中小企業経営者・財務経理担当者に聞く“資金調達手段の利用状況・利用意向”。「オンライン完結型」に前向きな企業の特徴とは

Atlas Technologies株式会社は2024年7月29日、中小企業の経営者や役員、財務経理担当者を対象に実施した「中小企業(SMB)向け組み込み型金融(融資サービス)の展望」に関する調査の結果を発表した。同調査の実施時期は2024年3月で、従業員数300名未満の中小企業を対象にしている。調査結果から、中小企業における資金調達手段としてのオンライン融資サービスの利用状況や利用意向が明らかになった。

中小企業向けの資金調達手段は「金融機関を通じたプロパー融資」が大多数

日本における中小企業の数は約336万にのぼり、日本企業全体の99.7%を占めているという。また、付加価値額の面においても全体の56%(約140兆円)占めている。また近年では、こうした中小企業を対象とした様々なBtoBサービスが展開され、Atlas Technologiesによれば、それは中小企業向け融資サービスの分野においても例外ではないとのことだ。そうした中、伝統的な金融機関経由によるプロパー融資だけでなく、その他様々なオンライン融資サービスの利用状況や利用意向はどうなっているのだろうか。

はじめに同社は、対象企業に対し「直近2年間の融資サービスの利用経験」について尋ねた。その結果、45%が「金融機関経由のプロバー融資」について利用経験ありと回答した。選択肢に挙げられた全ての融資サービスの中で、「金融機関経由のプロバー融資」が最も利用経験が多い融資サービスであることがわかった。
直近2年間の融資サービスの利用経験
また、決済権限者に対し「今後1年間で利用したい融資サービス」について尋ねたところ、58%が「オンライン完結型の融資サービス」と「プロパー融資」の両方の利用意向を示した。
今後1年間で利用したい融資サービス

「オンライン完結型の融資サービス」利用意向のある企業は“創業年数・責任者の年齢”とも若い傾向に

続いて同社は、「プロパー融資のみ利用意向あり」の企業と、「オンライン完結型の融資サービスも利用意向あり」の企業について、それぞれ“創業年数”と“決裁者年齢”における分布を出した。すると、創業年数については、「プロパー融資のみ利用意向あり」の企業では「30年目以上」が最も割合が高くなった一方、「オンライン完結型の融資サービスも利用意向あり」の企業では「1~3年未満」が最も高くなった。また、決裁者年齢については、「プロパー融資のみ利用意向あり」の企業では「60歳以上」の割合が最も高く、「オンライン完結型の融資サービスも利用意向あり」の企業では「20~29歳」が最も高くなっていた。オンライン完結型の融資サービスに利用意向を示す中小企業の特徴として、比較的創業年数が若く、責任者の年齢も若い企業が多いことがうかがえる結果だ。
“創業年数”と“決裁者年齢”における分布
また、「組み込み型融資サービス」に関して利用意向を示す中小企業も同様の特徴を示しており、相関性の存在が確認できたという。同社はこれらの結果により、「今後同サービスの拡販に向けて対象となりえる中小企業像がより明確に確認できた」としている。
組み込み型融資サービス
本調査から、中小企業向けの融資サービスは、依然として金融機関経由のプロパー融資の利用が中心であるものの、比較的創業年数の若い企業を中心にオンライン完結型の融資サービスへのニーズが増していることがわかった。また、オンライン完結型の融資サービスの利用意向が強い企業の特徴を見ると、少額融資は手続きの簡易なオンライン完結型の融資サービス、運転資金などの用途が決まっている比較的高額の融資はプロパー融資と使い分けをする傾向も見て取れた。