株式会社ノヴィータは2022年6月14日、女性などブランクのある人材の採用状況についての企業向け調査「人材採用に関する調査」および個人向け調査「キャリア観に関するアンケート」の結果を発表した。企業向け調査は2022年5月23~25日に実施され、30名以上の企業・組織で中途採用の最終決裁にかかわる20~60代の男女計1,041名から回答を得た。また、個人向け調査は2022年5月31日~6月2日に実施され、国内居住の25~49歳の女性331名から回答を得た。本調査から、結婚・出産・転居等でブランクのある人材の採用ニーズや、企業と個人で“職歴のブランクの捉え方”に乖離がある実態などが明らかとなった。
8割超の企業が「職歴ブランクがあっても優秀な人材がいる」と考えている
結婚・出産・転居などのライフイベントの影響でやむを得ず離職した女性を、企業側はどのように見ているのだろうか。同社は、企業向け調査で「職歴ブランクがある人に、優秀な人材・自社にマッチする人材はいると思うか」を尋ねている。すると「はい」が83.5%、「いいえ」が16.5%だった。企業側は、職歴にブランクがあることをネガティブに捉えていないことが明らかとなった。
約7割の企業で職歴ブランクのある人材を採用した経験を持つ
続いて同社は「職歴ブランクがある人を採用したことがあるか」を尋ねている。すると「ある」が66.7%、「ない」が24.3%、「わからない」が9%だった。職歴ブランクのある人材を採用したことがあるという企業は7割に迫った。採用になった人の最長の職歴ブランク期間は「3年未満」が約7割を占める
「採用となった人の最長の職歴ブランク期間はどのぐらいか」を尋ねた質問では、「1~3年未満」が48.3%で最多だった。以下、「1年未満」が21.5%、「3~5年未満」が15.4%、「5年以上」が13.4%と続いた。「3年未満」とした回答者の合計は69.8%となる。5割強の企業が「職歴ブランクのある人を採用して良かった」と回答
同社は「職歴ブランクのある人を採用した感想」を尋ねている。すると「良かった」が54.3%、「どちらともいえない」が34.1%、「悪かった」が11.5%だった。「良かった」との意見が半数を占め、多数派だった。自由回答で「実際に採用してみた感想」などを尋ねたところ、「コミュニケーション能力が長けている」や「人間性や対応力の幅が広がる」、「仕事以外のスキルが仕事へフィードバックされることを自身の体験を通して知っている」などの意見が挙げられた。
女性の離職理由とライフイベントとの関連性とは
ここからは、個人向け調査の結果を紹介する。「職歴ブランクに入る前の退職理由」を尋ねると、「出産・育児」が172名で最多で、以下、「結婚」が148名、「仕事内容」が74名、「配偶者の転勤」が53名と続いた。「出産・育児」と「結婚」を回答した人は合計320名と、女性の離職はライフイベントとの関連が強いようだ。「職歴ブランク期間」をポジティブに捉える女性は4割を下回る
同社はさらに「自身の職歴ブランクが再就職にどのような影響を与えたと思うか」を尋ねた。その結果、「良い影響」が35.3%、「悪い影響」が16.3%、「どちらとも言えない」が48.4%だった。職歴ブランクが“再就職に良い影響を与えた”と感じている女性は4割未満という実態が明らかとなった。同社は、8割以上が「職歴ブランクがある中でも優秀な人材はいる」とした企業向け調査結果と、求職者の意識に乖離が見られるとの見解を示した。
女性が再就職を考える際、自身の職歴ブランクをポジティブに捉えられない一方で、企業側はポジティブに捉えているという意見が多数を占めた。経験豊富で優秀な人材とのマッチングを目指し、企業はキャリア採用において「職歴ブランクを持つ人材」へのアプローチを進めるのも一つの手だろう。