株式会社学情は2023年9月20日、「初任給」に関する調査結果を発表した。調査期間は2023年8月24日~9月6日で、2025年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生(以下、25卒生)373名より回答を得ている。本調査から、25卒生における初任給と志望度・企業選びとの関連性や、学生が適正だと感じる初任給の金額などが明らかとなった。
初任給の引き上げや能力に応じた設定は「企業への好感」や「モチベーション」に影響か
昨今、優秀な人材を確保するために新卒の初任給を引き上げる企業や、職種や能力に応じた給与制度を導入する企業が増えている。そのような中、これから就職活動を行う25年卒生は、「初任給」についてどのように受け止めているのだろうか。はじめに学情は、「初任給を引き上げる企業や、専門性・能力に応じて初任給を設定する企業は、志望度が上がるか」を尋ねた。すると、「志望度が上がる」は65.1%、「どちらかといえば志望度が上がる」は27.3%で、合計92.4%と9割にのぼった。
自由回答には、「初任給を引き上げる企業が増えているので、変化に対応している企業は好感が持てる」や「企業が個人の能力を評価しようとしていることがわかる」、「専門性や能力が給与に反映されるのであれば、より知識やスキルを習得するモチベーションになる」などの声が寄せられたという。
8割以上の学生が初任給の高い企業は「志望度が上がる」と回答
次に同社は、「初任給が高い企業は志望度が上がるか」を尋ねた。その結果、「志望度が上がる」が48.3%、「やや志望度が上がる」が38.3%で、合計86.6%となった。自由回答では、「初任給が高い企業は、若手のうちからチャンスがあると思う」や「初任給の高い企業のほうが、モチベーションが高く働けそう」、「初任給によって、生活の質が左右されると思う」などの声があがったとのことだ。
就職において初任給を「重視する」学生は8割超
続いて同社が、「就職において、初任給をどの程度意識しているか」を尋ねると、「最優先ではないが重視している」が75.6%を占め、最も多かった。「最も重視している」の7.8%と合わせると、「初任給を重視する」とした学生は83.4%と8割を超えることが明らかとなった。自由回答では、「物価が上がっているので、初任給は重視している」や「初任給だけでなく、その後の昇給イメージも重視している」、「能力や成果がどの程度給与に反映されるか気になる」などの声が聞かれたという。
初任給の適正額は「月収20~24万円」が4割超。「20万円台後半」を望む声が増加傾向に
最後に同社は、「初任給は、どの程度が適正だと思うか」を尋ねた。すると、「月収20~24万円」(45.6%)が最も多く、次いで「月収25~29万円」(38.1%)という結果だった。8割以上の学生が、「月収20万円台」を適正額だと考えていることが明らかとなった。
また、2022年に24年卒の学生を対象に実施した調査結果と比較すると、「月収20~24万円」との回答は12.9ポイント減少した。一方で、「月収25~29万円」との回答は9.3ポイント増加した。初任給を引き上げる企業が増加していることや、物価が高騰していることを背景に、学生が適正だと感じる初任給の金額は上昇傾向にあると推測できる。
本調査結果から、25卒生の9割以上が、「初任給」を引き上げる企業や専門性・能力に応じて設定する企業について「志望度が上がる」と考えていることがわかった。また、就職において初任給を「重視している」と回答した学生は8割に迫り、初任給の適正額として「月収20万円台」を望む学生が8割を超えることが明らかとなった。適正だと感じる初任給の金額が上昇傾向にあることから、新卒採用を実施する企業や人材確保を目指す企業では、初任給の設定および評価制度の見直しが必要といえそうだ。