株式会社ライボは2023年1月30日、「2023年 リモートマネジメント実態調査」の結果を発表した。調査期間は2023年1月11日~19日で、従業員規模20名~1,000名以上の企業に勤める20代~50代の社会人874名から回答を得た。調査から、1年前と比較したテレワーク頻度の増減や満足度、マネジメント側の課題などが明らかとなった。
「テレワーク頻度が増加した」と6割が回答。「週3日以上」が半数以上に
新型コロナウイルス感染症の流行拡大を契機に、多くの企業にテレワークが普及したが、1年前の同時期と比べて“テレワーク頻度”に変化はあるのだろうか。ライボはまず、「テレワークをしている」とした543名を対象に、2022年1月と比較した「テレワーク頻度の増減」を尋ねた。すると、「とても増加した」(18%)、「増加した」(14.2%)、「少し増加した」(29.1%)の回答が計61.3%と、頻度が増した人が6割にのぼった。また、「現在のテレワーク頻度」について同社が尋ねたところ、「フルリモート」が23.4%で最多だった。以下、「週に4回以上」が16.4%、「週に3~4回」が18.6%で計58.4%となり、週に3回以上テレワークを行っている人が半数を超えた。
6割以上が働きやすい環境を「テレワーク」と回答。満足度も8割と高水準に
次に同社は、全対象者(874名)に「出社とテレワークのどちらが働きやすいか」を尋ねた。すると、「断然テレワーク」(34.1%)と「どちらかといえばテレワーク」(28.9%)との回答が計63%と、「テレワーク派」が6割を占めた。また同社は、現在テレワークを実施している543名に対し、「現在のテレワークの満足度」を尋ねている。すると、「とても満足」(31.5%)、「満足」(28.9%)、「どちらかといえば満足」(24.1%)の回答は計84.5%となり、満足度は8割を超えた。
個人のテレワークの課題は「コミュニケーション不足」が最多に
続いて同社は、全体に対し「テレワークでの課題」について尋ねた。すると、「上司や同僚とのコミュニケーション不足」(45%)が最多となり、以下、「雑談ができず相手の心理がわからない」(36.2%)、「オンとオフの切り替え」(32.8%)と続いた。また、「テレワークにおける上司の印象」について同社が尋ねると、こちらも「コミュニケーション不足を感じる」(38%)との回答が最多だった。他には「特に問題を感じていない」(34.7%)、「適切なタイミングでフィードバックがもらえない」(24.5%)が上位にあがった。テレワークをしている人は、社内におけるコミュニケーションの取り方に課題を抱えている傾向にあるようだ。
テレワークでのマネジメントの課題は「業務進捗の把握」がトップ
一方で同社は、「テレワークでのマネジメント経験がある」とした303名に、「テレワークのマネジメント課題の有無」を尋ねた。すると、課題が「ある」との回答は68%と、7割に迫った。さらに、テレワークでのマネジメントに「課題がある」とした人(206名)に対し、「課題内容」を同社が尋ねると、「メンバーの業務進捗の把握」が48.1%で最多だった。以下、「メンバーの理解度・成長度がわかりにくい」が39.8%、「忙しくてマネジメントの時間がとれない」が12.1%となった。
「テレワーク」は「出社」に比べ“マネジメント課題”を感じやすい傾向か
さらに同社は、「テレワークでのマネジメント経験がある」とした人に、「マネジメントの課題を感じる働き方」について尋ねた。すると、「テレワーク」(32.7%)と、「どちらかといえばテレワーク」(36.6%)の回答は計69.3%だった。一方、「出社で対面」(12.5%)と「どちらかといえば出社」(18.2%)の回答は計30.7%になり、マネジメント側が課題を感じる働き方は「テレワーク」が「出社」を38.6ポイント上回った。また、テレワークのマネジメントにおいて「難しさを感じる内容」を尋ねると、「コミュニケーション」(37.6%)が最も多かった。以下、「業務進捗の管理」(20.1%)、「業務量の管理」(13.5%)と続いた。マネジメント側でも、テレワークにおけるコミュニケーション不足を課題視している実態が明らかとなった。
6割がテレワーク中の「サボり」を経験も、「黙認」するマネジメント層が8割に
最後に同社は、全対象者に対し、「テレワーク中に仕事をサボった経験の有無」を尋ねた。すると、「すごくある」(15.3%)、「ある」(23.1%)、「ややある」(27%)の回答が計65.4%と、6割以上がサボった経験があることがわかった。この結果を受け、さらに「テレワーク中のサボりの内容」を尋ねたところ、「休憩時間を長めにとる」と「ネットサーフィンをする」がそれぞれ5割以上、「業務とは無関係の動画を観る」が2割以上の回答を集めたという。また他方で、「テレワークでのマネジメント経験がある」とした人に、「テレワークのサボりへの対応」について尋ねた。その結果、「ほぼ黙認」(21.1%)、「ある程度黙認」(42.2%)、「特に対応なし」(23.4%)の回答が計86.7%と、「黙認派」の回答が8割を占めた。テレワークのマネジメントの難しさに関するフリーコメントでは、「リモートではハラスメントと受け止められないように気を遣って接している」や、「厳しいマネジメントもできるが、サボりなどはある程度黙認している」といった声が寄せられたという。テレワークではマネジメント層の目が届かないことが、良し悪しの両面において影響していることがうかがえる。
本調査から、「働きやすさ」の実現においては、テレワークの導入が効果的である一方で、社内におけるコミュニケーション不足が大きな課題となっている実情がうかがえる。また、マネジメント層の目が届かないことで、従業員の「サボり」が黙認されている実態も明らかとなった。今後も働きやすさと生産性向上を両立させていくには、テレワークにおけるコミュニケーションや進捗管理の方法を整備する必要があると言えそうだ。