約7割がSDGsに取り組むことで「企業イメージ」を向上させたい考え。推進のハードルは「リソース不足」と「ノウハウ不足」

株式会社月刊総務は2023年1月16日、「SDGsについての調査」の結果を発表した。調査期間は2022年12月12日~24日で、総務担当者116名から回答を得た。調査から、企業におけるSDGsの取り組みの進捗度や課題などが明らかとなった。

約7割がSDGsに取り組んでいると回答

「SDGs」は持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指す17の国際目標のことで、2030年の達成を目指して、2015年の採択以降世界各国で取り組みが進んでいる。では、国内企業での取り組み状況はどうなのだろうか。月間総務はまず、「勤め先の企業はSDGsに取り組んでいるか」と尋ねた。すると、「取り組んでいる」は69.8%、「取り組んでいない」は20.7%だった。約7割と大半の企業で、取り組みを進めていることがわかった。

また、同社が「具体的に取り組んでいる内容」を尋ねたところ、「CO2削減(低排出係数への切り替え、太陽光発電の導入)」や、「節水型トイレタンクに交換」、「フードバンクへの食料の提供」などの取り組み事例が寄せられたという。
約7割がSDGsに取り組むことで「企業イメージ」を向上させたい考え。推進のハードルは「リソース不足」と「ノウハウ不足」

17の目標のうち「働きがいも経済成長も」は総務部門が主体になって推進

次に同社は、「特に総務が主体となって取り組んでいる項目は何か」を尋ねた。すると、SDGsの17目標のうち、「働きがいも経済成長も」の項目が33.3%で最多となっており、以降は「すべての人に健康と福祉を」が30.9%、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」が28.4%で続いた。
約7割がSDGsに取り組むことで「企業イメージ」を向上させたい考え。推進のハードルは「リソース不足」と「ノウハウ不足」

半数の企業では「2030年に達成すべきゴール設定」ができていない

続いて同社は、「2030年に達成すべきゴールを定めているか」と尋ねた。すると、「定めている」は37%、「定めていない」は51.9%で、2030年までのゴールを定めていない企業の方が多数を占めた。
約7割がSDGsに取り組むことで「企業イメージ」を向上させたい考え。推進のハードルは「リソース不足」と「ノウハウ不足」

SDGsに取り組むメリットを「実感できていない企業」は2割に達する

また、同社は「SDGsに取り組む上で“期待するメリット”と“実感するメリット”は何か」と聞いている。すると、“期待するメリット”のトップは「会社のイメージ向上」で69%が回答し、突出して高くなっていた。以降には、「社員の働きやすい環境の整備」(31.9%)と「会社の認知度向上」(28.4%)が続いた。

一方、“実感するメリット”でも「会社のイメージ向上」が45.7%で、期待するメリットと同様にトップとなった。2位以下は、「会社の認知度向上」(19.8%)、「人材採用」が(14.8%)が続き、期待するメリットとは、項目に若干の違いが見られた。また「(実感する)メリットはない」と答えたのは23.5%となり、取り組みを進めていても効果を実感できていない企業がおよそ4社中1社あることがわかった。
約7割がSDGsに取り組むことで「企業イメージ」を向上させたい考え。推進のハードルは「リソース不足」と「ノウハウ不足」

人手・ノウハウ不足により、社内への浸透や社外へのアピールに課題を感じる声も

なお、同社は「SDGsに取り組んでいない」という企業に「取り組んでいない理由」を聞いている。すると、「人手(パワー)がない」と「何から始めたらよいかわからない」がともに4割以上で、以降には「経営者の理解が得られない」や「必要性を感じない」が共に2割以上で続いたという。

最後に、同社が全ての対象者に「SDGsに取り組む上での課題」を尋ねると、1位は「取り組みを社内に浸透させるのが難しい」で56%が回答した。2位は「事業をSDGsと結びつけるのが難しい」の48.3%となり、3位は「取り組みを社外にアピールするのが難しい」の32.8%が続いた。

その他の自由回答では、「コストと相容れない部分があり、上層部の理解を得にくい」や「取り組みの大切さは理解できるが、実務との兼ね合いが図れず、手段が見つからないまま曖昧に進んでいる」などの声があったという。SDGsへの取り組みを進められない要因には、人手不足やノウハウ不足があるとわかった。
約7割がSDGsに取り組むことで「企業イメージ」を向上させたい考え。推進のハードルは「リソース不足」と「ノウハウ不足」
全体の約7割がSDGsに取り組んでいるものの、そのうち半数以上の企業が2030年の達成ゴールは設定していないという実態が明らかとなった。また取り組んでいない企業では「人材不足」や「ノウハウ不足」が大きなハードルとなっているようだ。SDGsに取り組むことで、企業価値向上や社会的責任を果たしたいと考える企業も多い中で、現状の自社の課題解決という観点から考えることが方針や目標を決める第一歩になりそうだ。