株式会社東京商工リサーチは、2025年1月13日に「2024年の上場企業における早期・希望退職募集状況」に関する調査レポートを発表した。2024年末までに公表された『会社情報に関する適時開示資料』をもとに、同社が上場企業の希望・早期退職募集を具体的に確認できたものをまとめた独自調査となる。
早期・希望退職の募集人員、2024年は3年ぶりに1万人を超える規模に
昨今、上場企業の早期・希望退職募集の動きが加速している。今回の東京商工リサーチの調査によると、2024年に早期希望退職の募集を実施した企業数は57社(前年比39%増)で、募集人員は1万9人(前年比3倍)に達したことが明らかとなった。コロナ禍以降、3年ぶりに1万人を超える規模となっている。大手メーカーを中心に大型募集が相次ぐ
同社のまとめによると、業種別では「電気機器」が13社で最多となり、コニカミノルタ(2,400人)、オムロン(1,000人)などの大手企業が大規模な募集を実施したという。以下は、「情報・通信業」(10社)、「繊維製品」、「医薬品」、「機械」(各4社)と続いている。なお、注目すべき大型募集事例は、以下のようになっている。
●資生堂:「ミライシフトNIPPON2025」で1,500人
●シャープ:堺ディスプレイプロダクトで500人
●リコー:セカンドキャリア支援制度で1,000人
●日産自動車:グローバルで9,000人(国内人数未定)
●シャープ:堺ディスプレイプロダクトで500人
●リコー:セカンドキャリア支援制度で1,000人
●日産自動車:グローバルで9,000人(国内人数未定)
黒字企業の構造改革が目立つ
調査結果によると、早期・希望退職を実施した企業の約6割(34社)が黒字企業であった。これらの企業の募集人数は全体の約8割(8,141人)を占め、そのうち29社が東証プライム上場企業だったとのことだ。
今後の展望について、東京商工リサーチは「経営環境の不透明さが増す中、将来を見据えた構造改革に着手する企業が増加している」と分析している。その上で、「2025年も上場企業の早期・希望退職募集が加速する可能性が高いのではないか」との見方を示す。
人手不足が深刻化する中で、企業が持続的成長を目指すには、従業員のキャリア支援と事業再編等の戦略的な改革を両輪で進める事が重要となる。そのためには「中長期的な人材戦略の見直し」や「従業員のスキル再教育と再配置の検討」、「退職者支援プログラムの充実」などの実践がこれまで以上に人事に求められてくるのではないだろうか。
人手不足が深刻化する中で、企業が持続的成長を目指すには、従業員のキャリア支援と事業再編等の戦略的な改革を両輪で進める事が重要となる。そのためには「中長期的な人材戦略の見直し」や「従業員のスキル再教育と再配置の検討」、「退職者支援プログラムの充実」などの実践がこれまで以上に人事に求められてくるのではないだろうか。