一般財団法人労務行政研究所は2023年10月4日、東証プライム上場企業を対象に行なった「2023年年末賞与・一時金妥結水準調査」の結果を発表した。調査期間は2023年3月15日~9月5日で、集計対象は調査時点で2023年年末賞与・一時金を妥結または決定しており、かつ「2023年年末」、「2023年夏季」、「2022年年末」の三者の金額または月数が把握できた企業(組合)としている。(金額集計は187社、月数集計は196社が対象)本調査により、東証プライム上場企業における2023年年末一時金の支給水準や妥結額などが明らかとなった。
2023年末賞与・ボーナスは前年同期比で平均1.5%増。業種により増加率にバラつき
昨今の新型コロナの流行や物価高、最低賃金の引き上げなど、さまざまな要因によって給与の支給に大きな影響を受けている企業も多いだろう。こうした状況の中、東証プライム上場企業における今年度の年末賞与や一時金は、昨年と比較してどのような変化があるのだろうか。はじめに労務行政研究所が、「2023年年末一時金の支給水準(2023年9月5日時点)」を調査したところ、全産業での平均金額は「80万28円」となった。前年同期と比較して1.5%増となり、1970年に調査を開始して以来、初の80万円台になったという。
産業別に見ると、製造業は対前年同期比が1.7%増、非製造業は0.8%増で、業種によるバラつきが目立つ結果となった。
賞与・ボーナス妥結額はコロナの影響で一度落ち込むも、直近2年はプラスの傾向に
次に同研究所は、2013年~2023年までの「各年9月時点の集計で見た年末一時金の妥結額」を比較した。その結果、2020年は「74万3,968円」(対前年同期比3.2%減)、2021年は「71万5,553円」(同1.9%減)と、新型コロナの影響により2年連続で減少していた。しかし、2022年にはマイナスの影響が薄らいで「78万6,945円」(8.5%増)と大幅に増加し、2023年も「80万28円」(1.5%増)と、2年連続でプラスに転じていることが見て取れる。賞与・ボーナス妥結月数の平均は「2.56ヵ月」。最低月数の前年同期比も同水準となる
最後に同研究所が、「2023年の年末一時金における妥結月収の水準」を比較すると、全産業の平均は「2.56ヵ月」であることがわかった。同一企業で見ると、前年同期(2.55ヵ月)から0.01ヵ月の微増となった。また、最高月数は「5.55ヵ月」と前年同期(5.02ヵ月)を上回り、最低月数は「1.5ヵ月」で前年同期(1.5ヵ月)と同水準であることがわかった。
本調査結果から、東証プライム上場企業の2023年年末一時金の支給水準は、全産業で「80万28円」と、対前年同期比1.5%増になることがわかった。産業別に見ると、製造業の対前年同期非は1.7%増、非製造業は0.8%増で、業種によって差があることも明らかとなった。妥結月数は前年と大きく変化はないものの、妥結額は2022年から2年連続で増加していることから、賃上げの実施や業績の回復があった企業が多いと推測できる。従業員のエンゲージメントやモチベーションを高めるためにも、企業では適切な賞与・ボーナスの支給を行っていきたい。