「AIチャット」認知層のうち6割以上が使用経験あり。業務効率化を期待する一方で、「仕事が奪われる」との懸念も

株式会社ライボは2023年5月22日、「2023年 AIチャットの意識調査」の結果を発表した。調査期間は2023年5月2日~3日で、同社の調査機関「Job総研」を通じ、20代~50代の956人の社会人男女を対象に実施した。本調査により、AIチャットの認知度や今後の使用意欲、仕事の効率化の可否などが明らかとなった。

約9割の人がAIチャットを認知。「興味あり」とする人も7割に迫る

ChatGPTをはじめ、AI技術によって自然な対話ができる「AIチャットサービス」が、昨今話題になっている。働く人々は、AIチャットに対してどのような意識を持っているのだろうか。はじめにライボは、対象者全員に対し「AIチャットを知っているか」を尋ねた。すると、「知っている」が88.5%、「知らない」が11.5%だった。

また、「知らない」と回答した人にもAIチャットの機能を説明した上で、全体に「興味度」を聞くと、「とても興味あり」が10%、「興味あり」が23.6%、「どちらかといえば興味あり」が33.6%で、合計67.2%だった。約7割が、AIチャットに興味を示していることがわかった。
「AIチャット」認知層のうち6割以上が使用経験あり。業務効率化を期待する一方で、「仕事が奪われる」との懸念も

AIチャットを認知している人のうち「使用経験あり」は6割超に

続いて、先の設問で「AIチャットを知っている」とした回答者に対し、「何らかの形で使用した経験の有無」を同社が尋ねた。その結果、「使用経験あり」は63.5%、「使用経験なし」は36.5%だった。

さらに年代別に回答を集計すると、「使用経験あり」の回答率が最も高かったのは40代(69.6%)だった。以下、20代(63.2%)、30代(62.4%)、50代(53.5%)と続いた。
「AIチャット」認知層のうち6割以上が使用経験あり。業務効率化を期待する一方で、「仕事が奪われる」との懸念も

「使用経験あり」とした人の仕事での使用は3割程度。職種別ではSE・エンジニアが最多

次に同社は、前設問で「AIチャットの使用経験がある」とした回答者に対し、「仕事上で使用した経験の有無」を質問した。すると、「仕事での使用経験あり」が31.1%、「仕事での使用経験なし」が68.9%となった。

職種別に結果を集計すると、「SE・エンジニア」(98%)が大多数を占めた。続いて、「企画・管理」(48.1%)、「マーケティング」(46.2%)、「クリエイター」(35.3%)、「営業」(30.9%)が上位となった。
「AIチャット」認知層のうち6割以上が使用経験あり。業務効率化を期待する一方で、「仕事が奪われる」との懸念も

8割以上が「積極的に使いたい」意向を示し、仕事の効率化を期待

続いて、同社が全体に対し、「今後の仕事でのAIチャット使用意欲」を尋ねた。その結果、「とても積極的に使う」(26.3%)と「積極的に使う」(29.4%)、「どちらかといえば積極的に使う」(30.8%)の合計は86.5%となった。8割以上が、「積極的に使いたい」との意向を示した。

また、「仕事上でAIチャットを使用することで仕事を効率化できるか」を聞いたところ、「とても効率化する」(24.2%)と「効率化する」(39.7%)、「どちらかといえば効率化する」(27.2%)の合計は91.1%だった。
「AIチャット」認知層のうち6割以上が使用経験あり。業務効率化を期待する一方で、「仕事が奪われる」との懸念も

「AIの進化が人間の仕事を奪う」との懸念は7割超に

最後に、全体に対し「AIの進化が人間の仕事を奪うと思うか」を同社が尋ねると、「とても思う」(15.5%)と「思う」(26.7%)、「どちらかといえば思う」(34.7%)の合計は76.9%となった。「AIが人間の仕事を奪うと思う」と懸念する意見が8割に迫った。

また、回答を年代別に見ると、「AIが人間の仕事を奪うと思う」の最多回答は20代(81.7%)だった。以下、30代(74.6%)、40代(72.9%)、50代(66.7%)と続いた。「AIに仕事を奪われる」との懸念については、年代が上がるごとに薄くなる傾向が見られた。

「AIチャットに対する印象」をフリーコメントで募ったところ、「革新的な技術だと思うので、とても期待しているし積極的に使っていきたい」や、「より生産性の高い仕事へシフトチェンジできるチャンスとして捉えるべきだと思う」、「AIを使うことで生産性が上がれば、副業をして収入の向上を目指したい」といったポジティブな声が聞かれたという。

一方で、「情報の信頼性に不安があるため、今のところ仕事で使えるレベルではない」や、「興味はあるが情報漏洩の不安があり、まだ使った経験はない」、「詐欺メールやサイトがより巧妙になってしまうのではないかと懸念している」といったネガティブな意見も寄せられたとのことだ。
「AIチャット」認知層のうち6割以上が使用経験あり。業務効率化を期待する一方で、「仕事が奪われる」との懸念も
本調査結果から、AIチャットの認知度は約9割に及ぶも、仕事上で使用経験のある人はさほど多くないことがわかった。業務効率化に期待を寄せる一方で、「人間の仕事を奪うと思う」といった懸念も抱いているようだ。今後ますます発展していくことが予測されるAIチャットサービスについては、企業で「どのように使うか」や「どう使いこなすか」を検討していく必要がありそうだ。