株式会社博報堂DYホールディングスは2022年11月18日、「はたらく世代の幸福感調査(関東・関西編)」の結果を発表した。調査期間は2022年8月12日~16日で、20代~50代までの有職者6,000名(働いている人、およびそのパートナーの専業主婦・主夫)から回答を得た。なお同社は、調査対象者を東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の「関東エリア」3,000名と、大阪府、兵庫県、京都府の「関西エリア」3,000名に分けて分析している。調査から、関東・関西における幸福感の地域差や、その要因などが明らかとなった。
幸福感・元気感ともに関東よりも関西が高い
国際連合による2022年「世界幸福度レポート」において、日本の幸福度はG7加盟国で最下位の54位という結果となり、日本においては生活者自身が幸福と思えていない現状が浮き彫りとなった。こうした課題を受け、企業におけるウェルビーイング施策などに注目が高まっているが、ところで、働く人々が感じる幸福感は、地域によって差はあるのだろうか。博報堂DYホールディングスはまず、関東・関西のグループ別に「日ごろから、自分は幸せに暮らしていると思うか」を尋ねた。すると、関東グループが76%、関西グループが82.5%という結果となり、関西が関東に比べ6.5ポイント高くなった。
続いて、「日ごろから、自分は元気に過ごしていると思うか」と同社が尋ねると、関東では71.2%、関西は77.6%と、こちらも関西が関東より6.4ポイント高かった。
関西の女性および20代・30代で幸福感が高い傾向に
次に同社は、性別・年齢・職業別に「幸福感」を比較している。性別では、関西女性の「幸福感」が87.3%と最も高かった。年齢別では「関西の30代」が85.7%で最も高く、次点は「関西の20代」で85.1%だった。職業別でも「関西の会社員」が81.8%だったのに対し、「関東の会社員」は74.2%と、性別・年齢・職業の全ての分類において関西が関東を上回った。「元気感」も関西女性および関西20代・30代が高く、関東を上回る
続いて「元気感」における、性別・年齢・職業別の分析を同社が行ったところ、性別では、「関西の女性」(81.5%)が最多だった。年齢別では「関西の20代」(81.1%)がトップとなり、次点が「関西の30代」(80.4%)という結果だった。「幸福感」と同様に「元気感」についても、関西が関東を上回る結果となった。「協調的幸福度尺度」は各属性において関西が関東を上回る
次に同社は、「他社との協調性と他社の幸福」、「人並み感」、「平穏な感情状態」に焦点を置いた、「協調的幸福度尺度」(※)を用いて、関東・関西の地域別に、性別・年齢・職業ごとの分析を行った。すると、あらゆる属性において、関西が関東を上回る結果となった。中でも、「協調的幸福度尺度」のポイントが最も高く現れたのは「関西の女性」だった。(※)「協調的幸福度尺度」スコア算出方法:サンプル対象者一人ひとりにおける、質問項目を5段階(「1.全くあてはまらない」~「5.非常にあてはまる」)の反応値に1点~5点までの重み付けをし、算出したスコアを足し上げた総合計値。
「本音」、「共鳴」、「シェア」の3項目が“幸福感・元気感”につながるポイントか
また同社は、「協調的幸福度尺度」の全21の項目を、「本音項目」(自由に本音で話しあった方が楽しい)、「共鳴項目」(日々、楽しく笑える場面がある)、「シェア項目」(くだらないことでも人と話をする時間は楽しい)の3項目に集約している。すると、3項目全てにおいて関西が関東のスコアを上回ったという。
さらに、地域別の反応を探るべく、3項目全てに「はい」と回答した人を集計すると「関東」が49.7%、「関西」が57.7%という結果となった。
この結果と、「幸福感」および「元気感」との関連性を同社が分析すると、関東・関西ともに3項目すべて「はい」と回答した人に「幸福感」、「元気感」ともに高い傾向があったという。
この結果と、「幸福感」および「元気感」との関連性を同社が分析すると、関東・関西ともに3項目すべて「はい」と回答した人に「幸福感」、「元気感」ともに高い傾向があったという。
本調査から、高い幸福感や元気感のある人は、関東よりも関西地域に多い傾向が明らかとなった。また、関東・関西ともに「本音」を伝えることや、他者との「共感・共鳴」、経験の「シェア」の3項目が幸福感や元気感の向上につながっていることが示唆された。企業において従業員がこれらの行動が取りやすいよう、コミュニケーションを活性化させることで、エンゲージメントの向上も目指せるのではないだろうか。