて、物語や体験談を通じ聞き手に強い印象を残す手法として用いられている「ストーリーテリング」。ロジックを重視するのではなく、聞き手の感情にアプローチし共感を得ることを目的としており、さまざまなビジネスシーンで効果的に活用できます。

この記事では、ストーリーテリングの意味とやり方、ビジネスにおける活用事例についてご紹介します。

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ストーリーテリングは伝えたい想いを印象的な体験談や物語を通して聞き手に印象づける手法です。本プログラムでは、ビジネスシーンにおけるこの手法の効果的な活用法を学びます

目次

ストーリーテリングの意味

ストーリーテリング(storytelling)とは、直訳で「物語を話すこと」を意味しま     す。自分の主張に説得力を持たせたり、情報やメッセージを聞き手に印象づけたりする目的で、体験談やエピソード、既存の物語などの「ストーリー」を利用して伝える手法で     す。

アメリカ・スタンフォード大学経営大学院教授であるジェニファー・アーカー氏の研究によると、事実や数字を並べたロジックな説明と、聞き手の感情に訴えかけるような物語性のある説明を比較すると、物語性のある方が22倍も聞き手の記憶に残ることが確認されています(Stanford University『Harnessing the Power of Stories』より)。

物語がもつ「聞き手を惹きつける力」を利用し、共感を得たり強い印象を残したりできるのがストーリーテリングのメリットです。相手の感情にアプローチし、次のアクションへ     促したいときに効果的に使える手法で、企業のブランディングやマーケティング、新製品のプレゼンテーションなど、ビジネスにおいて     多くの場で用いられています。

ストーリーテリングに必要な3つの要素

ストーリーテリングは、説明や主張に物語を用いれば何でもよいというものではありません。効果を得るためには次の3つの要素を満たす必要があります。

●聞き手が共感できる
ストーリーテリングの最も重要な要素は、聞き手が共感できるストーリーであることです。聞き手の感情を動かし、次の行動を喚起させるメッセージを伝えるためには、共感度を高めることが大切です。反対に、共感できないストーリーでは、どんなに魅力的なメッセージを伝えていても聞き手を惹き込むことはできません。

共感を得られるストーリーを考えるには、ペルソナ(ターゲットとなる人物のイメージ像)を明確に定め、顧客の潜在的なニーズを深く理解することが重要です。ペルソナと潜在ニーズをもとに聞き手が共感できるストーリーをつくることが、ストーリーテリングの成功につながります。

用語解説「ペルソナ」❘ 組織・人材開発のHRインスティテュート

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●魅力的かつ新しいビジョン、または真実がある
聞き手の感情を揺さぶり次のアクションにつなげるためには、人を惹きつけるような魅力的かつ新しいビジョンを語る必要があります。商品やサービス、またそれを提供する企業が社会や人をどう変えるのか、変えた先にどのような未来があるのかを聞き手にイメージさせることで、この商品を使いたい、この企業が提供するサービスを見てみたいと思わせることができます。

ストーリーテリングを使いたい提案や主張に新しいビジョンを持たせられない場合、無理に壮大なストーリーをつくるのではなく、自分の経験や思いをもとにした真実のストーリーを提示することが重要です。実際の経験や感情、知識から生み出されたストーリーには人間らしさやリアリティがあり、壮大なものではなくても聞き手を共感させ行動を促すことが可能です。

●情報・メッセージに具体性がある
聞き手を惹き込むためには「想像しやすいストーリー」であることが重要で、情報やメッセージには具体性を持たせる必要があります。例えばストーリーの登場人物を「テレワーク導入後にさまざまな課題が発生し悩んでいる人」とするよりも、「感染症の拡大により急にテレワークを実施することになり、自宅で一人で仕事をする孤独感に慣れず、情報共有の不足やモチベーション維持に悩んでいる人」とするほうが、聞き手の想像力をかき立てやすいでしょう。

抽象的な表現も聞き手によってさまざまな状況をあてはめられる利点はありますが、ストーリーテリングにおいては話に具体性を持たせることで想像しやすくなり、相手の感情を動かし行動を喚起することにつながります。ストーリーテリングを用いる際は具体性を意識し、伝えたい内容についてイメージさせやすくすることが大切です。

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ストーリーテリングは伝えたい想いを印象的な体験談や物語を通して聞き手に印象づける手法です。本プログラムでは、ビジネスシーンにおけるこの手法の効果的な活用法を学びます

