会議になると、必ずと言っていいほど時間が不足してしまう……という経験をされている方は多いのでは?会議は、時間通り始まり、時間通り終わるのが基本です。
【事例Before】
とある量販店のマーケティング部で、新しい戦略についての話し合いが行われていた。
「では、来期に向けての新しい戦略……え~、とくにWebマーケティングの強化について、え~、みなさんのアイデアをお伺いしたいのですが……。え~と……。では、金沢さんから一言ずつ、右回りでお願いします……」と進行係を任された荻原が自信なさそうに言った。
最初に意見出しを指名された入社5年目の金沢は、「え~。う~ん……、そうですね……う~ん……うちのお客様専用申し込みページですが……、画像処理に時間がかかってページが開きにくいという要望がちらほら出てるんです。画像などを減らしてですね、できるだけシンプルにして、申し込みしやすいページを作るべきだと思うんですが……」
メモ係を任されている平山が金沢の意見をホワイトボードに記入していく。
金沢の次は、課長の新田だ。
「うん、金沢くんの意見はもっともだね。でもそれはWebマーケティング戦略としては弱すぎると私は思うな。ま、それは置いといて、先日、僕、休日を使って、Web戦略セミナーに行ってきたんだ。すごく勉強になったよ。みんなもたまにはそういうのに行くといい。で、そのセミナーで大手のコンサルとかしてる先生が言ってたんだけどね、今はSNSを使ってマーケティングをする時代だそうだ。InstagramとかTwitterやFacebook。君らもプライベートで使ってるんじゃないのか? これからはとくにFecebookがいいらしいぞ。大手量販店のミオンも、携帯会社のシーユーも、みんな専用のFacebookページを作って、いろんな情報を発信して、いいね!を集めているらしいぞ。(中略・話は12分続く)……ということでだな、俺はそこらへんを強化していくべきだと思うんだ」
新田課長の話はいつも長い。新田が会議で話し出すと、独演会になる。会議の参加者はみんなウンザリした表情をしている。髪を指先で弄んでいる女性社員もいた。
メモ係の平山は、新田の長い話を必死で板書していた。
「え~と、時間も無くなってきてるので、先にすすめます……、次は峯岸さんお願いします」
ほうっておくと新田はまだまだ話しそうなので、進行係の荻原は、遠慮がちにではあるが、次の人を指名した。
「そうですね~、う~ん、社員のブログを作る、とか?」
新人の峯岸の発言に、向かいに座る西脇はフッと吹き出した。
「なに、ブログやってどうすんの? ブログって日記でしょ? それ、誰が見る?」
「え~、ブログでうちの商品を紹介するんですよ~。実際使った感想。売り上げに繋がるかなあって」
「ああ、なるほどね。商品のPRのためね。もっと分かりやすく言ってよ」
「ごめんなさい……」
峯岸はシュンとしている。気まずい雰囲気だ。
「はい峯岸さんの意見は、え~っと……社員の商品PRのブログ、ですね。え~……、次は、岸さん、お願いします」
険悪なムードを切り替えようと、萩原は次の人を指名した。
「Web登録新規お申し込みキャンペーンをやる、とかどうでしょう?」
岸がそう言うと、後ろの席に座る藤堂が「またキャンペーンかよ!?なんでもかんでもプレゼントを配ればいいってもんじゃないと思うけどなあ~」とヤジを飛ばした。
「藤堂さん、え~……そういった反対意見はですね……後の方で時間をとってますので、申し訳ないのですが……えっと。そのときにお願いします。では次、北畠さん、お願いします」と萩原は言った。
「……」
荻原に指名されたベテラン社員の北畠は、考え込んだように口元に手を当てて押し黙っている。これは北畠の癖だった。意見を求められても、すぐには答えない。もったいつけたようにしばらく沈黙をしてから、言うのだ。
「……私としては、ターゲットを絞ったマーケティングをするべきだと思いますね。不特定多数ではなく、富裕層をメインにサービスを展開するのです。たとえば、月10万円以上お買い上げいただいている方に向けて、ご紹介キャンペーンをするとかね……」
「さすが北畠さん! するどい切り口だね~」課長の新田が声を張り上げた。
荻原は時計を見た。会議室をとってある時間は1時間。会議はもうすでに45分を経過しようとしていた。この調子で意見がまとまるとは思えない。延長をするか、業務終了後にまた再会議か……。またみんなからブーイングが出るだろう。萩原は心の中でため息をついた。
とある量販店のマーケティング部で、新しい戦略についての話し合いが行われていた。
