株式会社オロは2022年9月30日、「“経営の見える化”に関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年8月26日~9月1日で、全国のIT・広告・コンサルティング業などのナレッジワーカー983名から回答を得た。調査から、「経営の見える化」を実施している企業と、実施していない企業との間で売上目標の達成率などに差が生じていることや、経営の可視化における課題が明らかとなった。
経営管理に「自社システム」や「ERP」を活用する企業が約4割
“経営の見える化”に取り組む企業は、そうでない企業に比べてどのような効果が得られているのだろうか。まず、オロは「自社ではどのようなシステムを活用し経営管理を行っているか」を尋ねた。すると「クラウドツールや自社独自のシステムなど複数のシステムを組み合わせている」が最多の23.3%、次いで「ERPを活用している」が16%となり、“システムやERPを経営管理に活用している”との回答の合計は39.3%だった。また、「紙帳票やExcelを活用」は19.1%で、約2割がシステムを活用していない実態も明らかとなった。ERPを活用する企業は売上目標達成度合いが高い傾向に
同社が、「経営管理の方法」と「売上目標達成度」をクロス集計し、両者の関連度を調べると、「売上目標を達成」した割合は、「ERPを活用」とした企業が67.5%で最も多くなった。以下、「複数のシステム」が61.5%、「紙帳票・Excel」が44.7%だった。経営管理にERPを活用している企業では、そうでない企業に比べて目標達成の度合いが高いことがうかがえる。なお、集計は「ERPを活用」、「クラウドツールや自社独自のシステムを複数組み合わせ活用」、「紙帳票やExcelを活用」の3つの回答について、それぞれ直近3年間の業績(売上)の目標達成具合を調査している。
“経営の見える化”を行う企業は売上目標達成度が高い
続いて同社が、「自社の経営状況を表す数字をリアルタイムで確認できる“経営の見える化”を行っているか」を尋ねると、「行っている」が26.7%、「行っていない」は49.4%という結果となったという。同社はこの回答を基に、「経営の見える化」の有無と「直近3年間の業績(売上)の目標達成具合」の関わりを探るクロス集計を行った。すると、「経営の見える化を行っている」とする企業の売上目標達成度は64.9%、「行っていない」は42.8%となり、両者には約1.5倍の差があることがわかった
“経営の見える化”が従業員エンゲージメントにも効果を発揮
さらに同社は、「経営の見える化」と「従業員エンゲージメント」の関わりを探るクロス集計を行っている。すると、経営の見える化を「行っている」企業では、「従業員エンゲージメントが高い」とする割合が64.5%だった。一方で、「行っていない」とする企業の同割合は28.4%にとどまった。経営状況の見える化は、従業員エンゲージメントの向上につながることが推測できる。“経営の見える化“への壁は「データ入力・蓄積などの運用面」や「業務の標準化」など
最後に、「自社における“経営の見える化”の障壁」について尋ねると、「データ入力・蓄積などの運用を現場に徹底させることが困難」が17.6%で最多となった。以下、「業務が標準化されておらず、データ収集が不可能」が14.6%、「人件費を含めた損益管理(プロジェクト別原価計算)の難易度が高い」が13.7%、「経営幹部が経営状況を把握していれば十分」が13.2%、「経営数字の使い方がイメージできない」が11.5%、「事業規模を考えると、“見える化”は不要」が9.5%、「売上だけ管理していればよい」が5.8%と続いた。
“経営の見える化”は売上目標の達成や社員エンゲージメント向上に寄与することが、調査結果から示唆された。経営の見える化に課題を抱える企業では、まず自社の障壁となっているものや、必要なツールなどの検討を行ってみてはいかがだろう。