パーソルキャリア株式会社は2022年10月12日、育休中に就労を希望する社員に対し、一時的な就労機会を提供する新制度「育休ウェルカムバック制度」の創設および運用開始を発表した。同社は新制度を運用し、育休中の社員の心理的安全性の確保や、スムーズな職場復帰を支援していく方針だ。
トライアル実験での高い満足度を踏まえ、制度導入を決定
2017年および2022年の「育児・介護休業法」改正によって、育児休業の取得可能期間の延長や、育休の分割取得などが可能となり、男女問わず育休取得のハードルが下がりつつある。一方で、育休を取得した社員が、社会や会社から分断されることによって孤立感を持ってしまったり、復職後のキャリアや働き方に不安を抱える人が多かったりという現状がいまだあるという。こうした課題の解決に向け、パーソルキャリアは育休期間中に就労を希望する社員に対し、同社内での就労機会を提供する制度の、トライアル実験の実施および効果検証を2021年5月~2022年9月に行った。トライアル実験に参加した社員24名へのアンケートでは、「育休中の就労体験はどうだったか?」という質問に対し、「大変よかった」と「まあよかった」がともに47.4%となり、両者の合計は94.8%だった。また、「制度を他の社員に勧めたいか?」との質問に対しては、8割以上が「そう思う」と回答したという。
参加社員からは「復帰への覚悟、心の準備のための良い期間となった」や、「在宅勤務への移行や社内システムの変更など、働く環境が大きく変わったタイミングで、本格復帰前に把握できたことが良かった」、「育児もキャリアも諦めない気持ちが強くなった」などといった声が寄せられたという。同社はこのトライアル実験から、「育休中の就労機会提供は社員のニーズや満足度に高い効果がある」とし、今回制度としての正式導入を決めた。
1ヵ月あたり10日以内・80時間以下での就労を認める
なお、「育休ウェルカムバック制度」の概要は下記の通りだ。【「育休ウェルカムバック制度」概要】
【制度の目的】
●社会や会社から分断されることにより生まれる心理的な孤立感を減らすため
●職場復帰前に抱く、仕事と育児の両立に対する不安軽減のため
●早期に仕事の勘を取り戻し、スムーズな職場復帰を支援するため
【制度の対象・就労条件】
●3ヵ月以上の育児休業を取得している、かつ一時的な就労を希望する社員
●業務遂行できる経験やスキルを保有する社員
【就労について】
求職者ごとに定められた育児休業給付金の「支給単位期間内」毎に、10日以下かつ80時間以下の就労とする
【制度の目的】
●社会や会社から分断されることにより生まれる心理的な孤立感を減らすため
●職場復帰前に抱く、仕事と育児の両立に対する不安軽減のため
●早期に仕事の勘を取り戻し、スムーズな職場復帰を支援するため
【制度の対象・就労条件】
●3ヵ月以上の育児休業を取得している、かつ一時的な就労を希望する社員
●業務遂行できる経験やスキルを保有する社員
【就労について】
求職者ごとに定められた育児休業給付金の「支給単位期間内」毎に、10日以下かつ80時間以下の就労とする
同社は、今後も社員の悩みに寄り添い、自らの意思でキャリアや人生を選択できるよう、制度などの環境整備や取り組みを拡充していく意向だ。
法改正への対応などで、育休取得を促進中の企業も多いだろう。より柔軟な育休取得が可能となる一方で、安心して職場に復職してもらうための支援策の検討も重要といえる。本取り組みは、スムーズな職場復帰を支援する施策の先行事例となりそうだ。