合同会社triは2024年9月18日、中小企業の経営層を対象に実施した「新規事業開発」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2024年8月27日~30日で、設立から5年以上経過した従業員100名以下の企業の、経営者もしくは経営層である20代~60代男女111人より回答を得ている。調査結果から、中小企業における「新規事業開発の取り組み」の実態が明らかになった。
直近3年で新規事業開発を行った企業はおよそ4分の1。“収益源の確保”や“市場への対応”が目的に
ビジネス環境の変化が激しくなった現代において、企業が既存の主力事業で今後も経営を維持していける確証はなく、常に新商品・新サービスの開発や新規事業の取り組みが求められる。しかし、資本においても人材においてもリソースが限られる中小企業では、そうした取り組みが難しいケースもあるだろう。では、中小企業における「新規事業開発の取り組み」の実態はどのようになっているのだろうか。はじめにtriが、「過去3年間に新規事業開発を行ったか」を尋ねたところ、「はい」が23.4%、「いいえ」が76.6%と、直近3年で新規事業開発を行っていない企業が4分の3を超える結果となった。
そこで、少数派となった「新規事業開発を行なった企業」に対し、「取り組んだ理由」を尋ねると、「新しい収益源を確保するため」が65.4%で最多となり、次いで「市場の変化に対応するため」が42.3%だった。新規事業開発は、“環境変化”をきっかけとして取り組むケースが多いようだ。
新規事業開発にあたる部門は「既存事業のメンバー」や「経営層」などさまざま
次に同社は、同じく「新規事業開発を行なった企業」に対し、「新規事業開発の取り組みは、社内のどの部門が行ったか」を尋ねた。すると、1位となったのは「既存事業のメンバー」で34.6%、以下は「経営層」が30.8%、「専任の新規事業開発チーム」が26.9%と続いた。新規事業開発における課題は「ビジネスモデルの構築」が最多に
続いて、同対象者に「新規事業開発に取り組む際の最も大きな課題」を尋ねると、「ビジネスモデルの構築」が最多の42.3%となり、2位と2倍以上の差をつけた。多くの中小企業の新規事業開発において、ビジネスモデルの構築に対する課題感が強いようだ。課題解決のための施策は「組織体制の最適化」や「データ分析の強化」など
最後に、同対象者に「新規事業開発における課題を解決するために、何か施策を講じたか」を尋ねたところ、「はい」が69.2%と過半数を占めた。そこで、「施策を講じた」とした人に「具体的な施策内容」を尋ねると、「組織体制の最適化」と「データ分析の強化」がともに38.9%で同率1位、次いで「外部の専門家やコンサルタントの活用」が27.8%となった。この結果に対し同社は、「中小企業で新規事業開発を行う際は、それに取り組むメンバーの最適化、および事業の妥当性を検証するためのデータ分析力の強化、また、自社に足りない知見を補うための外部の専門家やコンサルタントの活用などを行うケースが多い」との見解を示している。
本調査から、従業員100名以下の中小企業で新規事業開発に取り組んでいる企業は2割程度であり、新規事業開発に取り組む理由として最も多いのは「新しい収益源の確保」であることがわかった。また、中小企業で新規事業開発を担う人材は会社によって様々であり、新規事業開発に取り組む際に最も課題視されているのは「ビジネスモデルの構築」であることが明らかになった。“具体的な施策内容”として回答が多く集まった「組織体制の強化」や「データ分析の評価」など、他社の取り組みを参考に自社でも新規事業開発に取り組んでみてはいかがだろうか。