4割以上が人事戦略策定にあたり「人事データの活用が非常に重要」と回答

DXの加速により、人事労務領域においても、データを人事戦略に活かす企業が増えつつある。そのような中、企業ではどの程度人事データを活用できているのだろうか。

はじめにjinjerでは、「人事戦略を策定する上で、人事データの活用はどの程度重要だと考えているか」を尋ねた。すると、「非常に重要である」が46.9％、「どちらかというと重要である」が32.3％で、合わせて79.2％と8割に迫った。

人事データを「活用している」との回答は4割超に。「活用予定」の声も2割を超える

次に同社は、「人事戦略を策定する上で、人事データの活用は重要である」とした回答者に対し、「現在、実際に人事データを活用しているか」を尋ねた。その結果、「活用している」は43.2％と4割を超え、「活用予定」との回答も25.5％となった。

一方で、「活用したいが活用の仕方がわからない」とした人が16.9％と、6社に1社はデータの活用に悩みを抱えている実態も明らかとなった。人事データを十分に活用している企業もある反面、課題を持つ企業もあるようだ。

「人事データの活用が人事戦略に活かせている」とした企業は7割以上に

続いて同社は、「人事データを活用している、または活用予定がある」とした回答者に、「人事データを人事戦略へ活かせていると思うか」を尋ねた。すると、「非常に活かせていると思う」（31.1％）と「どちらかといえば活かせていると思う」（44.7％）の合計は75.8％だった。7割以上が「人事データを活用した人事戦略策定ができている」と感じていることがわかった。

人事データ活用の目的は「適切な人事評価制度の構築」が最多

次に同社が、「実際に人事データを活用している」とした回答者に「人事データを活用する目的」を尋ねると、企業ごとに異なる傾向が見られた。その中で最も多かったのは「適切な人事評価制度の構築」（39％）で、以下、「モチベーションと生産性の分析」（37.9％）、「従業員エンゲージメントの向上」（36.7％）と続いた。

これを受け同社では、「雇用の流動性が高まっている昨今において、適切な人事評価制度を構築した上で従業員のエンゲージメントの向上を試み、企業の生産性を上げていくにはどうしていくべきか、悩む人事担当者が多くいるのではないか」との見解を示している。

約7割が「人事データの収集過程」で課題を感じている

続いて同社は、「人事データを集める過程で、課題を感じることはあるか」を尋ねた。その結果、「非常に課題を感じている」（26.9％）と「どちらかというと課題を感じている」（41.3％）の合計は68.2％と、7割に迫った。

「組織全体のリテラシーが低い」との課題意識も。データ活用の前工程に課題が多数か

最後に同社が、「具体的にどのようなポイントで課題を感じるか」を尋ねたところ、最も多かったのは「データ活用に関して組織全体のリテラシーが低い」（34.1％）だった。以下、「マスタデータのマネジメントができていない」（32.6％）、「部署やシステムごとにデータが散在し、正しく情報を収集・管理できていない」（31.1％）と続いた。

人事データを活用した人事戦略を行う企業は増えているものの、元となる人事データの収集や蓄積、管理といった前工程においては課題が多く存在することが示唆された。

本調査結果から、300名以上規模の企業の4割以上では人事データを人事戦略の策定に活かせているものの、人事担当者の約7割が課題を抱えている実態が明らかとなった。また、人事データを収集する過程で感じる課題として、「組織全体のリテラシーが低い」、「マスタデータのマネジメントができていない」といった項目があがった。人事戦略において人事データの活用を考える企業では、目的の明確化や専門人材の登用などにより、人事データベースの構築を目指してみてはいかがだろうか。