「では、来期に向けての新しい戦略……え~、とくにWebマーケティングの強化について、え~、みなさんのアイデアをお伺いしたいのですが……。え~と……。では、金沢さんから一言ずつ、右回りでお願いします……」と進行係を任された荻原が自信なさそうに言った。
最初に意見出しを指名された入社5年目の金沢は、「え~。う~ん……、そうですね……う~ん……うちのお客様専用申し込みページですが……、画像処理に時間がかかってページが開きにくいという要望がちらほら出てるんです。画像などを減らしてですね、できるだけシンプルにして、申し込みしやすいページを作るべきだと思うんですが……」
メモ係を任されている平山が金沢の意見をホワイトボードに記入していく。
金沢の次は、課長の新田だ。
「うん、金沢くんの意見はもっともだね。でもそれはWebマーケティング戦略としては弱すぎると私は思うな。ま、それは置いといて、先日、僕、休日を使って、Web戦略セミナーに行ってきたんだ。すごく勉強になったよ。みんなもたまにはそういうのに行くといい。で、そのセミナーで大手のコンサルとかしてる先生が言ってたんだけどね、今はSNSを使ってマーケティングをする時代だそうだ。InstagramとかTwitterやFacebook。君らもプライベートで使ってるんじゃないのか? これからはとくにFecebookがいいらしいぞ。大手量販店のミオンも、携帯会社のシーユーも、みんな専用のFacebookページを作って、いろんな情報を発信して、いいね!を集めているらしいぞ。(中略・話は12分続く)……ということでだな、俺はそこらへんを強化していくべきだと思うんだ」
新田課長の話はいつも長い。新田が会議で話し出すと、独演会になる。会議の参加者はみんなウンザリした表情をしている。髪を指先で弄んでいる女性社員もいた。
メモ係の平山は、新田の長い話を必死で板書していた。
「え~と、時間も無くなってきてるので、先にすすめます……、次は峯岸さんお願いします」
ほうっておくと新田はまだまだ話しそうなので、進行係の荻原は、遠慮がちにではあるが、次の人を指名した。
「そうですね~、う~ん、社員のブログを作る、とか?」
新人の峯岸の発言に、向かいに座る西脇はフッと吹き出した。
「なに、ブログやってどうすんの? ブログって日記でしょ? それ、誰が見る?」
「え~、ブログでうちの商品を紹介するんですよ~。実際使った感想。売り上げに繋がるかなあって」
「ああ、なるほどね。商品のPRのためね。もっと分かりやすく言ってよ」
「ごめんなさい……」
峯岸はシュンとしている。気まずい雰囲気だ。
「はい峯岸さんの意見は、え~っと……社員の商品PRのブログ、ですね。え~……、次は、岸さん、お願いします」
険悪なムードを切り替えようと、萩原は次の人を指名した。
「Web登録新規お申し込みキャンペーンをやる、とかどうでしょう?」
岸がそう言うと、後ろの席に座る藤堂が「またキャンペーンかよ!?なんでもかんでもプレゼントを配ればいいってもんじゃないと思うけどなあ~」とヤジを飛ばした。
「藤堂さん、え~……そういった反対意見はですね……後の方で時間をとってますので、申し訳ないのですが……えっと。そのときにお願いします。では次、北畠さん、お願いします」と萩原は言った。
「……」
荻原に指名されたベテラン社員の北畠は、考え込んだように口元に手を当てて押し黙っている。これは北畠の癖だった。意見を求められても、すぐには答えない。もったいつけたようにしばらく沈黙をしてから、言うのだ。
「……私としては、ターゲットを絞ったマーケティングをするべきだと思いますね。不特定多数ではなく、富裕層をメインにサービスを展開するのです。たとえば、月10万円以上お買い上げいただいている方に向けて、ご紹介キャンペーンをするとかね……」
「さすが北畠さん! するどい切り口だね~」課長の新田が声を張り上げた。
荻原は時計を見た。会議室をとってある時間は1時間。会議はもうすでに45分を経過しようとしていた。この調子で意見がまとまるとは思えない。延長をするか、業務終了後にまた再会議か……。またみんなからブーイングが出るだろう。萩原は心の中でため息をついた。
会議は時間内に終わらせるのが基本
会議になると、必ずと言っていいほど時間が不足してしまう……という経験をされている方は多いのでは? 会議は、時間通り始まり、時間通り終わるのが基本です。延長などあってはいけません。他の業務に支障がでます。しかも、会議が長引けば長引くほど参加者のモチベーションは下がり、普段の業務が気になって集中力も削がれます。そもそも、人間の集中力は長い時間もちません。長引けば長引くほど、会議はどんどん非効率なものになっていくのです。発言には制限時間を決めて、厳守する
