メンタル不調による休職理由の上位は「人間関係」と「長時間労働」。休職期間に産業医のサポートを受けたのは4割未満

株式会社メンタルヘルステクノロジーズは2022年11月1日、「休職者と産業医との実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年10月5日~6日で、メンタル不調を原因に休職した経験のある会社員110名から回答を得た。調査から、休職した背景や産業医との関わりに対する課題感などの実態が明らかとなった。

休職に至った背景は「人間関係不和」が最多

企業における従業員のメンタルヘルスケアが重要な課題となっている中、メンタル不調による休職経験をもつ人は、どのような理由から休職に至ったのだろうか。メンタルヘルステクノロジーが「あなたが休職をした背景を教えてください」と尋ねると、「人間関係不和」が56.4%で最も多かった。以下、「長時間労働」が47.3%、「不当な人事評価」が39.1%と続いた。

その他には、「上司のパワハラ」(38歳)、「極度の疲労感や無力感」(47歳)、「サービス休日出勤、モラハラ」(51歳)などのフリーコメントがあった。
メンタル不調による休職理由の上位は「人間関係」と「長時間労働」。休職期間に産業医のサポートを受けたのは4割未満

休職者と会社との間で行われた調整は「休職期間について」が最多

次に同社が、「休職に至るまでに行った、会社との調整内容を教えてください」と尋ねると「休職期間について」が52.7%で最多となった。以下、「業務の引継ぎについて」が48.2%、「社会保険料の支払いについて」と「休職中の連絡手段について」がともに43.6%で続いた。
メンタル不調による休職理由の上位は「人間関係」と「長時間労働」。休職期間に産業医のサポートを受けたのは4割未満

休職中に関わる相手は「産業医」より「上司」が多数

続いて、同社は「あなたが休職中に関わった方をお選びください」と複数回答で尋ねた。すると、1位は「上司」が69.1%となり、以降は、「同僚」が52.7%、「主治医」43.6%、「産業医」が38.2%、「その他」が6.4%、「わからない/答えられない」が3.6%という結果となった。
メンタル不調による休職理由の上位は「人間関係」と「長時間労働」。休職期間に産業医のサポートを受けたのは4割未満

上司・同僚へは「仕事」、主治医・産業医へは「心身の状態」に関する相談が多い傾向

次に、先の質問で「わからない/答えられない」以外の回答をした人に対し、「あなたが休職中に関わった方との相談内容を教えてください」と尋ねた。その回答を「上司」、「会社の同僚」、「主治医」、「産業医」と相談先ごとに分けると、「上司」と「同僚」に対しての相談内容は、ともに「現在の仕事の状況や悩み」が最も多かった(上司:53.9%、同僚:58.6%)。他方で、「主治医」と「産業医」に対しての相談内容は「心身の状態について」がともに最多だった(主治医:81.2%、産業医:73.8%)。

自由回答では、「どう復帰していくか」(51歳)、「退職について」(27歳)、「復帰後の仕事内容を上司や主治医・産業医と相談した」(40歳)といった声があがったという。
メンタル不調による休職理由の上位は「人間関係」と「長時間労働」。休職期間に産業医のサポートを受けたのは4割未満

産業医が「企業側の意見を尊重している」と感じる人が4割以上に

最後に同社は、「産業医との関わりにおいて、あなたが休職時に抱えていた悩み・不満を教えてください」と尋ねた。すると、「企業側の意見を尊重していると感じた」が42.7%で最も多くなった。以下、「連絡頻度が多く負担になった」が34.5%、「休職のための判断・手続きまでの対応が遅かった」が29.1%、「体調に関する相談のハードルが高い」が23.6%と続いた。

また、「産業医に求める姿勢」については、「職場との調整を積極的に行ってほしい」(58歳)、「守秘義務の徹底と、面談時は社員側に寄り添うべき」(50歳)、「企業内産業医なので、もっと社内の調整に関わってほしい」(53歳)などのフリーコメントが集まった。
メンタル不調による休職理由の上位は「人間関係」と「長時間労働」。休職期間に産業医のサポートを受けたのは4割未満
本調査から、メンタル不調による休職経験者の6割以上が「人間関係不和」を要因に休職していることがわかった。また、休職中の相談相手は「上司」が7割で最多となり、職場と休職者を仲介する「産業医」への相談は思うように行われていない実態が浮かび上がった。産業医との連携のあり方を改めて見直すなど、メンタル不調者への対応方法を振り返ってみる必要がありそうだ。