株式会社東京商工リサーチは2024年10月28日、2024年「全国社長の出身大学」調査の結果を発表した。同調査は、同社の企業データベース(約400万社)から、個人企業を含む代表者データにて公開されている出身大学を抽出して集計したもの。調査は2010年より毎年実施されており、今回が14回目となる。なお、対象外となった企業は31万8,973社で、出身大学が校名変更、統合した場合は存続大学名で集計している。
「日本大学」が2万人弱で1位、ランキングトップ10の顔ぶれに変動なし
ビジネス界において、経営者(社長)の学歴は長年注目され、近年ではその出身大学の多様化も進んでいる。本記事では、東京商工リサーチが発表した2024年「全国社長の出身大学」調査を紹介し、日本の経営者像の潮流を確認する。2024年の「全国社長の出身大学」ランキングにおいて1位となったのは「日本大学」の19,974人。14年連続でトップの座を維持したものの、人数は初めて2万人を下回ったという。以下、2位は「慶應義塾大学」(10,737人)、3位は「早稲田大学」(10,582人)と続き、“MARCH(マーチ)”に属する明治大学、中央大学、法政大学が4位から6位を占めた。なお、ランキング上位10校の順位は前年から変動なしとなった。
他方、国立大学では、「東京大学」が4,454人で唯一トップ10入りを果たし、10位を維持した。また、「京都大学」(2,652人)が19位を維持するなど、旧帝国大学を中心に7校が上位30校にランクインしている。
創業100年を超える“老舗企業”社長の出身大学にも注目
次に、「2024年に創業100年を超える老舗企業の社長出身大学ランキング」を見ると、こちらも1位は同様に「日本大学」で、1,194人だった。また、2位も同じく「慶應義塾大学」(1,112人)となり、同ランキングでは1位に僅差で迫っている。このほか上位10校は、東京を中心に歴史のある私立大学が占めた。一方、上位20校に入った国立大学は、12位の東京大学、20位の京都大学の2校にとどまっている。業績好調企業の社長出身大学は「一橋大学」が2年連続でトップ
同社はさらに、『増収』、『増益』、『増収増益』の3つの部門に分けたランキングも発表した。算出方法は、出身社長数の上位100校を対象に、経営する企業の直近2期の売上高と当期利益を比較しているという。その結果、3部門全てで第1位は「一橋大学」となり、前年に続いてトップを独占した。同大学の前身は東京商科大学で、日本最初のビジネススクールとされる「商法講習所」を源流に持つ。経済分野におけるリーダー育成の理念を受け継ぎ、多くの著名財界人を輩出していることもあって、ここでは出身者の堅実な経営ぶりがあらわれるランキング結果になっていた。
また『増収』では、「東京大学」や「神戸大学」などの国公立大学が上位20校のうちの14校ランクイン。一方で『増益』では国公立大学は6校、『増収増益』では8校にとどまり、利益面では私立大学の方がやや健闘していた。
2024年の全国社長出身大学ランキング結果からは、日本の経営者層(社長)の学歴が多様化している様子が見てとれた。全体としては、日本大学が依然としてトップを維持しているものの、地方大学や中堅私大も台頭していることがうかがえる結果となっている。企業の人材採用や登用、学生の就活等でも参考になるデータであると言えそうだ。