リーダーは他の人にモチベーションを与えることができるでしょうか? チームのやる気やパワー、エンゲージメント、一貫した姿勢、革新性はリーダーの責任でしょうか? ハリウッド映画はそうだと言います。即興の演壇での雄弁、ハーフタイムのロッカールームでの感動的なスピーチ、戦場での熱のこもった呼び声などは歴史に残る映画のシーンです。スポーツ試合のハーフタイムではなく、仕事のうえではどうでしょう?
リー・アイアコッカは次のような有名な言葉を残しました。「モチベーションがすべてである。2人分の仕事ができたとしても、2人の人間にはなれない。だから、直属の部下を鼓舞して、部下にその下の部下を鼓舞させる。」問題はここです。リーダーは直属の部下を鼓舞できるだけでなく、直属の部下がチームにも同じメッセージを伝えるよう教えることができなければなりません。ロールモデルと実地訓練の要素が組み合わさっています。両方はもちろん、片方さえこなせないリーダーがほとんどです。
もちろん、リーダーとして聖人君子であり、完璧である必要はありませんが、チームのやる気をなくす可能性のある7つのことは、さっさとやめるべきです。自己認識を少し強めるだけで、モチベーションが上がる可能性があります。
正直に、自分に当てはまることはないかを判断してください。
聞く耳を持たない人を相手に、人は何回会話を試みようとするでしょうか? せいぜい1回です! どんなに優れた考えやアイデア、イノベーションや知見も周囲の人はそっと心の中にしまっておきます。聞き下手なあなたを相手に口を開いても無駄ですから。ある日、全部のアイデアの出所があなた自身であることに気づいたら、注意信号です。最良のアイデアは現場に最も近い人から出てくるのが普通で、管理職であるあなたはその立場にそぐわないからです。
2. 3Cs ― Criticizing, Condemning and Complaining(批判、叱責、文句)をやめない
注文の多いリーダーが怒りと不満で爆発して部下を人前で厳しく叱責し、たまたまそこにいた人に向かって個人攻撃するのを目撃した経験のある人は多いはずです。こうした行動に出れば、誰もリスクを取らなくなり、意思決定は遅くなり、こびへつらう人が出てくることは確実です。あなたがそこまで辛辣でなくても、人をやりこめれば良い結果を出すことは難しくなります。代わりに、相手のミスにどう対処すればよいか研究することです。居合わせた人は黙っているかもしれませんが、心の中で「神のご加護がなければ、自分もああなっていた、次は自分の番だ」と心配しているかもしれません。
3. 冷笑と皮肉たっぷり
リーダーが発する皮肉なコメントはチームのモチベーションをぎこちなく無残にくじきます。ついには「運命論者」の皮肉が将来へのすべての希望を打ち砕きます。あなたは「上司の顔色伺い」に関してはエキスパートの軍団を率いているのであり、リーダーであるあなたにならった行動に出るでしょう。ポジティブな結果を求めるなら、ポジティブな言葉とボディランゲージ、ポジティブな行動を取ることです。
4. 接触不足
忙しい上司は自分が集中して仕事する時間とチームと過ごす時間のバランスを取っています。しかし、多忙な中でどうすれば共通の理解を築き、アイデアや経験、見解を共有できるかという問題が残っています。こうした活動には時間がかかります。外向的でない上司や周囲をさしおいて昇進した自分勝手なリーダーは、本当の意味でのエンゲージメントを実現できません。その道は避けてコミュニケーションを取り、相手を巻き込み、共有すれば、チームスピリットに火がつきます。
5. えこひいきする
えこひいきのせいで希望や願いが叶わなかった子供の頃の苦い思い出は職場でも蘇ります。上司が特定の社員をひいきにしているからです。無邪気にも、あなたはひいきしていることに全く気付いていないかもしれません。上司としてのあなたの仕事は人を育てプロセスを管理することです。モチベーションを上げたいなら、自分のお気に入りの社員だけでなく全員を育てることが必要です。
6. 礼儀知らず
上司として、あなたは多忙を極めています。人に頼みごとをするときに「お願いします」、終わったら「ありがとう」を言うことさえせずに、海賊の船長よろしく、次々と大声で命令を下してはいませんか? 頭の上に雨雲がかかっているマンガのように、毎日たくさんの不安を抱えて出勤していますか? プレッシャーで気が重くなったり、一日の中で気分の浮き沈みがありますか? 不機嫌な人を前にモチベーションを保つことは容易ではありません。チームに対しては最低限の敬意を示すようにしてください。
7. 秘密を奥の手として使う
チームの誰もが事情通になりたいのは当然です。職場で寝耳に水の事態は御免ですから。秘密にしていたり、密室会議を開いたり、突然の変更を発表すればチームの意欲はそがれます。上からの情報を欲しがるわりに、他の人にはもったいぶって伝えない管理職が少なくありません。あなたはどうですか?
デール・カーネギーは世界的なベストセラーである1936年の著書「人を動かす」で成功する対人関係の30の原則を紹介しました。カーネギーは学者ではありませんでしたが、世の中を熟知していました。彼の理論は24年間にわたる「実社会」という実験室での観察や実験に基づいています。
デールは他の人を動かしモチベーションを高める最善の方法は、あなた自身の行動を改めることにあると結論づけています。リーダーは真にモチベーションの上がる環境を醸成することで、責任を持って関係をできるだけ生産的なものにします。デール・カーネギーは、従う者の行動の責任はリーダーにあるとは主張しませんでしたが、職場環境と自分の行動をコントロールする責任はあるとしました。
良好な対人関係を築くための実際的なアドバイスに特化したデール・カーネギーの30原則には、常識的ですが(さほど実践されていない)次のようなアドバイスが含まれます。
・強い欲求を起こさせる
・誠実な関心を寄せる
・相手の関心を見抜いて話題にする
・人の身になる
・まず自分の誤りを話したあと、相手に注意を与える
・命令をせず、意見を求める
セールスの神様ジグ・ジグラーに、「多くの人が人生で欲しいものを手に入れる手伝いができるなら、自分の欲しいものも手に入る」という名言があります。上司も同じです。自分が欲しいものではなく、部下が欲しいものを重視することです。