ストーリーテリングのやり方:3つのフレームワーク

初めてストーリーテリングを活用する際は、どのように物語を考えればよいか迷うこともあるでしょう。ここでは、物語の筋(プロット)を考える際の参考になる3つのフレームワークをご紹介します。

●チャレンジプロット
チャレンジプロットとは、弱者や挑戦者を主人公とし、強者に打ち勝つための偉大なチャレンジで困難を打開するストーリーを描くものです。映画や小説などの作品、また広告でもよく用いられる定番のストーリーで、幅広い層から共感を得やすいのが特徴です。

チャレンジプロットは、自社やサービスを挑戦者に例えられる、規模やシェアの小さい企業に向いています。巨大企業の独占状態や業界のタブーへの挑戦、ハンディキャップや社会課題の克服などをベースに、強者に挑むチャレンジャーの目線でストーリーを考えてみるとよいでしょう。

●クリエイティビティプロット
クリエイティビティプロットとは、発明家や創業者を主人公とし、既存の常識を覆す画期的な商品やサービスにより、社会に新たな基準を打ち立てるまでのストーリーを描くものです。聞き手の気持ちを高騰させ、ストーリーに対する憧れや自分も加わりたいという願望を抱かせることができます。

クリエイティビティプロットは、自社の商品・サービスが独創的かつ革新的である場合や、創業者にカリスマ性がある場合に効果的です。未来の顧客に対し、自社サービスを利用することでどのような効果を得られるか、どのような状態が新たな基準となるかを明確にできるストーリーを考えましょう。

●コネクションプロット
コネクションプロットとは、人と人、または人と社会のつながりを軸に展開するストーリーを描くものです。人と人がつながるためのコミュニティの提供、企業による社会貢献の取り組みなど、誰が聞いても共感でき、支持したくなる内容をストーリーにすることで、聞き手からの賛同を集めたり評価を高めたりできます。

コネクションプロットは、コミュニティや社会貢献に関する商品・サービスの提供を事業としている場合はもちろん、企業理念をアピールし自社のステータスを高めたい場合にも有効です。サステナビリティやSDGs、カーボンニュートラルなどに積極的に取り組んでいる企業は、競合他社との比較のなかで中長期的な優位性を確保し続けるために、社会との関わり方を軸にストーリーを練ってみるとよいでしょう。

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ストーリーテリングの活用事例

ストーリーテリングの事例として最も多く取り上げられているのは、Apple創業者の一人であるスティーブ・ジョブズの演説でしょう。ストーリーテリングの効果を示す好事例としては、2001年の初代iPod発表のプレゼンテーションが外せません。

iPodは操作性やデザインなどさまざまな面で優れているものの、発売当時はすでに複数の企業がMP3プレーヤーを提供していたため、商品自体は真新しいものではありませんでした。それにもかかわらず、iPodはあっという間に音楽市場を席捲。その背景には「1,000曲もの音楽があなたのポケットに」との短い言葉に込めた、スティーブ・ジョブズが発するストーリーの魅力があったとされています。

このiPodの事例はクリエイティビティプロットに当てはまりますが、ストーリーテリングにおいては誰もが革新的なメッセージや壮大なストーリーを描かなければならないわけではありません。身近な目線でストーリーをつくる過程では、家具販売店のIKEAが発信した「IKEA Home Tour(イケア・ホームツアー)」という動画シリーズが参考になるでしょう。

Living Room Ideas for a Small Space – IKEA Home Tour (Episode 407)

IKEA Home TourはIKEAの家具でユーザーの自宅を模様替えする様子を見せるもので、自宅への不満をIKEAの商品がどのように解決したのかユーザー目線で語られます。大きなドラマはなくとも視聴者の共感を集め、IKEAの商品を利用したいと思わせるようなストーリーテリングに仕上がっています。

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まとめ

ストーリーテリングとは、物語がもつ「聞き手を惹きつける力」を利用し、伝えたい主張やメッセージを相手に印象づけるコミュニケーションの手法です。聞き手が共感できることや魅力的なビジョンがあること、ストーリーに具体性があることが必要な要素で、ストーリーを考える際は、チャレンジプロットやクリエイティビティプロットなどのフレームワークを参考にできます。

より実践的なストーリーテリングの方法を身につけるには、ビジネススキル向上のための演習プログラムを受講するのも一つの方法です。さまざまなビジネスシーンで活用できる「聞き手の感情を刺激し行動を促す方法論」を学びたい方は、ストーリーテリングを体系的に学べるプログラムを検討してみてはいかがでしょうか。

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