「専門スキルの獲得機会の欠如」や「待遇・評価面での不満」が不安へつながる

IT運用（情報技術運用もしくはITOpsともいう）とは、社内外のユーザーのビジネスニーズを満たすためにITサービスを実装・管理・提供・サポートすることを指す。このIT運用を行う担当者は、実際にどのような不安を感じているのだろうか。

ガートナージャパンが、「現在の職種からのキャリアパス」に関する考えを尋ねると、過半数が何らかの不安や不満を抱えていることが明らかになったという。

そこで、同社が「不安がある（異動、転職を考える）具体的な理由」を聞くと、最も多かった回答は「新しい技術に触れる機会がない」で、62.5％だった。以下、「他のIT部門のメンバーと比べて昇給・昇進が遅い」が59.3％、「重責であるにもかかわらず、待遇が悪い／評価されない」が57.1％で続いた。

“新しい技術”に触れる機会がないことに不安を抱えている

IT運用担当者が「不安を抱える理由」として、最多だった「DevOpsやクラウド、SRE、コンテナ等新しい技術に触れる機会がない」（62.5％）のほか、「IT部門でありながらエンジニアとしての専門性が身に付かない」（48.9％）も4位に挙がった。IT運用担当者として働いていても、技術者としての専門性、特に最新のクラウド・ネイティブ技術を獲得する機会がないことに不安を抱えている人は半数近くとなっていた。

同社のシニアディレクター アナリストの米田氏は、「回答者の中には、技術を身に付けるには現職を辞めて早く別の仕事に就かなければと考えているIT運用担当者も多いと考えられる。インフラストラクチャ／オペレーション（I&O）のリーダーは、IT運用担当者にとって魅力ある職場を形成するために、新技術を含めたテクノロジーを習得する機会を提供できるよう努める必要がある」とコメントしている。

他のIT担当者と比較して「待遇や評価が悪い」と感じていることも不満の要因か

また、第2位の「IT運用担当は他のIT部門のメンバーと比べて昇給・昇進が遅い」（59.3％）や、第3位の「ワークロードが高く重責であるにもかかわらず、待遇が悪い／評価されない」（57.1％）という回答結果について、同社の米田氏は、「インフラ自動化などの従業員が重労働と感じているオペレーションの負荷を下げるITツールの導入の検討や付加価値が低い仕事の廃止・排除、評価とそれに基づく待遇に関する合意形成プロセスの見直しなどの取り組みを進める必要がある」とも述べた。
本調査結果から、IT運用担当者の過半数が不安を抱えており、その背景には「新しい技術が身に付かない環境にあるにもかかわらず、評価されにくい」という実態があることがわかった。こうした不安・不満を解消するためには、担当者の負担軽減を図るとともに、新たなスキルを得られる環境や評価に応じた待遇を得られる職場へと、長期的な計画をもって進化させていくことが重要になるだろう。