独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)は2022年6月9日、「事業承継・引継ぎ支援センター」における2021年度実績を取りまとめ、その結果を発表した。中小機構は同センターの需要増加をふまえ、今後、中小企業の事業承継促進により一層注力する方針だという。
事業承継相談の需要は前年と比べ大幅に増加か
中小機構が運営を行う「事業承継・引継ぎ支援センター」は、地域の事業承継支援を目的に、国が設置した公的相談窓口だ。2021年からは、「事業承継診断事業」、「事業承継計画策定支援事業」、「経営者保証解除支援事業」の3事業を加え、事業内容を拡充している。同機構が発表した資料によると、新型コロナウイルス感染症流行下においても事業承継の支援の需要の高まりは衰えず、同センターへの問い合わせ件数などが過去最高を記録したという。
具体的には、2021年度の相談者数は20,841名で前年度比178%、第三者承継(M&A)の成約件数は1,514件で前年度比110%だった。なお、同センターを開設した2011年からの累計では、相談者数が81,032名、事業引継ぎ成約件数は6,470件となっている。
また、2021年度から拡充した3事業についても、同事業を国が民間企業に委託していた2020年度と比較して、いずれも前年度を上回る実績になったという。
さらに、創業希望者と後継者がいない中小企業の事業引継ぎの橋渡しを支援する「後継者人材バンク」の登録者は、1,368名で前年度比101%となり、そのうち成約に至った件数は53件(前年度比147%)で、いずれも過去最高を記録した。
今回発表された資料から、「事業承継・引継ぎ支援センター」への相談件数は増加傾向にあり、ニーズが高まっていることがわかった。このことから、事業承継が課題となっている企業も多いことが見てとれる。事業承継に課題を抱える経営者は、このような支援窓口を活用してみてはいかがだろうか。