大企業に属したまま起業する“出向起業”を経産省が支援。補助金の活用を呼びかけ、新規事業の担い手増加や人材育成促進を目指す

経済産業省(以下、経産省)は、大企業等の人材が所属企業を辞職せずにスタートアップへ出向し起業する、「出向起業」に対する補助金事業を実施している。同省は、本事業を通じ、経営資源の開放を促すとともに新規事業の担い手を増やしていきたい考えだ。

2022年は新たに5事業を採択。「出向起業の手引き」などの活用も呼びかける

経産省では、新規事業の担い手を増やす観点から、2018年より「大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金(中小企業新事業創出促進対策事業)」による出向起業支援を行っている。「出向起業」とは、大企業等の人材が企業に属した状態で、外部資金の調達や個人資産の活用等によりスタートアップを起業し、経営を行うことを指す。

本支援事業は、経産省の補助金に基づいて一般社団法人社会実装推進センター(以下、JISSUI)が執行している。JISSUIでは出向起業を活用した新規事業開発に対し、事業開発活動費用(プロトタイプ開発、実証実験等)の一部を補助。2022年度においては既に1次・2次公募を終了しており、去る11月15日に5事業の採択を発表した。これにより、本事業で採択された事業者の累計は33件となったという。なお、事務局のホームページでは、実際にアクションを起こす際に参考となる「出向起業の手引き」や「越境体験ルーブリック(越境効果測定指針)」、「スタートアップ出向モデル契約書」のダウンロード等が可能だ。

同省は、これまで活用されてこなかった経営資源(人材・知的財産含む)の開放を促すことで、新規事業の担い手の数を増やしていくことを目指し、今後も「出向起業」を支援していく考えだ。

出向起業は、出向元の企業にとって「経営人材や社内新規事業人材の育成」、「新規事業創出の実現」などのメリットがあるという。さらに、起業する社員にとっても、リスクをカバーしながら挑戦できるというメリットが得られる。新規事業開発や人材育成に注力したい企業は、「出向起業」の支援を活用してみてはいかがだろうか。