“女性特有の健康課題”への理解は急務か、約6割が「月経・PMS・更年期症状」で仕事に支障。パフォーマンス維持に必要な施策とは

ヘルスケアテクノロジーズ株式会社は2023年7月31日、「女性の仕事と健康支援に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2023年7月17日~20日で、20~50代の女性会社員400名より回答を得た。本調査から、女性の月経・PMS・更年期症状による仕事への影響度や、女性社員が求めるサポートなどが明らかとなった。

女性の約6割が「月経やPMSが心身に影響あり」と回答。仕事のパフォーマンスも低下か

女性の中には月経やPMS(月経前症候群)によって、身体面やメンタル面に不調が現れる人もいるだろう。特にPMSは症状やタイミングが一定でないこともあり、対処が難しいとされている。では実際に、働く女性において、月経やPMSなどはどの程度仕事に影響しているのだろうか。

はじめにヘルスケアテクノロジーズは、「月経・PMSで体の痛みやメンタルへの影響はあるか」と尋ねた。すると、「はい」が58.8%、「いいえ」が41.3%で、6割弱が「影響がある」と感じていることがわかった。
“女性特有の健康課題”への理解は急務か、約6割が「月経・PMS・更年期症状」で仕事に支障。パフォーマンス維持に必要な施策とは
次に同社は、「月経やPMSで体の痛みやメンタルへの影響がある」とした回答者に、「元気なときの仕事の出来を10点とした場合、生理期間前後やPMS中の仕事の出来は何点か」を尋ねた。その結果、平均は「4.8点」となり、仕事のパフォーマンスは半分以下に下がることが明らかとなった。

この結果から、多くの女性において月経やPMSの影響が心身に及び、仕事に支障が出ていることがわかる。
“女性特有の健康課題”への理解は急務か、約6割が「月経・PMS・更年期症状」で仕事に支障。パフォーマンス維持に必要な施策とは

更年期を自覚する女性の約6割が「仕事への支障を我慢」

続いて同社は、更年期の症状を自覚する40~50代の女性を対象に、「『更年期の症状が仕事に支障をきたしているが、我慢をしている』ということがあるか」を尋ねた。すると、「はい」が64.5%と6割を超えた。
“女性特有の健康課題”への理解は急務か、約6割が「月経・PMS・更年期症状」で仕事に支障。パフォーマンス維持に必要な施策とは
そこで同社は、「更年期の症状を我慢している」とした回答者に、「元気な仕事の出来を10点とした場合、更年期の症状出現時の仕事の出来は何点か」を尋ねた。その結果、平均点は「5.1点」となり、更年期症状の影響により4.9ポイントも仕事のパフォーマンスが落ちていることが明らかとなった。

この結果から、40~50代で更年期の症状を抱える女性は多く、仕事に影響をきたしつつも我慢していることや、仕事のパフォーマンスに支障が出ていることがわかった。
“女性特有の健康課題”への理解は急務か、約6割が「月経・PMS・更年期症状」で仕事に支障。パフォーマンス維持に必要な施策とは

月経・PMSの不調症状に悩む2人に1人、更年期症状に悩む3人に1人は何らかの対処で改善経験あり

また、同社は月経・PMSで体の痛みやメンタルに影響があるとした回答者に、「何らかの対処をしたことで症状が改善した経験があるか」を尋ねた。すると、「ある」は49.5%と、約2人に1人に及んだ。

さらに、更年期の症状を自覚する人に、「何らかの対処をしたことで更年期症状が改善した経験はあるか」を尋ねたところ、35.5%が「ある」と回答した。約3人に1人が何らかの対処で更年期症状が改善した経験があるとしていることがわかった。

前の質問では、何らかの不調を抱えつつも対処できずに我慢している人も多いことがうかがえたが、本質問の結果から、対処方法があることを広く伝えることで、症状を改善できる人の割合は増えるともいえる。
“女性特有の健康課題”への理解は急務か、約6割が「月経・PMS・更年期症状」で仕事に支障。パフォーマンス維持に必要な施策とは

「仕事上の健康面のサポート」を重要視する女性が多数

最後に同社が、女性に対し「女性に特化した健康支援は、仕事のパフォーマンスの維持や、長く働くことにプラスになるか」を尋ねたところ、「はい」が7割を超えたという。

そこで、「利用できると仕事の生産性が上がったり、長く働くことにつながりそうな施策」を尋ねた。すると、「柔軟な働き方(テレワークやフレックスタイムなど)」(28.3%)が最も多く、「時間単位の休暇取得ができる制度・環境」(26%)と、働き方の面における制度が上位に来ていた。3位以降は「婦人科受診費用の補助」(22.5%)、「生理休暇」(18%)、「低用量ピルの服薬支援(費用の補助)」(16.3%)と、健康支援の施策が続いた。

また、20代女性の回答を抜粋すると、「低用量ピルの服薬支援(費用の補助)」(32.1%)が最も多かった。以下、「婦人科受診費用の補助」(22.9%)、「生理休暇」(21.1%)と、健康支援の傾向が強く見られた。これらを受け、多くの女性が仕事上における健康面のサポートを必要だと感じていることがうかがえる。
“女性特有の健康課題”への理解は急務か、約6割が「月経・PMS・更年期症状」で仕事に支障。パフォーマンス維持に必要な施策とは
本調査結果から、女性の6割が「月経やPMSで体の痛みやメンタルへの影響がある」、「更年期症状が仕事に支障をきたしているが我慢している」と回答したことが明らかとなった。一方で、何らかの対処によって症状が改善した人も3割以上いることがわかった。女性の健康支援に向けたサポートを重要視する声も多いことから、今後、従業員のパフォーマンスの維持や長期雇用を目指す企業では、女性が求める制度等の導入を検討してみてはいかがだろうか。