「男性の育休期間」に関する男女の認識の差とは? “長期的な育児参加”を求める傾向も、現実的な取得可能期間とはギャップか

株式会社クリエイティブバンクは2022年10月11日、「男性の育休取得」に関する調査結果を発表した。調査期間は2022年9月15日~20日で、国内の20代~60代の男女1,100名から回答を得た。調査から、“女性がパートナーに求める育休取得期間”と“男性が現実的に取得可能な期間”に大きな差が生じていることなどが明らかとなった。

「産後パパ育休」など10月の育児・介護休業法改正の認知度は4割を下回る

「改正育児・介護休業法」が2022年4月以降順次施行されており、10月からは「出生時育児休業(産後パパ育休)」が始まった。こうした法改正などにともない、男性の育児休業への関心は高まっていると思われるが、実際にはどのような状況なのだろうか。まずクリエイティブバンクは、「改正育児・介護休業法を知っているか」を尋ねた。すると「はい(知っている)」が39.6%、「いいえ(知らない)」が60.4%だった。
「男性の育休期間」に関する男女の認識の差とは? “長期的な育児参加”を求める傾向も、現実的な取得可能期間とはギャップか

「育休取得の賛成派」が最も低いのは20代に

次に同社は、「男性が育休を取得することへの賛否」を尋ねた。すると、回答者全体では「賛成」との回答が91.9%となった。また、世代別の回答をみると、30代から60代以上の世代では、いずれも賛成派が9割を超えた。一方で20代をみると、賛成派が86.6%と、全世代のうち最も低い割合となった。
「男性の育休期間」に関する男女の認識の差とは? “長期的な育児参加”を求める傾向も、現実的な取得可能期間とはギャップか

“現実的な男性の育休取得期間”の認識には男女で違いが見られる

続いて同社は、男性の育休取得期間について、「現実的な期間」を男女それぞれに尋ねた。すると、男性の回答では「2週間~1ヵ月未満」が最多の21.9%、次いで「1ヵ月~3ヵ月未満」が15.4%となった。一方、女性の回答は「1ヵ月~3ヵ月未満」が22.4%で最多となり、「2週間~1ヵ月未満」が17%と続いた。男女とも、男性の現実的な育休期間は、「2週間~3ヵ月未満」がボリュームゾーンとなった。
「男性の育休期間」に関する男女の認識の差とは? “長期的な育児参加”を求める傾向も、現実的な取得可能期間とはギャップか

“男性の理想の育休期間”と“女性がパートナーに求める育休期間”には差も

さらに同社は、男性に対して「今後子どもが生まれるとしたら、取得したい育休期間」を尋ねた。すると、「1ヵ月~3ヵ月未満」が24.6%で最も多かった。以下、「2週間~1ヵ月未満」が21.7%、「3ヵ月~6ヵ月未満」が16.2%、「1年以上」は7%にとどまった。

一方、女性に対して「パートナーに取得してもらいたい理想の期間」を尋ねると、「1年以上」が28.4%で最も多くなった。以下、「1ヵ月~3ヵ月未満」が16.2%、「9ヵ月~1年未満」が11.2%と続いた。

男性側は現実的な育休取得期間と理想の取得期間とに大きな差はみられなかったが、女性側はパートナーに「1年以上」の期間を望む人が多く、「現実的に取得可能」の回答とは4倍以上の差が見られることがわかった。

「男性の育休期間」に関する男女の認識の差とは? “長期的な育児参加”を求める傾向も、現実的な取得可能期間とはギャップか

男性の育休取得促進には「柔軟な働き方」を推進する施策導入が重要か

さらに、「現実的な育休取得期間と理想的な育休取得期間が異なる理由」を男女別に尋ねた。すると、男性では「社内制度が十分に整っていない」が30%で最多だった。以下、「業務を引き継げる人がいない」が25%、「社内、組織内で他に取得している人が少ない/取得する人はいるが期間が短い」が20%、「所得が十分でなくなる」が16.7%と続いた。一方、女性側の回答は「復帰後の業務への影響が心配」が26.8%で最多だった。

この結果を受け同社は、「男性育休取得率の向上を最終目的とせず、時短制度など柔軟な働き方を社員が選択できる仕組みづくりが必要」と考察している。
「男性の育休期間」に関する男女の認識の差とは? “長期的な育児参加”を求める傾向も、現実的な取得可能期間とはギャップか
女性がパートナーに求める理想の育休期間は「1年以上」と、長期間の育児参加を求めている傾向が示唆された。一方で、現実的な男性の育児休業取得期間は、女性が求める期間と大きな差が生じた。また、男性は育休取得に際し、社内制度や引継ぎなどに不安を抱える傾向も明らかとなった。男性の育休取得を推進したいと考えている企業は、こうした男性の不安を解消するための施策の検討が必要といえそうだ。