「Web3.0」を活用した事業・開発推進を検討する経営者は約9割に。事業化に向けた課題とは?

クラウドエース株式会社は2022年8月3日、「Web3.0と事業推進に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2022年6月20日~21日で、「Web3.0」への理解度の高い経営者・エンジニア・事業推進者の110名から回答を得ている。調査からは、今後の事業推進において期待を寄せるWeb3.0の活用方法や、活用における課題などが明らかとなった。

約7割がWeb3.0の活用で「セキュリティレベルの向上」に期待

「Web3.0」は、テクノロジーを活用し情報を分散管理することで、GAFAMをはじめとする巨大企業が独占してきた情報の主権を民主的なものにするという概念だ。「分散型インターネットの時代」を表現するものとも言え、近年では特に関心が高まっている。こうした流れの中、国内企業の「Web3.0」に対する動向はどうだろうか。

クラウドエースはまず、「Web3.0の実現で期待するポイント」を尋ねている。すると、「分散管理によるセキュリティレベルの向上」が68.2%で最多だった。以下、「クリエイターエコノミーの発展」が55.5%、「仲介組織を介さず直接組織と取引ができる」、「Webが現実の国家やOSの制限から開放される」がともに50.9%、「DAO(分散型自律組織)化した企業や組織運営によるエゴの排除」が35.5%となった。

自由回答では、「プラットフォームという概念を取り払ったコスト削減」や「ブロックチェーン普及による新規領域への期待」、「NFTによるクリエイターの収益源」といった声があがったという。
「Web3.0」を活用した事業・開発推進を検討する経営者は約9割に。事業化に向けた課題とは?

「ゲーム」領域におけるWeb3.0の活躍を期待する声が最多に

次に、「今後、Web3.0の活躍を期待する分野」を尋ねている。すると、最も多い回答を得たのは「ゲーム」の65.5%だった。以下、「金融」が57.3%、「セキュリティ」が53.6%、「組織運営」が47.3%、「アプリ開発」が45.5%、「アート」が43.6%と続いた。
「Web3.0」を活用した事業・開発推進を検討する経営者は約9割に。事業化に向けた課題とは?

約9割が「今後の事業推進・開発にWeb3.0を活用したい」と回答

さらに同社は、「今後、Web3.0を活用した事業の推進および開発をしていきたいか」を尋ねている。すると、「非常にそう思う」が52.7%、「ややそう思う」が36.4%で、合計が89.1%だった。一方で、「あまりそう思わない」は5.5%、「全くそう思わない」は1.8%で、合計は7.3%にとどまった。
「Web3.0」を活用した事業・開発推進を検討する経営者は約9割に。事業化に向けた課題とは?

Web3.0の活用方法は「自律分散型組織の推進」が最多

また、「今後の事業の推進および開発でWeb3.0を活用したい」とした人に、「Web3.0を活用して行いたいこと」を尋ねている。すると、「DAO(分散型自律組織)の推進」が67.3%で最も多くなった。以下、「IPFS(InterPlanetary File System)への移行」が64.3%、「DAppsへの移行」が62.2%、「暗号資産でのやりとり」が54.1%、「DeFi(Decentralized Finance)の活用」が36.7%となった。

自由回答では、「メタバースでのオンライン会議」や「共通UDを使用したアプリ開発」、「DAOでの資金調達」、「暗号資産の拡大」などといった声が寄せられたという。
「Web3.0」を活用した事業・開発推進を検討する経営者は約9割に。事業化に向けた課題とは?

「Web3.0」への理解度が高い人は「事業化するまでの知識不足」を課題視

さらに同社は、「今後の事業の推進および開発でWeb3.0を活用したい」とした人に、「Web3.0の活用のハードル」を尋ねている。すると、「事業化するまでの知識不足」が69.4%で最も多かった。以下、「予算化されていない」、「予算が足りない」がともに51%、「Web3.0に精通する人材がいない」が43.9%、「事業の成功が確信できない」が39.8%、「取引先との連携ができない」が35.7%、「移行までのコストが大きい」が33.7%、「関係者の理解が得られない」が21.4%と続いた。

その他の自由回答では、「きちんとした理解を持ってアイデアを出せる人材がいない」や「実績が足りない」、「Web3.0に対する理解不足と人員不足」などの課題もあがったという。
「Web3.0」を活用した事業・開発推進を検討する経営者は約9割に。事業化に向けた課題とは?
「Web3.0」はまだ登場して間もない概念であり、明確な定義がなされていないのが実情だという。本調査でも、Web3.0への理解度が高いとされながらも、「知識不足」や「人材不足」などを課題にあげる人が多かった。今後はWeb3.0への理解をより一層深め、事業に落とし込むノウハウを得ていくことが重要と言えそうだ。