株式会社レトリバは2023年3月10日、「ChatGPTのビジネス・社会への影響度」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2023年2月22日~26日で、全国の経営者4,672名から回答を得た。調査結果から、「ChatGPT」の認知度合いや想定する活用シーン、ビジネスへの影響に対する考え方などが明らかとなった。
「ChatGPT」の経営者の認知度は3割にとどまる
「ChatGPT」は、米サンフランシスコのOpenAI社による、オリジナルのテキストを生成できる人工知能ツールだ。手軽に利用できる事が特徴の対話型のサービスで、さまざまなシーンでの活用が期待されているが、国内経営者の認知度合いはどの程度なのだろうか。レトリバはまず、「ChatGPTの認知度」を調査した。その結果、「ChatGPTについて知っている」は30.6%、「ChatGPTについて知らない」は69.4%だった。注目が集まるChatGPTだが、経営者の認知度は3割程度と、調査時点では広く認知されていないのが実態のようだ。業務自動化で“効率化”への期待も、情報の不確実性には課題感か
次に同社は、「ChatGPTがどのような用途に活用されているか」についての自由回答を、同社が運営するAIテキスト分析ツールを用いて調査した。その結果、最も多かったのは「仕事で調べものをする時に活用する」で、39.3%が回答した。以降は、「顧客対応自動化で活用」(23.2%)、「試しに利用している」(16.9%)と続いた。同社によると、「結果を過度に信じすぎないようにしている」など、ChatGPTの正確性や信憑性に疑念を持つ声も寄せられたという。ビジネスでの活用シーンについては、業務の自動化による効率化などへの期待が寄せられるものの、情報の不確実性に課題感を抱える人もいるようだ。
ChatGPTのビジネスへの影響について「まだわからない」との回答が半数を占める
続いて同社は、「ChatGPTが将来的にビジネスに与える影響」を調査した。その結果、半数以上の54.5%の経営者が「関係ない・まだ不明と思っている」と回答した。ChatGPTの将来的な可能性について、半数以上が具体的なイメージを持っていないようだ。一方で、肯定的な意見の中では、「文章作成の効率化が図れる」(9.3%)と、「(文章作成・リサーチにおいて)便利なツールになる」(5.5%)が計14.8%となり、ChatGPTをビジネスに活用する上でのイメージとして文書関連を想定する回答が約15%を占めた。
ポジティブな変化に期待する声の一方で、思考力低下・コミュニケーション不足に懸念も
最後に同社は、「ChatGPTによって生活や仕事にどのような変化が生じるか」について調査した。その結果、最も多かったのは「生活が便利になる」で20.9%、次いで「時間短縮・効率的になる」が19.7%となり、ポジティブな面への期待がうかがえる回答が上位にあがった。他方で、「人の考える力に影響が出る」(16.4%)、「暇や情報が増え人の仕事が減る」(9.3%)、「人とのコミュニケーション不足」(3.9%)など、ネガティブな面を懸念する声も聞かれた。生活の利便性向上や、業務効率向上といった効果に魅力を感じる経営者が多い中、思考力の衰えやコミュニケーション不足への懸念を持つ経営者もいるようだ。
本調査結果によると、国内経営者におけるChatGPTの認知度は3割程度であり、幅広い認知拡大には至っていないのが現状のようだ。一方で、自動化による業務効率化などへの可能性を感じ、活用を検討する経営者も存在した。現状では、情報の正確性などの課題から活用を懸念する声もあるが、サービスの特性を考慮しつつ、業務自動化などに役立ててみるのもよいかもしれない。