株式会社エデンレッドジャパンは2023年1月27日、「ビジネスパーソンに聞く『インフレ手当』実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年12月22日~23日で、全国の20代~50代のビジネスパーソン2,248名にスクリーニング調査を行い、本調査では一般社員300名と、役員含む経営者150名、人事・総務担当者150名の計600名から回答を得た。調査から、「インフレ手当」の支給率や導入目的などの実態が明らかとなった。
「インフレ手当」の認知率は6割以上に
原材料費の高騰などにより、生活に欠かせない電気や食品などの値上げが続くなか、企業における「インフレ手当」の支給率や認知率はどうなのだろうか。エデンレッドジャパンはまず、全国の20代~50代の正社員2,248名を対象に「インフレ手当の支給率・認知率」を調査した。その結果、「どのようなものか知っており、実際に会社で支給されている」が10.2%と、支給率は1割にとどまった。他方で、「支給されていない」とする層における認知については、「聞いたことがあり、どのようなものか知っている」(39.3%)、「聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」(13.1%)となっていた。先の回答と合わせると計62.6%となり、「インフレ手当」の認知率は6割を超えることも明らかとなった。
「インフレ手当の導入が必要」との回答は約9割に
次に同社は、一般社員300名(以下、一般社員)を対象に、「インフレ手当の導入は必要か」と同社が尋ねた。すると、「必要」との回答が約9割を占めたという。また、「インフレ手当の導入が必要だと思う理由」を同社が尋ねると、「現在の給与だけでは家計が厳しいから」が52.2%で最多だった。以下、「物価高で生活が厳しくなっているから」が51.1%、「生活に不安を感じているから」が47.4%と続いた。
インフレ手当の使途は「食費」が突出して1位に
続いて同社は、一般社員を対象に「インフレ手当は、どのような用途で使用したいか(あるいは使用したか)」を尋ねた。すると、「食費」が70.3%で最多だった。以下、「光熱費」が50%、「燃料費」が24.7%と続いた。インフレ手当の支給で、従業員の「帰属意識向上」に繋がる可能性も
さらに同社は、一般社員を対象に「インフレ手当が導入・支給された場合、どう感じると思うか」を5項目の選択式で尋ねた。すると、「そう思う」および「ややそう思う」との回答割合が最も多かったのは、「社員のことを大切にしている会社だと思う」(計75%)だった。その他上位項目は、「仕事へのモチベーションがアップする」(計71.7%)、「会社への帰属意識が高まる」(計65.6%)と続いた。経営・人事側のインフレ手当導入・支給目的は「生活補助」が最多に
ここまでの調査結果から、一般社員の多くがインフレ手当の支給を必要だと感じている一方で、実際に手当を支給している企業は1割にとどまる実態が明らかとなった。では、企業の経営側は、インフレ手当の必要性などをどう感じているのだろうか。同社は、役員を含む経営者150名と人事・総務担当者の150名の計300名(以下、経営・人事)を対象に「インフレ手当を導入・支給する目的」を尋ねた。すると、「従業員の生活補助」(75.4%)が最多だった。ほか上位項目には、「従業員のモチベーションアップ」(53.7%)、「会社への帰属意識向上」(26.9%)があがった。
「インフレ手当を支給しない理由」は企業規模により異なる傾向か
最後に同社は、経営・人事側に「インフレ手当を導入・支給しない理由」を尋ねた。すると、全体では「特に必要はないと考えている」(39.2%)が最も多かった。以下、「企業体力がないため」(33.1%)、「業績悪化のため」(24.7%)と続いた。また、同回答を従業員「50名未満」、「500名未満」、「500名以上」の企業規模ごとに同社が分析すると、50名未満の企業では、「企業体力がないため」(38.9%)、「業績悪化のため」(29.2%)の回答割合が他の属性よりも高く、支給したくてもできない実状がうかがえる結果となった。対して、500名以上の企業では「総人件費の増加を避けるため」(26.7%)が他の属性よりも割合が高く、企業規模が大きいほどコストにシビアな傾向が見られた。
インフレ手当については、9割の企業が未支給である実態が明らかとなった。これには、企業体力や業績悪化、コスト面などへの懸念から「支給したくてもできない」という背景があると考えられる。一方で、手当支給により生活支援だけでなく、従業員のモチベーションや帰属意識の向上にも繋がる可能性も示唆された。従業員が厳しい状況に置かれている今、企業側はコストの適正化などを図り、手当で還元していくことで、結果的に企業価値向上に効果を望めるかもしれない。