株式会社PR Tableは2023年3月23日、「大企業の採用広報における課題調査」の結果を発表した。調査期間は2023年3月6日~7日で、従業員数1,000名以上の大企業の経営者・役員および人事責任者の計208名から回答を得た。調査結果から、採用戦略や採用広報に関する課題感などが明らかとなった。
実行中の採用施策は「人材紹介会社」が7割以上に
近年、労働人口の減少や産業構造の急激な変化などの流れを受け、採用市場における競争が激化している。大手企業では、自社の採用競争優位性の確保に向け、さまざまな採用手法を取り入れているというが、実際にどのような施策を実施しているのだろうか。PR Tableはまず、「現在実施している採用施策」を尋ねた。すると、「人材紹介会社」が72.6%で最多だった。以下、「ナビサイト」が62%、「ダイレクトリクルーティング・スカウトサービス」が53.8%で続いた。直近1年間の採用施策の実施度合・成果に「十分に満足している」は2割にとどまる
次に同社は、「直近1年間における『採用施策』の実施度合/成果に対する満足度」を尋ねた。すると、「かなり満足(十分にできている/成果が出ている)」との回答は21.5%と、自社での実施度合や結果に満足できている人は2割にとどまった。さまざまな施策を試みている一方で、結果につながっている企業は少ないのが実態のようだ。十分に採用施策を実行できない理由は「必要スキルのある専門人材の不足」が最多に
続いて同社は、先の質問に対し「どちらかというと不満」もしくは「かなり不満」と回答した人に、「採用施策を十分に実行できていない理由」を尋ねた。すると、「必要なスキルを持つ専門人材が不足しているから」(63%)が最も多かった。以下、「どのような採用手法が効果的かわらないから」(48.1%)、「時間/工数が不足しているから」(40.7%)が続いた。約6割が採用広報において「自社のカルチャーや社内の雰囲気の発信」を課題視
また同社が、「現在の採用広報に限界を感じているか」について尋ねたところ、「非常に感じている」および「やや感じている」との回答の合計は8割にのぼったという。この回答を受け、「現在の採用広報に限界を感じている理由」を同社が尋ねたところ、「カルチャーや社内の雰囲気を発信できていないから」が最多で59.3%が回答した。以下、「必要とする人材に自社の『働く場』としての魅力が伝わらないから」(56.9%)、「採用サイトに未訪問の求職者にアプローチできていないから」(53.3%)がどちらも半数以上となり上位を占めた。
自由回答では、「欲しい人材にどのようなアプローチをすればよいのか悩ましい」や、「他社との差別化」、「昔ながらの採用手法から脱却できていない」といった声が寄せられたという。実行中の採用施策については、自社の雰囲気や独自の魅力を発信できていないことを課題としている企業が多いようだ。
人事部・広報部との連携においては「採用における課題の共有」ができず
また同社が、「採用広報を行う中で、人事部と広報部との連携に課題を感じたことがあるか」を尋ねたところ、約7割が「課題がある」と回答したという。さらに、人事部と広報部の連携に「課題がある」とした人に対し、「人事部と広報部とで連携をする際に感じたことのある課題」について同社が尋ねた。すると、「採用広報に時間を割いてもらえない」(58.9%)が最多で約6割が回答した。以下、「採用広報についての理解度が低い」(51%)、「KPIや目的にズレがある」(43.7%)が続いた。自由回答では、「コミュニケーションが取れていない」や「バラバラに活動しているため、連携ができていない」などといった声も寄せられたという。人事部・広報部との連携では、「部署による役割の違い」や「採用における課題の共有」などが課題となっているようだ。
本調査結果から、大企業の経営者や人事責任者の多くが、現在の採用手法に課題を感じていることがわかった。候補者に効果的にアプローチするためには、カルチャーの発信などができていないと感じている人が多く、人的リソース不足や人事・広報との連携にも課題があるようだ。今後、自社の採用力強化に向けては、理念や人材確保に向け解決したい課題などの共有を含め、部門を横断し効果的な発信方法を検討していくのがよさそうだ。