企業倒産の「理由」や「予兆」を“倒産経験がある経営者”に調査。約4割が「不測の事態を考慮した資金留保」を後悔

株式会社YKプランニングは2022年7月5日、「企業の倒産理由や原因に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2022年6月14~16日までで、直近10年以内に倒産経験がある経営者および元経営者1,003名から回答を得た。調査からは、新型コロナウイルス感染症が経営に及ぼした影響のほか、倒産防止に有効とみられる対策などが明らかとなった。

直近10年で倒産した企業の53.3%が「新型コロナ後」に倒産。原因は「販売・客足の低下」が最多

新型コロナウイルス感染症の流行や、ウクライナ情勢等による原油高・物価高など、厳しい社会情勢が続いている。そうした中で、企業が倒産する背景には、どのような実態があるのだろうか。はじめに同社が、倒産経験のある経営者(元経営者)に「倒産時期」を尋ねると、「新型コロナ後」が53.3%、「新型コロナ前」が46.7%だった。

次に、具体的な「倒産の原因」を尋ねたところ、「販売・客足の低下」が49.8%で最多となり、以下、「原材料の高騰や供給不足」が19.7%、「売掛金の回収不能」が18.2%、「人出不足」が17.7%などと続いた。
企業倒産の「理由」や「予兆」を“倒産経験がある経営者”に調査。約4割が「不測の事態を考慮した資金留保」を後悔

倒産企業の経営者の7割は「1年以内」に予兆を感じていた

次に、同社が「倒産の予兆を感じた時期」を尋ねると、「6ヵ月前」が28.8%で最も多かった。以下、「3ヵ月前」が24.9%、「1年前」が17.7%などと続いた。

「予兆を感じた理由」を問うと、「普通預金通帳残高の大幅減少」が29.7%、「大口得意先の倒産」が15%、「競合他社へ顧客を奪われた」が8.7%、「顧問税理士からの示唆」が7.6%、「エース・キーマンの退職」、「原材料の高騰や供給不足」がともに7%、「銀行からの借入審査が通らない」が4.9%だった。
企業倒産の「理由」や「予兆」を“倒産経験がある経営者”に調査。約4割が「不測の事態を考慮した資金留保」を後悔

倒産を予兆した際に取った対策は「新事業への転換」が最多

続いて、「倒産を予兆した際にどのような対応をしたか」を尋ねると、トップは「新事業への転換」で24.6%が回答。以下、「営業活動・マーケティング・広告の拡大」が16.3%、「追加の資金調達」が16.2%、「従業員のリストラ」が15.8%、「コスト削減」が14.2%、「不採算事業の縮小・撤退」が13.7%、「既存事業の新市場への参入」が13.6%などと続いた。
企業倒産の「理由」や「予兆」を“倒産経験がある経営者”に調査。約4割が「不測の事態を考慮した資金留保」を後悔

倒産前の相談先は「顧問弁護士・会計士」が4割でトップ

続いて同社は、「倒産前(1年以内)に誰に相談したか」を尋ねている。すると、最も多かった回答が「顧問税理士・会計士」で40%となり、以下は、「家族」(24.9%)、「経営者仲間」(21.1%)、「金融機関」(18.8%)などと続いた。

また、「倒産前(1年以内)に行った資金調達手段」を尋ねると、「金融機関からの融資」が42%で最多となり、以下は「補助金や助成金」が21.4%、「会社資産の売却」が20.1%で上位となった。
企業倒産の「理由」や「予兆」を“倒産経験がある経営者”に調査。約4割が「不測の事態を考慮した資金留保」を後悔

やっておけばよかったことは「不測の事態を考慮した内部留保・資金留保」が最多

最後に、「経営者個人だけでは、倒産を防ぐ具体策を立てることは難しいと思うか」と同社が尋ねたところ、「とても難しいと思う」が50.5%、「やや難しいと思う」が37.6%で、合計が88.1%となった。

また、「倒産を防ぐためにやっておけば良かったと思うこと」は、トップが「不測の事態を考慮した内部留保(資金留保)」で38.5%となった。以下、「計画的な事業の推進」が30%、「経営戦略面での決断(新事業への転換・新市場参入・不採算事業の撤退など)」が25%、「顧問税理士・会計士への早期の事前相談」が12.2%、「事業の一部売却による資金化」が12%と続いた。
企業倒産の「理由」や「予兆」を“倒産経験がある経営者”に調査。約4割が「不測の事態を考慮した資金留保」を後悔
コロナ禍や社会情勢の変化の影響を受け、やむを得ず倒産に追い込まれる企業も少なくない。先行き不透明な経営環境おいて、不測の事態に備える「経営計画」の重要性について、本調査結果を参考に再確認しておきたい。