中小機構が「経営力再構築伴走支援研修」の申込受付を開始。中小企業・小規模事業者の支援者等に向け、伴走支援の在り方を示す

独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)は2022年8月5日、中小企業・小規模事業者支援者向けにオンラインで実施する「経営力再構築伴走支援研修」の受付を開始した。中小機構は本研修を通じ、中小企業等が環境変化に柔軟に対応できる「自己変革力」を培うため、支援機関職員、金融機関職員、中小企業診断士をはじめとした中小企業等の支援者に向け、経営支援の在り方を提示するという。

事業者の「自己変革力」向上に向け、支援者に「対話と傾聴スキル」習得を促す研修内容

2022年3月に中小企業庁が公表した「伴走支援の在り方検討会報告書」において、新型コロナウイルス感染症の拡大や国際情勢など、社会環境の変化が激しく不確実性の高い時代の中、中小企業等の経営者を支える経営支援の在り方にも変革が必要であることが示された。同報告書では、理想的な中小企業伴走支援の姿として示している「経営力再構築伴走支援モデル」を、以下の3つの要素に整理している。

【「経営力再構築伴走支援モデル」の3要素】
1.支援にあたっては、対話と傾聴を基本的な姿勢とすること
2.経営者の「自走化」のための内発的動機付けを行い、潜在力を引き出すこと
3.具体的な支援方法は自由かつ多様であるが、相手の状況や局面によって使い分けること


これらを踏まえて中小機構は今回、中小企業等の支援者に対し、課題設定型の「経営力再構築伴走支援」の概念や姿勢の浸透に加え、伴走支援に必要な要素とされる「対話と傾聴スキル」などの習得を目的とした同研修の開催を決めた。

【「経営力再構築伴走支援研修」概要】
<基盤スキルⅠ:対話の基本姿勢と態度>
伴走支援において、経営者との信頼関係を構築し、中小企業等の自己変革力向上につなげるための対話の基本姿勢と態度を習得する。

<基盤スキルⅡ:創造的対話技法>
経営者が取り組むべきことに腹落ちし、支援者が当事者意識を持ち能動的に行動するため、経営者自身が「答え」を見いだせるよう創造的な対話技法を習得する。

<基盤スキルⅢ:対話ツール活用法>
伴走支援に有効なフレームワークである「ローカルベンチマーク」および「経営デザインシート」の活用ポイントを習得する。

【研修対象者】
中小企業・小規模事業者支援者(支援機関職員、金融機関職員、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関、その他専門家)
※中小企業診断士の方は、中小企業診断士更新対象研修(スキルごとに、理論政策1ポイント)

【研修形態】
オンライン開催

【申し込み】
中小機構HPにて受付


なお、本研修では、相談者に寄り添った対応力を磨くためのロールプレイング演習も実施されるという。また、各スキルごとに単独の受講も可能だとしている。

中小企業・小規模事業者等の企業力の底上げを図るには、その支援者が的確な支援を行うためのスキル習得を行うことがひとつのポイントになるだろう。中小企業・小規模事業者の支援を行う機関等では、同研修の活用を検討してみてはいかがだろうか。


「支援モデル3要素」に沿い、動画とオンラインを組み合わせたカリキュラムによる研修を実施

中小機構は、上記の支援モデル3要素を踏まえつつ、動画とオンラインを組み合わせた全3回で構成されたカリキュラム(基盤スキルⅠ~Ⅲ)による研修を行う。研修は、2022年9~12月にかけて、各基盤スキルでそれぞれ12回ずつの開催を予定している(2023年1月以降については調整中)。研修の概要は下記の通りだ。
中小機構が「経営力再構築伴走支援研修」の申込受付を開始。中小企業・小規模事業者の支援者等に向け、伴走支援の在り方を示す