白潟総合研究所株式会社は2022年10月16日、「リーマンショック期の経営」に関する実態調査の結果を発表した。調査期間は2022年4月18日~19日で、リーマンショックを乗り越えた経営者108名から回答を得た。調査からリーマンショックを乗り越えるために発揮した行動や、新型コロナウイルス感染症拡大期における経営に必要な要素などが明らかとなった。
9割の経営者が「リーダーシップが重要だった」と振り返る
新型コロナウイルスの世界的な流行は、企業経営に多大な影響を及ぼした。同じように困難な状況に陥ったリーマンショック(2008年)を乗り越えた経験は、コロナ禍でも活かせそうだ。まず白潟総合研究所は、「リーマンショック後の経済回復のためにリーダーシップが重要だったか」を尋ねた。すると「かなりそう思う」が60.2%、「ややそう思う」が33.3%で、「リーダーシップが重要だった」とする回答の合計は93.5%となった。6割が「目標設定」にリーダーシップを発揮し、組織を率いたと経験を持つ
次に同社は、「リーダーシップが重要」と回答した人に、「どのような行動にリーダーシップを発揮したか」を尋ねた。すると「何をするのかを明確にし、具体的な目的・目標設定を行う」が69.3%で最多となった。以下、「優先順位の明確化」が48.5%、「メンバーの意見に耳を傾け、少数意見や貴重なアイデアを殺さない」が36.6%、「共通の目的やビジョンを打ち立てる」と「チームに対し目的や計画の要点を説明する」がともに32.7%で続いた。コロナ禍においても「何をするかを明確にし、具体的な目的目標を設定すること」が求められる
また、同社が「コロナ禍でリーダーシップの重要性が高まっていると思うか」を尋ねると、「そう思う」との回答が8割を超えたという。さらに「コロナ禍でリーダーシップを発揮した行動」を尋ねると、リーマンショック後の行動と同じく「何をするかを明確にし、具体的な目的目標を設定する」が65.3%で最多となった。以下、「優先順位を明確にする」が56.8%、「メンバーの意見に耳を傾け、少数意見や貴重なアイデアを殺さない」が36.8%、「メンバーの自己管理、自律を促す」が35.8%と続いた。
経営者の6割が「判断力」が重要な要素になると感じている
続いて同社は、「リーダーシップを発揮するにあたり、重要な要素は何か」を尋ねた。すると、「判断力」が63%で最も多くなった。以下、「コミュニケーション能力」が60.2%、「目標設定能力」が51.9%、「責任を取る能力」と「業務実行力」がともに47.2%で続いた。
リーマンショック後にV字回復を遂げた企業経営者の9割は「リーダーシップが重要だった」と振り返った。また、立て直しに向けリーダーシップを発揮して、具体的に行動を起こしていたようだ。現在のコロナ危機を打開するにあたっても経営者が強力なリーダーシップを発揮し、経営方針の明確化や目標設定を進めて行く必要があるだろう。