レクストホールディングス株式会社は2023年3月31日、人的資本の情報開示に関する国際的ガイドラインである「ISO30414」の認証を同年3月17日付で取得したことを発表した。なお、本認証を取得した中小企業は世界初となるという。同社は今後も、離職率低減やダイバーシティ向上など働き方改革を推進し、人的資本経営に取り組む模範企業を目指す考えだ。
「人材への投資」に関する取り組みが評価され「ISO30414」認証取得に至る
レクストホールディングスが今般取得を発表した「ISO30141」は、国際標準化機構のマネジメントシステム規格の1つだ。人的資本の情報について、定量化・分析・開示を行うための国際的な指標として設けられている。このガイドラインを用いることで、企業の生産性やダイバーシティなどを含む人的資本に関する11の項目と58の指標についての数値化や、社内外での比較・検討が可能となる。同社の認証取得の発表時点で、「ISO30141」の認証企業は同社を含み世界で8社、そのうち4社が日本企業であるという。同社はこれまで数年間にわたって「人に対する投資」、「人を財産とする」との考え方のもと、人財を経営の中核に置く取り組みを実施。その中で、複線系キャリアパスの導入や社内公募制、毎年の人事異動アンケート、役員に対する360度評価のほか、ダイバーシティ採用などにも取り組み、離職率の低下や社員エンゲージメントの向上につなげてきたという。また、同社では2022年6月より認証取得に向けた準備を進めており、今回、先述の取り組みが評価されて「ISO30141」の認証取得に至ったとのことだ。なお、同社における人的資本の取り組みは、主に下記のようなものがある。
●CVC(チャレンジベンチャーコンテスト)制度
誰もが自由な発想で応募でき、優れた提案内容であった人は、その事業資金を出して担ってもらう制度
●禁煙サポート
禁煙サポート手当を導入し、禁煙外来にかかる自己負担額を会社が全額負担する制度
●複線系キャリアサポート
7つの職務の中から、社員本人の適正、能力、専門性などに応じ自身に合った職務を選択できる制度
●アルムナイ制度
退職者を再度社員として迎える制度
同社は、「ISO30414」の認証取得を受け、世界的に誇れる人的資本経営の模範企業を目指していくという。さらに今後、これまで以上に離職率の低減やダイバーシティ向上などの働き方改革を推進し、世界の中小企業のロールモデルになるだけでなく、将来は上場する大企業として人的資本経営をリードできるよう尽力していきたいとしている。
自社の従業員の成長や働きやすさなどに関する投資を行い、数値化して分析を行う人的資本経営に関心が高まっている。中小企業でも人的資本経営に向けた取り組みが推奨されている中、国際的なガイドライン認証取得につながった事例は模範となり得るだろう。自社で人的資本経営に取り組みたいと考える企業にとっては、こうした先行事例が参考になりそうだ。