会議を無駄に延長したり長引かせないためには、会議の時間の使い方を意識させる工夫が必要です。たとえば、会議を「アイデア出しの会議」「アイデアのメリットを出す会議」「アイデアのデメリットを出す会議」「デメリットの策を出す会議」「決定事項をまとめる会議」など、会議内で細かく視点に分けて区切ります。そしてそれぞれ時間を分刻みで設定し、厳守します。また、発言時間まで細かく区切り、設定します。一人30秒以内など、秒単位で区切ります。時間が来たら誰でもすぐ分かるように、時計係はキッチンタイマーを用意し、セットします。
こうして時間を細かく区切ることで、スピーディーにたくさんの意見を吸い上げることができますし、会議によくありがちな話の脱線も防ぐこともできます。何より、時間に対する感覚が驚くほど磨かれ時間を意識するクセがつきます。そのため、普段の業務でも、納期や期限を意識して取り組めるようになります。
休憩時間も工夫ができる
会議中の休憩時間も、時間を意識させるよう工夫します。休憩時間を5分や10分とキリのいい数字で設定せず、あえて「6分」や「11分」と中途半端にします。中途半端な数字の方が頭に残り、慣れていない数字のためさらに時間を意識するからです。このように、参加者に時間を意識するようにさせ、常日ごろから何事にも時間を管理させていくのです。
【事例After】
「では、来期に向けての新しい戦略……え~、とくにWebマーケティングの強化について、みなさんのアイデアをお伺いします。アイデア出しの時間は10分です。金沢さんから右回りで、一人一言でお願いします。発言の制限時間は、一人30秒以内です。時計係の西脇さん、時間をセットしてください」
進行係の荻原がそう言うと、西脇は手元のキッチンタイマーをセットし始めた。
「会員専用申し込みページを改良して、素早く申し込みができるようにする」金沢が言った。メモ係の平山が金沢の発言を素早くホワイトボードに記入する。
次は新田課長の番だった。
「先日、休日を使って、Web戦略セミナーに行ってきたときにね、大手のコンサルとかしてる先生が言ってたんだけどね、今はSNSを使ってマーケティングをする時代だそうだ。これからはとくにFecebookがいいらしい。というわけでSNSを強化する!大手量販店のミオンも、携帯会社のシーユーも……」
ピピピピ!!新田課長の話途中で、キッチンタイマーのアラームが鳴るとすぐ、荻原が「SNSを強化する、ですね。はい、では次の方」と言った。
「ブログを作って、社員が交代で商品PRをする」と峯岸が言い終わると、すぐ続けて隣の席で得意そうな顔をした岸が明るく自信ありそうに言った。
「Web登録新規お申し込みキャンペーンをやる!!」
このようにして、アイデア出し会議は制限時間がくるまで活気よく、たくさんの意見が出るのだった。
次回は、「実行力が高まる」会議 です。お楽しみに!
POINT
・会議内でミニ会議を複数設定し、時間を区切ろう
・発言時間を事前に設定しよう
・休憩時間も半端な数字で工夫しよう
「では、来期に向けての新しい戦略……え~、とくにWebマーケティングの強化について、みなさんのアイデアをお伺いします。アイデア出しの時間は10分です。金沢さんから右回りで、一人一言でお願いします。発言の制限時間は、一人30秒以内です。時計係の西脇さん、時間をセットしてください」
進行係の荻原がそう言うと、西脇は手元のキッチンタイマーをセットし始めた。
「会員専用申し込みページを改良して、素早く申し込みができるようにする」金沢が言った。メモ係の平山が金沢の発言を素早くホワイトボードに記入する。
次は新田課長の番だった。
「先日、休日を使って、Web戦略セミナーに行ってきたときにね、大手のコンサルとかしてる先生が言ってたんだけどね、今はSNSを使ってマーケティングをする時代だそうだ。これからはとくにFecebookがいいらしい。というわけでSNSを強化する!大手量販店のミオンも、携帯会社のシーユーも……」
ピピピピ!!新田課長の話途中で、キッチンタイマーのアラームが鳴るとすぐ、荻原が「SNSを強化する、ですね。はい、では次の方」と言った。
「ブログを作って、社員が交代で商品PRをする」と峯岸が言い終わると、すぐ続けて隣の席で得意そうな顔をした岸が明るく自信ありそうに言った。
「Web登録新規お申し込みキャンペーンをやる!!」
このようにして、アイデア出し会議は制限時間がくるまで活気よく、たくさんの意見が出るのだった。
次回は、「実行力が高まる」会議 です。お楽しみに!
POINT
・会議内でミニ会議を複数設定し、時間を区切ろう
・発言時間を事前に設定しよう
・休憩時間も半端な数字で工夫しよう