株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)は2022年10月20日、「次世代経営人材の確保・育成」に関する調査結果を発表した。調査は、同社の人事向け情報サービス会員を対象に2022年9月29日~30日に実施されたものとなる(有効回答者103名)。調査結果を元に、企業の次世代経営人材の確保・育成に対する課題感および、取り組みの実態について紹介する。
8割が「次世代経営人材の確保・育成」を不安視
近年、経営者年齢の高齢化が進み、事業承継は以前にも増して重要な経営課題になってきているが、各社の実態はどうなのだろうか。まずJMAMは、「次世代人材育成の確保・育成の状況」について尋ねた。すると、「どちらかといえば不安」が54.8%、「不安」が26.9%となり、「不安を感じている」と答えた人は計81.7%だった。8割弱が「次世代経営人材育成」に前向きな姿勢か
次に、同社は「次世代経営人材の育成を目的とした取り組みの実施状況」を尋ねた。すると、「具体的な取り組みをしている」(43.3%)と「未実施だが取り組みの検討はしている」(34.6%)の合計は77.9%だった。8割弱が、次世代経営人材の育成に対して前向きな姿勢を持っているようだ。「次世代経営人材育成」における強化テーマは「ビジョン構築」が最多に
続いて同社が、次世代経営人材育成において「強化したいテーマ」を尋ねると、「将来構想の展望力(ビジョン構築)」が59.6%でトップとなった。そのほか、上位には「経営戦略策定力」(50%)、「リーダーシップ」(49%)、「組織・人材マネジメント」(46.2%)が続いた。反対に、「リスクマネジメント」、「グローバルマインド・異文化理解」(ともに12.5%)、「ビジネスシステム改革」(5.8%)は実施・検討割合が低かった。
本調査から、「次世代経営人材の確保および育成」は多くの企業で重要な課題となっていることが判明した。また、次世代経営人材の育成にむけて、前向きな姿勢を見せている企業が8割に迫ることからも、喫緊の課題となっていることがうかがえる。事業継続は可能にもかかわらず、経営者の高齢化と後継者不足により廃業しなければならないという事態に陥らないように、先を見据えた対策を心がけたい。