株式会社フリーウェイジャパンは2022年11月1日、「中小零細企業の冬のボーナス」に関する実態調査の結果を発表した。調査期間は2022年10月5日~11日で、中小企業および零細企業の従業員198名と代表取締役152名から回答を得た。調査から、冬のボーナス支給額の実態や使途、来年度の見通しなどが明らかとなった。
「冬のボーナス支給率」は昨年より約6ポイント上昇
昨今の原材料費の高騰などを受け、中小・零細企業は厳しい業況にあるが、冬のボーナス支給の実態はどうなのだろうか。フリーウェイジャパンはまず、調査対象の従業員に対して「冬のボーナスは支給されましたか? または支給予定はありますか?」と尋ねた。すると、「支給予定あり/支給済み」の合計が53%となり、その内訳は、「支給された」が3.5%、「支給予定で支給額を把握している」が20.7%、「支給予定だが、支給額は分からない」が28.8%だった。「支給あり」との回答は、同社が昨年に行った同調査と比較して、5.8ポイント上昇したという。他方で、「支給されなかった/支給予定は無い」とする回答は39.9%、「未定」は7.1%となった。
支給額のボリュームゾーンは「20万円~50万円未満」と前年より増加傾向に
また、同社が「ボーナス支給予定/支給済み」と回答した従業員に、「支給額はいくらですか?」と尋ねた。すると、「20万円~30万円未満」と「40万円~50万円未満」がともに20.8%で最多だった。以下、「10万円~20万円未満」が16.7%、「50万円~60万円未満」が14.6%と続いた。同社は、昨年冬のボーナス支給額のボリュームゾーンが「10万円~30万円未満」であったことから、「昨年との比較では支給額が増加傾向にある」と考察している。過半数の経営者が「昨年よりボーナス支給額が増加」と回答
次に、同社は調査対象の代表取締役に対し、「昨年冬のボーナスと比べて支給額の増減はありましたか?」と尋ねた。すると、「全体的に増加した・増加する」が55%で最多となった。以下、「変わらない」が32.5%、「全体的に減少した・減少する」が12.5%という結果になった。ボーナス支給額の上昇理由は「会社の業績の向上」が最多に
さらに、ボーナス支給額が「全体的に増加した・増加する」と回答した代表取締役に対し、「増加した理由は何だと思いますか?」と尋ねた。すると、「会社の業績が上がったから」が86.4%で最も多かった。以下、「業務効率・利益効率が上がったから」が18.2%、「その他」が9.1%だった。「その他」のフリーコメントには、「人員確保のため」や「従業員の増加に伴って作業効率が上がったため」といった声が寄せられたという。ボーナスの使い道は「預金・貯蓄」が多い傾向
続いて、「ボーナス支給予定(支給額も把握)/支給済み」と回答した従業員に対し、「ボーナスの使い道」を尋ねた。すると、「預金・貯金」との回答が35.4%で最多となった。以下、「生活費」が20.8%、「借金・ローン返済」が12.5%、「趣味・娯楽」が10.4%と続いた。昨年冬は「生活費」が40.7%で最多であったことから、消費より貯蓄の傾向が強まっていることがわかった。4割以上の経営者が来年夏のボーナスの見通しが「立っていない」と回答
最後に同社は、代表取締役に対し、「来年度のボーナスに対して支給の見込みが立っていますか?」と尋ねた。すると、「立っていない」が47.4%で最も多かった。以下、「わからない」が33.5%、「立っている」が19.1%という結果となった。
本調査から、中小零細企業における今期の冬のボーナス支給額は、昨年よりも上昇傾向にあることが明らかとなった。また、支給額の上昇の背景について、経営者側は「業績の向上」を感じていることもわかった。一方で、来年夏のボーナス支給の見通しは「立っていない」とする経営者が約半数となり、今後の中小零細企業の経営はいまだ不透明な状況が続くと言えそうだ。