“中小企業の脱炭素・カーボンニュートラル”に向けた取組推進に関する要望を商工会議所が決議。考え方や主な要望事項は?

東京商工会議所および日本商工会議所は2024年10月18日、「中小企業の脱炭素・カーボンニュートラルに向けた取組推進」に関する要望を決議したことを発表した。同要望は、政府が掲げる「2050カーボンニュートラル」実現に向け、中小企業でもカーボンニュートラルに向けた取組みを一層推進できるよう、必要な要望事項についてとりまとめたものとなっている。

中小企業の「脱炭素・カーボンニュートラル」に向けた取組み推進のため、必要な要望事項をとりまとめ

政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「2050カーボンニュートラル」の実現を掲げている。そうした中で東京商工会議所および日本商工会議所は今般、中小企業においても脱炭素・カーボンニュートラルに向けた取組みを一層推進するために、必要な要望事項についてとりまとめたとしている。

同要望について、今後その内容が国内の中小企業の脱炭素・カーボンニュートラル対策に反映されるよう、同商工会議所らが関係省庁に対して強く働きかけていく方針だという。

今回公開された主な要望事項は、以下の通り。

【総括/基本的な考え方】
●中小企業においても、カーボンニュートラルに向けた取組を欠かすことはできない
●中小企業が脱炭素に取り組むためには、専門的なノウハウの不足を補う方策が必要
●脱炭素分野における技術革新の取組も動き始めている中、大企業と中小企業が連携して取り組んでいくことで日本全体の成長へ結び付けていくことが求められる

【1.中小企業の脱炭素・カーボンニュートラルに向けた取組の現状(日商・東商調査結果から)】
(1)取組の広がりと取組内容
・中小企業の7割が脱炭素の取組を実施、コスト削減のための「省エネ」が中心
(2)取引先からの要請、取り組むうえでのハードル
・「要請を受けている」中小企業は4社に1社
・ハードルは「マンパワー・ノウハウ不足」、「算定方法がわからない」、「資金不足」
・「知る・測る・減らす」の強化に加え、取引先等との連携・協力による取組=「つなぐ」

【2.中小企業による温室効果ガス排出削減の取組推進(“知る・測る・減らす+つなぐ”支援を)】
(1)【知る】情報提供・発信の一層の強化
(2)【測る】自社の排出量「見える化」と社内の仕組みづくり
(3)【減らす】設備投資への資金支援のさらなる拡充
(4)【つなぐ】取引先大手企業等との連携・協力

【3.地域と中小企業の成長・発展につながる脱炭素の取組推進】
(1)脱炭素電源導入を地域の産業振興・中小企業の活性化につなげる取組の推進
(2)地域ぐるみで中小企業の脱炭素取組を支援する体制の構築
(3)中小企業による脱炭素関連ビジネスへの挑戦を促す環境整備
政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、国内でも大企業を中心に、カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーの導入や省エネなどの取組みが活発化している。先んじて取組みを進める大企業に続き、中小企業でも今回の要望を確認した上で、取組みの検討を始めてみてはいかがだろうか。