Sansan株式会社は2022年9月12日、企業における「リスクチェック・反社チェックに関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年7月22日~29日で、リスクチェックおよび反社チェックの業務に関わったことがある会社員および経営者849名から回答を得た。調査では、ほぼ全ての企業がリスクチェック・反社チェックを行う反面で、チェック範囲は限定的となっていることが明らかとなった。
7割弱が「ビジネス上のリスク・脅威」を感じたことがある
企業が取引先と関わる上で、反社会的勢力との繋がりなどのリスクを事前確認する「リスクチェック・反社チェック」の重要性が増している。では、企業におけるリスクチェック・反社チェックの実態はどうなのだろうか。Sansanが、「自社や自身のビジネスにおいて“リスク”や“脅威”を感じたことがあるか」と尋ねたところ、「ある」が68.9%で、「ない」の26.4%を大幅に上回った。脅威を感じたことのトップは「機密情報漏洩」で、6割が回答
続けて、「具体的にどのようなリスクや脅威があったか」を尋ねると、最多となったのは「機密情報漏洩」で59.3%が回答。以下、「取引先やパートナー・サプライヤーが不適切な企業・団体だった」が44.1%、「不適切な経費利用」が34.7%、「取引先やパートナー・サプライヤーからの支払い遅延、納品遅延」が32%、「贈収賄・汚職」が17.9%と続いた。「リスクや脅威」が増した背景に、SNSなどの台頭や情報量の増加
また同社は、直近3年以内で「ビジネス上のリスクや脅威」が増えたとする人に、「その理由」を尋ねた。すると、「SNSをはじめとしたメディアの多様化」が61.3%で最も多く、以下、「ニュースや評価データなどの情報量の増加」(52%)、「各種法令・条例の変更やガイドラインの発布」(42.4%)が上位に続いた。9割が「リスクチェック/反社チェック」を実施するも、多くは組織の確認まで
同社によると、「リスクチェック/反社チェック」を実施しているとする企業は94.9%だった。そこで、同社はさらに、「誰に対して実施しているか」を尋ねた。すると、「取引先および営業活動先の企業・団体」が84.7%で最も多かった。以降は、「取引先および営業活動先の代表者」が61.7%、「取引先および営業活動先のステークホルダー(関係者)」が44%、「社員や採用候補者」が35.7%となっていた。「海外のマネーロンダリング」や「テロ」、「人権問題」のチェックを行うのは3割前後
最後に「具体的なチェック内容」を尋ねると、「反社会的勢力とのつながり」が83.6%で最多だった。以下、「不祥事歴」が50.5%、「(国内)マネーロンダリングや犯罪歴・行政指導歴」が43.2%、「風評などのネガティブ情報」が33.1%、「(海外)マネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪歴・制裁歴」が31.9%、「取引先の雇用問題(人権侵害など)」が26.1%だった。
今回の調査では、「リスクチェック/反社チェック」はほぼ全ての企業で実施されており、反社会的勢力への対応は進んでいるようだ。一方で、さらに掘り下げて海外のマネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪歴までチェックする企業は少数だった。今後は、チェック体制を強化するなど、関係先の実態把握に努めリスクを回避していく必要があるといえそうだ。