沖電気工業株式会社(以下、OKI)は2023年3月1日、同社における多様な働き方を整備するための新たな人事制度「副業・副業受け入れ制度」を導入することを発表した。同社は新制度を運用する中で、社員一人ひとりが最大限の力を発揮し、組織パフォーマンスを最大化していくことで、社内の価値観の多様化を進め、事業変革と新事業創出を目指していく考えだ。
国内全社員の「副業の容認」と「外部人材の受け入れ」で多様な視点・知見を取り込む
OKIは、2023年度に開始する時期中期経営計画の方向性として、「成長への舵切り」と「環境変化への対応」の2つを掲げ、人事制度の再構築を進めているという。これまでも利用日数制限のない「テレワーク制度」や、通勤圏外に居住せざるを得ない社員にテレワーク基本の勤務を可能とする「通勤圏外勤務制度」に加え、コアタイムを設けない「スーパーフレックス制度」など、あらゆる制度を導入し多様な働き方の整備を進めてきた。今回同社は、こうした取り組みをさらに進め、多様な就労ニーズへの対応を目指すべく「副業・副業受け入れ制度」を導入した。従来、同社では社員からの申請に基づき、家業など最小限の範囲で副業を認定してきたという。そうした中、今回導入した「副業制度」では、国内全社員を対象に、副業先との雇用形態(雇用・非雇用)に関わらず副業を認めることとした。また、「副業受け入れ制度」では、戦略分野におけるプロジェクト単位や、スポット雇用で人材を受け入れる。本制度を通じ同社は、社員一人ひとりのキャリア自律を支援するとともに、外部の多様な視点や知見の取り込みを目指すという。加えて同社は、2023年度より本制度をグループ各社にも順次展開する方針を示している。
本制度導入により同社は、社員の自律的な働き方や多様な価値観のもと生み出される柔軟なアイデアを原動力に、イノベーション創出やビジネスモデル/ビジネスプロセスの変革を進め、「成長への舵切り」をより確実なものとしていきたい考えだ。
政府は、「副業・兼業は、新たな技術の開発やオープンイノベーションに有効」との見解を示しており、企業においても自社社員の副業の容認や、副業人材の受け入れを認める動きが広がっている。同社の取り組みは、社員の柔軟な働き方の推進と、スキルや知見の蓄積に有効な施策と言えそうだ。今後、企業として競争力を高め持続的な成長を実現するには、こうした他社の事例も参考にしつつ、自社にノウハウを蓄積していくことが重要だろう。