「シニア世代」の“セカンドキャリア”に対する意識とは? 6割が就業意欲を持つものの、不安や課題を抱える人が9割に

Indeed Japan株式会社(以下、Indeed)は2022年10月7日、「シニア世代の就業に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2022年9月7日~8日で、50代~70代の各世代の男女300名ずつ、合計1,800名から回答を得た。調査から、「シニア期」とされる60代・70代以降の就労意欲に加え、シニア期の就労に対する不安や課題が明らかとなった。

「シニア期の就労」への意欲や必要性を最も感じているのは50代

「人材不足」という課題を抱える企業が多い今、さまざまな知見や経験を有する“シニア世代人材”の活用が求められている。その一方で、シニア期を前にした年代の人たちの就労意欲はどうなのだろうか。まず、Indeedは「シニア期に働く意欲・必要性の有無」を尋ねた。すると、「働き(続け)たいし、働く必要もある」が24%、「働く必要はないが、働き(続け)たい」が18.5%、「働き(続け)たくはないが、働く必要がある」が15.8%で、合計58.3%となった。シニア期に働く意向を持つ人が、全体では6割に迫る結果だ。

年代別にみると、同回答の合計値が最も高かったのは50代で75.5%だった。60代では58.3%、70代は41%となり、年代が上がるほど割合が低下した。
「シニア世代」の“セカンドキャリア”に対する意識とは? 6割が就業意欲を持つものの、不安や課題を抱える人が9割に

“シニア期の仕事観”では約6割が「アンコールキャリア」を志望する傾向か

また同社は、人生の後半に、自分の興味に関連した社会的に意義のある仕事につくことを意味する「アンコールキャリア」への注目度の高まりを受け、「シニア期に働くときの価値観」を尋ねた。すると、「収入よりもやりがいや社会貢献を重視した仕事をした方がよい」との回答が58%となった。また、「働く意欲や必要性を感じている」とした1,049名の同回答を抽出すると、その割合は60.2%にのぼった。

また年代別にみると、「アンコールキャリアを望む」とする人は、50代で49.5%、60代で56.8%、70代で67.7%と、年代が上がるほどにその傾向が高まったという。
「シニア世代」の“セカンドキャリア”に対する意識とは? 6割が就業意欲を持つものの、不安や課題を抱える人が9割に

9割超が“シニア期の就労”に課題。「健康状態」を憂慮する声が多数に

続いて、同社が「シニア期に働くことに対する不安や課題」を尋ねると、「何らかの不安や課題がある」と回答した人は92.7%にのぼったという。

さらに、「不安や課題の内容」を尋ねると、最も多かったのは「健康状態が維持できるか」が59.6%で最も多くなった。以下、「気力を維持できるか」が38.5%、「肉体労働に耐えられるか」が28.1%、「十分な収入が得られるか」が25.9%、職場の人間関係がうまくいくか」が22.8%と続いた。
「シニア世代」の“セカンドキャリア”に対する意識とは? 6割が就業意欲を持つものの、不安や課題を抱える人が9割に

「55歳~59歳」の間にシニア期の就労の検討を始めた人が3割に

また同社によると、「シニア期に働くことを見据えた検討・行動」について尋ねた質問では55.9%が「何らかの検討や行動をした」と回答したという。さらに、「シニア期の働き方を具体的に検討・行動し始めた年齢」を5歳刻みで見ると、「55歳~59歳」が31%で最多となった。以下、「50歳~54歳」が23.9%、「60歳~64歳」が22.9%、「65歳~69歳」が7.8%と続いた。
「シニア世代」の“セカンドキャリア”に対する意識とは? 6割が就業意欲を持つものの、不安や課題を抱える人が9割に

3割超が「年齢」による就職難を懸念し、行動を起こさない傾向が明らかに

一方で、シニア期に働く意欲・必要性を感じながらも、その働き方について「検討や行動をしたことがない」と回答した人に「その理由」を尋ねると、「年齢が理由で仕事が見つからなさそう」とした人が35.9%で最も多くなった。以下、「考えてもどうなるものでももない」が21.1%、「考える必要がない(現在の状況で問題ない)」が16%と続いた。また年代別にみても、全体と同様に「年齢が理由で仕事が見つからなさそう」とする回答がそれぞれの年代で最も多く、年代があがるにつれてその割合も大きくなることがわかった(50代:33.6%、60代:35.4%、70代:42.9%)。
「シニア世代」の“セカンドキャリア”に対する意識とは? 6割が就業意欲を持つものの、不安や課題を抱える人が9割に
人材不足などの課題を解決するために、スキルや経験を持った“シニア世代”の活用を視野に入れる企業も多いのではないだろうか。しかし本調査から、シニア世代を目前にした年代は「健康状態への不安」や「気力の維持」などに課題を感じていることや、年齢を理由に行動を起こせない人がいることもわかった。シニア人材の活用を進めるには、企業側が、現役世代からシニア期のキャリア選択に向けたサポートを行うなど、不安の解消や意欲的な働き方を推進できる環境を整える必要がありそうだ。