株式会社レンズアソシエイツは2022年5月31日、「テレワーク下における部門間対立の実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年5月23~24日で、全社的にテレワークを実施する企業(従業員100名以上)の経営者および役員102名から回答を得た。これにより、経営陣からみた「部門間対立の実態」や「解消に向けた各社の取り組み」が明らかとなった。
経営者・役員はどれほど「部門間対立」を感じているか?
企業の生産性向上のためには部門間の連携が重要となるが、テレワークが普及する昨今、社内におけるコミュニケーションの実態はどうだろうか。レンズアソシエイツは、対象者に「自社において部門間の対立・わだかまりを感じたことがあるか」を尋ねた。すると「かなりある」が23.5%、「ややある」が40.2%で、合計は63.7%だった。経営陣の過半数が部門間の対立を見聞き、または感じているという実態が明らかとなった。
3社のうち2社は「部門間のコミュニケーションが足りていない」と回答
続いて同社は、「部門間対立がある」と回答した人に「部門間対立・わだかまりを感じた場面やその理由」を尋ねた。すると「部門間のコミュニケーションが少ない」が66.2%で最も多かった。以下、「自部門(部署)の利益ばかり重視している」が60%、「各部門が同じ方向を向いていない」が47.7%、「人間関係におけるトラブルが発生した」が32.3%と続いた。それ以外の自由記述では「商品開発時の考え方の違い」や「新しいプロジェクトの主導権争い」、「新設部門に対して他所者扱いする傾向がある」などの声があった。
テレワークと部門間対立との関連性は
続いて同社が「テレワークによって、部門間対立に関する危機意識が高まったか」を聞くと、「かなり高まった」が15.7%、「やや高まった」が20.6%となり、合計は36.3%だった。一方で、「あまり高まっていない」が40.2%、「全く高まっていない」が20.6%で、合わせると60.8%だった。テレワーク環境下で部門間コミュニケーションに変化が
「テレワークにより危機意識が高まった」と回答した人に、そう感じている理由を尋ねた。最も多かったのは「部門の垣根を超えたコミュニケーションが難しくなった」で70.3%が回答した。以下、「テレワークで社員の様子が見えづらい」が62.2%、「社員とのコミュニケーションの機会が減っているから」が45.9%、「テレワーク下で部門間の対立が顕在化した」が27%と続いた。また、自由記述では、「利益率も落ち込み、士気が上がらない」、「業務連携がしにくくなった」、「仕事以外の交流が減った」、「感情が見えない」、「対立ではないが、無関心になっている」という声があがった。
約7割の経営者が「部門間対立を解消する施策」の効果を実感
最後に、部門間対立を解消すべく施策を行った企業を対象に、「実施したことによる効果」を尋ねた。効果が「ややあった」は45.7%、「かなりあった」は21.7%で、効果を感じている回答者は計67.4%となり、過半数を占めた。効果があったと回答した人に、「どのような施策を行ったか」を自由記述で答えてもらうと、「部門間の壁をなくすため、評価基準を変えた」、「各部門横断のプロジェクトを立ち上げ、定期的な意見交換の場を設けた」、「リモートでの懇親会」、「コミュニケーションツールの導入」といった回答が集まった。
テレワークが普及したことで、社内のコミュニケーションが難しくなったとの見解を持つ経営者・役員はことのほか多いようだ。部門間対立解消に向けた施策を実行し、効果を得られた企業の成功事例は、大いに参考になりそうだ。