厚生労働省は2022年9月26日、毎年10月に実施している「中小企業退職金共済制度」の加入促進強化月間に合わせて、同制度への加入を呼びかけた。強化月間では、同制度を運用する独立行政法人勤労者退職金共済機構が中心となり、2022年10月1日~31日までの1ヵ月間、同制度への加入促進活動や広報活動を実施するという。厚労省は、対象となる中小企業の加入を促進させる狙いだ。
公共施設へのポスター掲示や、事業主団体を通じた周知・啓発・協力要請を実施
「中小企業退職金共済制度」は、退職金制度を単独で備えることが難しい中小企業のために設けられた国の年金制度だ。本制度は、中小企業に勤める従業員の福祉増進と雇用安定を図るとともに、中小企業の振興に寄与することを目的としている。事業主同士が掛金を拠出しあい、掛け金の一部を国が助成することで、事業主の負担軽減が可能となる仕組みで、管理が簡単で税制上の優遇措置が受けられるなど、中小企業にとってメリットが大きい。2022年6月末時点で、約55万9千件の中小企業の加入実績があるという。厚生労働省が所管する勤労者退職金共済機構は、毎年10月を同制度の「加入促進強化月間」に定め、加入促進活動や広報活動などを実施しており、2022年10月も例年同様に実施するという。
強化月間中、勤労者退職金共済機構は市役所やハローワークといった公共の施設へのポスター掲示、パンフレットの配布、マスメディアを通じた広報の強化、事業主団体および関係団体などに対する各制度の周知・啓発・協力依頼などを実施する。また、強化月間を後援する厚労省は、都道府県労働局でポスター掲示などの周知・広報活動を行うほか、都道府県に対し制度の周知協力依頼を行うという。
なお、「中小企業退職金共済制度」には、一般の中小企業を対象とした「一般の中小企業退職金共済制度(中退共)」のほか、期間雇用従業者が対象の「特定業種退職金共済制度」もある。さらに「特定業種退職金共済制度」は、「建設業退職金共済制度(建退共)」、「清酒製造業退職金共済制度(清退共)」、「林業退職金共済制度(林退共)」と、業種別に制度が設けられている。詳細は勤労者退職金共済機構のホームページから確認できる。
急速な円安や物価高騰の影響を受け厳しい状況下にある中小企業にとって、退職金への備えは大きな負担だろう。税制優遇などのメリットも考慮し、本制度の活用を検討してみてはいかがだろうか。
【参考】
独立行政法人 勤労者退職金共済機構
独立行政法人 勤労者退職金共済機構