「副業人材活用」を始める企業は“前年比123%”で活性化の兆し。人材不足解消のほか自社社員のスキルアップにも寄与か

パーソルキャリア株式会社は2023年6月9日、「副業人材の活用が企業に与える影響」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2023年5月13日~15日で、企業の採用業務や人材獲得業務に携わっている管理職1,873名のうち、副業人材を活用している管理職400名から回答を得ている。本調査から、企業における副業人材の活用状況や会社への影響度などが明らかとなった。

2022年度に副業人材の活用を開始した企業は“前年比123%”。活用人数も増加傾向か

政府は昨年(2022年)に示した「骨太の方針」で、「人への投資」に重点を置くことを発表した。副業人材の活用は「人への投資」を推進する目的の1つであり、自社社員のスキルや生産性向上にも寄与すると言われているが、実際に企業に対しどのような影響を与えているのだろうか。

まずパーソルキャリアが、「副業人材の活用状況」について尋ねたところ、2022年度(2022年4月~2023年3月)に副業人材の活用を開始した企業は、20.8%だった。2021年度(16.8%)と比較すると、23%増となった。
「副業人材活用」を始める企業は“前年比123%”で活性化の兆し。人材不足解消のほか自社社員のスキルアップにも寄与か
また、「勤務先では、副業人材を活用している人数に変化はあるか」を尋ねると、「大幅に増加」が14.8%、「やや増加」が48%で、合計62.8%が「増えている」と回答した。副業人材を活用し始める企業だけでなく、活用人数も増加傾向であることが明らかになった。
「副業人材活用」を始める企業は“前年比123%”で活性化の兆し。人材不足解消のほか自社社員のスキルアップにも寄与か

9割以上が「副業人材が会社に良い影響を与えている」と回答。生産性向上などに寄与か

次に、同社が「副業人材の活用による会社への影響」について質問した。その結果、「良い影響を与えている」(29.3%)と「どちらかというと良い影響を与えている」(66%)の合計は95.3%となった。
「副業人材活用」を始める企業は“前年比123%”で活性化の兆し。人材不足解消のほか自社社員のスキルアップにも寄与か
あわせて、「副業人材が会社へ良い影響を与えている理由」を聞くと、「社員の生産性向上に繋がった」(46.5%)が最多だった。以下、「既存ビジネスの課題解決が進んだ」(35.5%)、「社員のスキルアップに繋がった」(34.3%)が上位に挙がった。

この結果を踏まえ同社は、「副業人材の活用は、会社の事業やサービスだけではなく『人への投資』の目的の1つでもある、自社社員の生産性やスキル向上に寄与することを裏付ける」との見解を示している。
「副業人材活用」を始める企業は“前年比123%”で活性化の兆し。人材不足解消のほか自社社員のスキルアップにも寄与か

「副業人材の活用理由」に変化か。「スキル・専門性の獲得」がトップに

続いて、「副業人材を活用する理由」について同社が質問した。すると、全体の1位は「人材不足の解消」(46.5%)、2位は「スキル・専門性の獲得」(44.8%)だった。

一方、2022年4月以降に活用を開始した企業に絞ると、1位は「スキル・専門性の獲得」(50.6%)、2位は「プロジェクト推進のスピードアップ」(48.2%)となり、副業人材の活用理由に変化が生じていることがわかった。

同社はこの背景として、「副業人材活用が徐々に広がるにつれ、得られるメリットが明らかとなり、成果や効果に期待する企業が増加傾向にある」と推察している。
「副業人材活用」を始める企業は“前年比123%”で活性化の兆し。人材不足解消のほか自社社員のスキルアップにも寄与か

9割以上が「今後も副業人材の活用を継続したい」と回答。副業市場拡大の兆しに

最後に同社は、「副業人材活用の継続」についての意向を尋ねた。その結果、「継続したい」(36.3%)と「どちらかというと継続したい」(57.5%)の合計は93.8%となった。大多数が、「今後も副業人材の活用を継続したい」との意向を示し、今後さらに市場が盛り上がる兆しがうかがえる結果となった。
「副業人材活用」を始める企業は“前年比123%”で活性化の兆し。人材不足解消のほか自社社員のスキルアップにも寄与か
本調査結果から、副業人材の活用を始める企業や人員数は、昨年度と比べて増加傾向にあることがわかった。また、企業の課題解決や人材不足の解消に加え、自社社員の「生産性向上」や「スキルアップ」といった副次的な好影響があることも明らかとなった。今後も副業人材活用が、「人への投資」の視点で自社に新たな価値をもたらす手段として、より活性化していくのではないだろうか。