ナリス化粧品、女性社員や管理職などの“ママ比率”が11年で約2倍に増加。働きやすい環境整備などの両立支援が成果に

株式会社ナリス化粧品は2023年4月5日、同社における女性社員比率・管理職比率・女性管理職における“ママ比率”(総数中の母親の割合)が、2012年度末から約2倍に増加したことを発表した。同社は30年以上前から両立支援のための取り組みを進めてきたというが、2012年4月には大きな改革を実施。このことで、さまざまなライフイベントを抱える女性が、働くことを諦めなくてもよい環境の整備につながったとしている。

経済的支援のほか、“働く時間の自由度”が高い制度を継続的に運用

ナリス化粧品は、働きやすい環境の整備に関して「経済的支援と空気感の醸成の両方が大切」と考えており、社員一人ひとりの声に耳を傾け、制度改定の材料として継続的に制度更新を行っているという。1996年に「全社禁煙」、1999年に「婚姻後の旧姓使用の許可」などの制度を取り入れるなど、社員の細かな困りごとを解決する施策も実施してきている。中でも、社員の困りごとや希望を、上司を通さず人事部門に直接申告できる「自己申告制度」の活用を30年以上継続しているという。

また、同社ではこうした取り組みに加え、両立支援に関する取り組みも行っているが、中でも2012年4月に実施した施策は大きな改革となったという。具体的には、3ヵ月以上の育休を取得した社員が復職する際に、就学前の子ども1人に対し月額2万円を支給する「復職支援金」制度を開始。さらに同社は、「時短勤務」の期間を子どもが小学校を卒業するまでに延長するなど、複数の取り組みを開始した。特に、法定(3歳まで)を大きく上回り小学校卒業時まで利用できる時短勤務制度は、社員から最も支持される制度となっているという。

こうした制度運用の結果、制度改革前の2012年3月末と比較すると、2023年3月末時点で社員の女性比率が38%から57%、女性管理職比率は19%から38%に。また、女性管理職のうちの“ママ社員比率”は21%から48%と大きく伸長し、それぞれ約2倍に増加したという。
ナリス化粧品、女性社員や管理職などの“ママ比率”が11年で約2倍に増加。働きやすい環境整備などの両立支援が成果に
同社では制度導入や更新を通じ、社員への経済的な支援にとどまらず、働く時間の自由度が高く働きやすい環境整備をしてきたことで、女性社員が働くことを諦めなくてもよい環境の整備につながっていると考えている。また、産前休暇以外の両立支援制度を男女を問わず適用しているという。両立支援以外の制度についても、出産や育児だけの適用にとどまらないことが、社員全体の働きやすさにつながっているとのことだ。

人的資本経営に関心が高まる中、女性管理職比率などを可視化し公表する企業も増えている。ナリス化粧品では30年以上前から両立支援の取り組みを実施し、社員の声を反映し更新を重ねてきたというが、今回取り組みの成果が数値として反映されたことで、社内外に与えるインパクトも大きいだろう。今後、従業員の両立支援施策に注力していきたい企業は、こうした先行事例を参考にしてみてはいかがだろうか。