株式会社ロジック・ブレインは2022年10月7日、「企業の1on1と職場の心理的安全性」に関する実態調査の結果を発表した。調査期間は2022年8月29日~9月1日で、1on1ミーティングを導入するサービス業の経営者515名と製造業の経営者508名の計1,023名から回答を得た。同社は2022年7月にも、従業員を対象にした「1on1」に関する調査を実施している。同社の発表を元に、経営者と従業員の認識の違いについて、過去の調査結果とも比較しながら紹介する。
経営者の8割が「1on1が売上向上や企業の成長に反映されている」と捉えている
1on1ミーティング(以下、1on1)は、上司・部下間のコミュニケーションや、従業員のモチベーション向上に有効だとされ、テレワーク環境で改めて注目されている。ロジック・ブレインが「1on1が売上や企業の成長に反映していると思うか」と尋ねると、「はい」が86.4%、「いいえ」が13.6%となった。次に、「1on1ミーティングはどれぐらい社内に浸透していると思うか」を尋ねると、全体の82%が「浸透している」と回答。業種別に見ても、サービス業・製造業ともに8割以上が「浸透している」と答えた。
「1on1の内容・結果を評価に反映する」とした経営者は約8割
次に同社は、「1on1の質について従業員の誰が実施しても同じクオリティが維持できるか」を尋ねた。すると「多少の差がある」が56.3%、「大きな差がある」が13.8%で、「実施者によりクオリティに差がある」とした回答の合計は70.1%だった。同社が2022年7月実施した従業員側への調査結果では、「とても差がある」と回答した人が約4割だったという。経営者と従業員では、1on1の質の捉え方に差がみられた。さらに、同社が「1on1の内容や結果を、従業員の評価に反映しているか」を尋ねると、「かなり反映している」が21.3%、「ある程度反映している」が58.3%で、「評価に反映している」の合計は79.6%と8割に迫った。この結果について、同社は「1on1ミーティングはあくまで本音を話し合うための場であり、評価とは別に考える必要がある」との見解を示している。
経営者の約8割が「本音でのやりとりができている」、「パワハラに該当する言動はない」と実感
また、同社が「1on1において、上司・部下間で本音のやり取りがなされているか」を尋ねると、「とてもそう思う」が23.1%、「ある程度そう思う」が55.9%で、「本音でのやりとりがなされている」との回答の合計は79%だった。また、「1on1において、パワハラに該当するような言動はないと認識しているか」を聞いた質問では、「はい」が80.4%、「いいえ」が19.6%となった。従業員側の結果では、「上司と本音で話すことがでない」と「パワハラを感じたことがある」という回答はそれぞれ4割を超えていたという。ここでも、経営者側との認識差あることがうかがえる。
従業員の心理的安全性やモチベーションの向上に有効とされている1on1だが、その実態は経営者と従業員の捉え方には差があるようだ。本来、本音で話し合う場である1on1について、自社では目的に沿った運用になっているかを従業員サーベイ等で確認してみてもいいかもしれない。